「愛したひとのために、刀を抜きます」
昨日は、「山桜」について当方のブログに掲載したが、今回も花・・・桜がキーポイントとなる物語。
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舞台は、原作者・藤沢周平氏の故郷である庄内地方、やはり架空の海坂藩の下級武士と組頭の娘との淡い恋物語の一遍である。
同映画は、「たそがれ清兵衛」、「隠し剣 鬼の爪」、「蝉しぐれ」、「武士の一分」、「山桜」などに引き続いての映画化で、2010年3月に封切られた作品。
いつの時代にも見受けられる人間の性(さが)、不正をしながら私腹を肥やす重臣、それを正そうとする下級武士たちの正義感、その悪に染まってしまう取り巻きたち、そこに女が絡んでくる・・・現代においても同じようなことが何処でも行われている。
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大好きな池波小説で言うなら、「人は悪いことをしながら善いこともする」「善いことをしながら悪いこともする」、正にそのとおりである。
そして、人間は「寝るところと食べることと女と男の営みができればいい」ともある・・・・これが、死ぬことだけが分かっている人間の基本的なことであると。
藤沢作品では、池波作品のように人間の本来の生き方を諭すような文体はないが、著者自身がこよなく愛する庄内地方の変わらぬ自然とそこに息づいている人々の生活、それを架空の海坂藩を用いて、そこに繰り広げられる武士や町人、百姓の営みを文学タッチで表現している。
これが、映像化されると日本の原風景の中に包み込まれている人間のちっぽけな生き方に感情移入されて、自然の美しさと人間の生き様を対比させて観るものを惹きつけていると思う。
この「花のあと」という作品は、組頭の一人娘が家名を守るために幼少期から剣術を学び、女剣士として成長しながらも藩内随一の剣の使い手と一度だけ立ち会うことで、その下級武士に淡い恋心を抱くこととなる。
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しかし、既に家名を継ぐため、家が定めた風采の上がらない許嫁いる・・・父は江戸詰めで学問を学ぶこの許嫁が大そう気に入っている。
寺井以登が待女とともに春爛漫の桜の花を見に行った際に出会った“藩内随一の剣の使い手・江口孫四郎”、凛として自分より強いと思えた孫四郎に心を動かされる
その下級武士の孫四郎が、藩の重役・藤井勘解由の卑劣な罠にかかって自ら命を絶ったことで、その真相を探り出し剣でもって仇を討つこととなった・・・・以登。
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その悪役を演じた市川亀治郎さん・・・いい味出していますね。さすがは、本物の役者さんである。
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また、以登の父・甚左衛門の碁仇である医師役の柄本明さんが、甚左衛門役の國村隼さんと碁を打ちながら会話するシーンがあるが、とてもいい雰囲気を出しており、映画全体を引き締める役割がなされていた。
とにかく、雪深い山々が素敵であるが、それにも増してタイトルである桜のカットには感激した・・・
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「山桜」とともに秀逸の映画であった。
さあ、「小川の辺」を観に行くかな・・・・。(夫)
[追記]~あらすじ~
満開の桜の下で以登に声をかけたのは、羽賀道場の高弟・江口孫四郎であった。父・寺井甚左衛門に剣の手ほどきを受けた以登は、道場の二番手、三番手を破るほどの剣豪であったが、孫四郎とは未だ剣を交えたことはなかった。わずかでも孫四郎の人柄に触れた以登は、父に孫四郎との手合わせを懇願する。以登は孫四郎に竹刀を打ち込む中で胸を焦がしている自分がいることに気がつく。
ただ一度の手合わせで以登が感じたものは、紛れもなく初めての恋心であったが、家が定めた許婚がいる以登は孫四郎への想いを断ち切る。
その数ヵ月後、孫四郎が藩の重役・藤井勘解由の卑劣な罠にかかって自ら命を絶った。
江戸から帰国した許婚・片桐才助の手を借りて事件の真相を知った以登は、孫四郎の無念を晴らすために、そして自らの淡い想い出のために剣を取るのだった…。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
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