紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

いのちのいずみ

2006-08-29 22:52:06 | ファミリー
 各方面にご心配をおかけしているおばあちゃんの具合は、微かにやってくる秋の気配に呼応するかのように、僅かずつ回復している。

 というか、80を越えた今までが元気すぎ、年齢相応の労働の臨界を越えたため、身体が警告音を発したのだと思う。
 加えて、異様に暑いし。夏バテして当然なのだが、食欲ゼロという事態には困った。おまけに薬も栄養ドリンク系もダメな人なのだけれど、天はわれらを見捨てなかった。身近に大変な助っ人がいたのだ。

 昨年より私とおばあちゃんが通っている、Kちゃんの友達Sちゃんのお母さんがオープンされた小さな整骨院がある。電気治療を受け付けないウチのおばあちゃんの腰痛にも、他のアプローチをセレクトしていただき、乗り切ったことがあった。
 今回も他の病院は拒否したが、「Sちゃんの整骨院なら」と、病院嫌いのおばあちゃんが唯一、やっと身を委ねる事を許してくれた。

 食欲不振の夏バテを整骨院で? と考えはしたが、知り合いのよしみで「なんとかなるだろう」と、自分を納得させ行ってみた。大変親切に手取り足取りで、簡易ベッド?に横にしてくださる。ついでに私も電気で凝りをほぐしていただき、おばあちゃんの隣でうつらうつらする。

 カーテンの向こうでSちゃんのお母さんが、やさしくおばあちゃんを手当てしてくださっている声が聞こえる。「おなかのところに食欲の出るツボがあるんです。今そこを押さえたら、胃がごろごろといって動き出しましたよ」

 ツボ! 
 Sちゃんのお母さんが、薬草の知識の宝庫である「南米の魔女」のように神秘的に思えた瞬間だった。職人ワザを持つスペシャリストには、無条件降伏で尊敬するのみである。ツボ!って、すごいやん! そういえばSちゃんのお母さんは鍼灸師でもあるから、ツボくらいお茶の子さいさいかも。

 条件反射のように、私が子どもの頃、よくテレビに登場した豪放磊落な指圧師の先生を久方ぶりに思い出した。名前は忘れちゃったけれど。
 「♪指圧の心は母心。押せば命の泉湧くー。はっはっはっはっはー(→笑)」と、出番のラストでは、唄うように締めた指圧師の先生。

 「押せば命の泉湧くー」。
 その言葉どうりに、その日の晩ご飯は、久しぶりに「おいしかったー」と以前と同じくらい(もともと、とても少食だけれど)食べられたおばあちゃんであった。