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競馬予想とグラウンド・ゴルフ練習の合間、相変わらず池波小説を読み漁っている。
水曜日からスポーツ紙の競馬欄をチェック、必要なことをメモする。
DVDをレンタルし映画観賞・・・も。
さらに時間を見つけて、読書三昧といった生活の繰り返し。
でも、池波小説によって、人の生き様を学び。
行間にある作者の心理を見出しながら、同氏の極めつけの文体を学んでいる。
そして、ブログなど文章を書く際の参考にしている。
先日買い込んだ2冊。
その内の1冊は、新潮文庫「谷中・首ふり坂」。
傑作短編が11編も収められている。
冒頭にある短編「尊徳雲がくれ」は、小中学生の頃学んだ「二宮尊徳」、通称“金次郎”の話である。
その頃の学校には、二宮金次郎の銅像があったと記憶している。
その金次郎は徳農家の長男として生まれ、小田原藩の仕法家として名を馳せた。
この小説では、小田原藩主大久保家の分家で宇津家の領地である下野国桜町領(現在の栃木県真岡市)、その地における仕法に関する苦労話が書き込まれている。
金次郎は小田原藩における仕法をものの見事に成し遂げたことから、藩主大久保忠真(おおくぼただざね)から手厚い信頼を受けていた。
金次郎がいっている仕法とは、“負債整理”、“殖産開拓”、“一村一藩復興”、“財政立て直し”などとのこと。
下野国桜町領は、荒廃も甚だしい土地柄にある。
そこには世を追われた荒くれ者、博徒や商売女がはびこっていた。
それを立て直すのであるから、並大抵のことではない。
その上に「農民の出の分際で仕法をするとは」・・・と、いうことで、藩の重役たちが嫌がらせをする。
中でも江戸家老の吉野図書(よしのずしょ)一派の裏工作が、金次郎にとっては難題であった。
金次郎は、桜町領の荒くれ者どもの頭(かしら)などを手なずけ、味方に引き込み仕法を成そうとする。
ところが、何しろ吉野一派の策略もあって、八方ふさがりの金次郎がついに雲がくれをする。
その後の下りが、なか、なかに面白く描かれている。
当方にとって、二宮金次郎とはいかなる人物か、あまり理解できていなかった。
しかし、この一編により、金次郎すなわち二宮尊徳の偉大な人物像に初めて触れることができた。
さて、「看板」という題名の一編も最高。
こちらは、鬼平外伝「夜兎の角右衛門(ようさぎのかくえもん)」の題名で、すでにドラマ化された時代劇を見ている。
主演は中村梅雀であったが、いい出来栄えの時代劇であった。
3、4回見たと思う。
その原作となったのが、今回の短編集に収録されていた。
「看板」とは、何であるのか。
1.盗まれて難儀するものへは、手を出すまじきこと。
2.つとめするとき、人を殺傷せぬこと。
3.女をてごめにせぬこと。
盗みの三ヶ条を厳しく守ってきた夜兎の角右衛門、先代角五郎から受け継いできた大事な看板でもある。
角右衛門は、あるとき知り合った女乞食、その女の看板に瞠目し生きざまに驚いた。
これまで角右衛門が掲げていた看板が、もろくも朽ちていたのである。
火付盗賊改方に自首をした角右衛門は、鬼平からこれまで掲げてきた看板について諭された。
「その女乞食の看板と、お前の看板とは、だいぶに違うのだ」
「へ・・・・」
「お前の看板の中身は、みんな盗人の見栄だ、虚栄というやつよ」
「へぇ・・・・」
「どうもわからぬらしいな。わかるまで牢に入っていろ。わかってから首をはねてやろう」
不思議なことに角右衛門は、刑を受けずにいた。
鬼平こと、火付盗賊改方長官長谷川平蔵の器の大きさに惚れ込んでしまった角右衛門。
かくして、密偵となったのである。
多くの盗人の捕縛に手を貸すこととなった。
・・・が、その後の下りでは、角右衛門が何者かに殺害される。
こちらも、短編であるが、読み応え十分の内容。
いつもながら、感服しながら読んでいる。
当方も、池波狂の一人である。(夫)
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