咲とその夫

 思いもよらず認知症になった「咲」の介護、その合間にグラウンド・ゴルフを。
 週末にはちょこっと競馬も。
 

脇役人生、斬られ役人生・・・万歳

2014-01-15 22:13:44 | レビュー
 昨夜の「太秦ライムライト」を見た、感動した。
 これまでの脇役人生の役者さんにライムライトが当たった映画。
 それでも、あくまでも謙虚で、シャイな雰囲気が自然と漂っている。
 そこに士(さむらい)がいた。
 この映画は、どこか、見ていて切なくなってくることも・・・。
 だからこそ、感動を覚えるのであろう。



 福本清三さん・・・最高

 さらに映画会社の課長・長沼兼一役をやっていた本田博太郎さん、とてもいい雰囲気をだしておりさすがだね。
 新人女優・伊賀さつき役の山本千尋さん、本物の武術家らしく殺陣もバッチリ、久々にアクションのできる女優さんを見た。
 大ベテランの松方弘樹さん、この映画の成功を懸命に応援しているように思えた。

 斜陽産業と呼ばれている時代劇、映画の方でもほとんど制作もされなくなっている。
 この映画のようにTBS系列で長い間制作された「水戸黄門」も終わった。
 フジテレビ系列で、年に2回のスペシャル版「鬼平犯科帳」、もしくは「剣客商売」が作られる程度。
 また、東京12チャンネルの正月時代劇、時代劇専門チャンネルの鬼平外伝くらいかも・・。

 そのためか、時代劇の灯を消さないようにとNHKが懸命に制作している。
 東映太秦を舞台に「大岡越前」の制作、以前TBS系列で制作されたと同じように・・・。
 先般は、松竹太秦の協力で「雲霧仁左衛門」が、本格的時代劇として作られていた。

 そのほか、木曜時代劇、大河ドラマなどがNHKで制作。
 何としても、なんとしても、時代劇の灯を消さないでもらいたい。

 この「太秦ライムライト」が、時代劇復活の起爆剤になれば、斬られ役の役者さん達にも活力がみなぎるであろう。
 時代劇を通して、日本の伝統文化を学び、本当に生きていた士(さむらい)の佇まいを学ぶことができる。
 それこそが、日本人魂であると思われる。

 時代劇万歳、脇役人生万歳。(夫)


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池波正太郎著「日曜日の万年筆」・・・

2014-01-15 22:11:55 | レビュー
 時代小説の第一人者で、当方がもっとも尊敬する作家。
 その池波正太郎先生のエッセイ集の一つ、「日曜日の万年筆」を読み終えた。
 ご自身の生い立ちの話。
 作家になる前の話、出会った人たちとの話。
 食通で知られている同氏、さすがに痛風の苦しみを経験されたとの話も・・。
 さまざまな日常を通した話が載っていた。



 その中で、もっとも興味を引いたものは、「脇役(上)(下)」の一遍であった。
 同氏は、長谷川伸氏(小説家・劇作家)に師事し、新国劇などの脚本を執筆されていた時代があった。

 脚本や演出まで手掛けられたことで、時代劇の大作の脚本も手掛けられたとのこと。
 その関係で京都松竹のスタジオに出向かれた際、脇役の玉島愛造さんを食堂で偶然見かけた。
 この方は、池波先生が少年時代に見ていた嵐寛寿郎の鞍馬天狗に脇役として出演。
 その役回りは、黒姫の吉兵衛というなかなかにいい役で、少年時代その脇役の役者さんにすっかり魅せられていたとか。

 そして、大人になって食堂で見た脇役の玉島愛造さん

 「彼は二十何年前の風貌で、黙然と、額の汗をふきながら休んでいた。
 あまりのなつかしさに、私はたちつくしたまま、彼を見つめていた」

 と、書かれている。
 長い間出番を待って、台詞はただの一言であったらしい。

 脇役でも「スター級の脇役から、いつ消えたかも知れぬかたちで、世の中から忘れ去られてしまう人びともいれば・・」どうやら玉島愛造さんは後者の方だったらしい。

 そして、「もう一つ下の脇役となれば尚更(なおさら)に名前も残らぬ」と、ある。

 「私が脇役に関心をもつのは、やはり、長年にわたって芝居の世界に身をおいていたからであろう」
 
 と、記載されている。

 さらに

 「スタアに斬られては引っ込み、三階の大部屋に駆けあがり、一息つく間もなく扮装を変え、またしてもスタアに斬られるため、舞台へ駈け出して行く。
 汗水たらしてはたらきぬく、こうした下積みの俳優たちによってスタアの栄光がささえられていることを、まざまざと、この目で見てきたからであろう」

 このように、常に縁の下の力持ちの如く、目立たぬところで主演の俳優陣を際立たせる脇役陣
 池波先生が幼少時代から、脇役に目がいっていたからこそ、時代小説の中に出てくる一人一人の名もなき者までもが、活き活きと描かれているのであろう。
 そのために、読者は小説の世界を身近に感じることができる。
 そして、その中にすんなりと入ることができる。

 池波ファンにとって、小説の中の一コマが、目の前に大きく広がる楽しさがある。
 登場する人々がそれぞれに個性豊かで、魅力的に描かれている所以(ゆえん)であろう。

 映画や舞台の脇役の役者さんの話。
 最高に楽しめた。

 折しも昨夜は、楽しみにしていた映画「太秦ライムライト」を観賞。
 同名映画は、テレビ版に編集されたもので、東映の元大部屋俳優・福本清三さん初主演の映画である。
 我が家では、テレビの前で声も出さずに食い入りように見入ってしまった。
 感動ものであった

 正に脇役人生の集大成の映画である。
 エッセイ集「日曜日の万年筆」と映画「太秦ライムライト」

 双方を堪能し、満足に浸った終日であった。(夫)

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