【先憂後楽】という言葉があります。
これは、中国・北宋の政治家であった范仲淹「岳陽楼記」の「天下の憂えに先んじて憂え、天下の楽しみに後(おく)れて楽しむ」という言葉を起源とするもの。
すなわち、指導的立場にある者は、ことの安危については人より先に心配し、楽しむのは人より遅れて楽しむべしという、あらゆるリーダーに求められる心がけを述べた言葉です。
韓国で発生した大型フェリー沈没の大惨事。
報道によれば、船長や複数の船員たちが乗客より先に避難してしまったらしいというのですから、ご家族の怒りはいかばかりでしょうか。
日本でも、高校新入生の担任教師が、自分の子息の入学式のために勤務先の入学式当日に休暇を取るという騒動が起きています。
世間の反応は賛否両論。
私は、たとえ生徒や家族から総スカンを喰らっても、合法である限り教師の地位は保全されるという、公務員制度の最も良くない部分が顕在化した事件と考えています。
民間企業で管理職が部下の信頼を失った場合には、まずは部下のいない職務に移ってもらうことになるでしょう。
ことの経緯に関わらず、人心の離れた人物による人事考課の結果を、部下たちが素直に受け入れることができないからです。
そんな管理職を放置していたら組織が維持できません。
ちなみに私の勤務した複数の外資系企業では、上司や所属部門が、年一回、所属員たちにより採点され、その結果をマネジメントに直接レポートする仕組みとなっていました。
この点数が低い管理職や職場を放置すると、有能なスタッフほど離職率が高くなると言われていました。