紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

ヤマンバのかつら

2006-08-16 23:29:44 | 読書
 仕事帰りにスーパーに立寄り、子ども達の大好きな「午後の紅茶/ストレート」が格安だったので、2本買う。サイダーの口当たりのよさが、お年寄りにはたまらないみたいなので、「キリンレモン」も1本購入する。そんなだから、レジを終えて風呂敷とエコバッグの包みは、信じられないくらい重くなり、カートに乗せ駐車場まで運ぶ。

 ふと夏の夕暮れの青空を見上げれば、秋のようなスジ雲が空に大きくかかっていた。
 自分にクイズを出してみる。あのスジ雲を比喩にすると・・・

 今日のタイトルがそれ。「ヤマンバのかつらのようなスジ雲」がかかる、そんな空でした。

 このブログを書く前に、最近てんで書けなかった友達への返信メールを書いているうち、思い出した事があった。

 Kちゃんがちいさくて、なかなか読書の時間がとれずにいたとき、月刊誌や別冊の『太陽』を眺めたり、「庭作り」の記事だけに止まらず、やたら面白かった分裂する前の雑誌『BISES』、読む所がすみずみまであり定期講読しても惜しくなかった(編集方針が変わる前の)月刊女性誌『CREA』を細切れに読んだ。

 それでもやっぱり「小説が読みたい!」と切実に思うときもある。妖怪人間が「はやく人間になりたい!」と叫ぶくらい切実に「はやく小説を読みたい!」と思った。

 ある日、図書館へいったら、カウンターの横にある文学の朗読カセットシリーズを見てひらめいた。お兄ちゃんの送り迎えやなんかで、車に乗っている時間は多い。車でカセットをきいたら!? 運転と読書が同時にできるというのは、われながらグッドアイディアだった。

 宮沢賢治の「どんぐりと山猫」、小松左京の「くだんのはは」、森鴎外の「高瀬舟」、内田百けんの「阿房列車」。私が借りたカセットのラインナップである。ああ、実に、見事としかいいようがないほどに、節操がないなー。

 「どんぐりと山猫」は後に絵本を買い、子ども達に読んであげるときの参考になった。

 「くだんのはは」は筒井康隆さんがホラーの名作と絶讃されていたので、いつか読もう!と思っていたのだ。
 こわかったよー! 独特の浮ウ。「きゃー」って感じじゃなくて、じわっと鳥肌がたつような。しかもいろんな浮ウが絶妙にブレンドされていて。「くだん」は未来を予知する妖怪で、映画『妖怪大戦争』にも最初の方に登場した。この「くだん」の場面がいちばん浮ゥったとKちゃんは言っていた。

 「高瀬舟」は静かな語りのバックに船を漕ぐ音が入り、迫力。

 「阿房列車」は「のほほん系」の笑い。さすが漱石の弟子。

 内田さんが借金するときの、堂々とした「とぼけ具合」と、ケムに巻かれつつも、単に大阪まで電車でいきたいだけの往復の電車賃という無駄遣い?に費やされるとわかっているお金を、太っ腹に貸してあげる人物がその時代にはいたんだという、うれしい驚きで、ひととき幸せな気分になれた。

 車は長時間運転するけど、読書する時間はないという方に、図書館の朗読テープは、ぜひにと強力プッシュしたいお勧めの品です。