紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

おでんさむらい

2006-08-23 23:08:37 | 読書
 「毎日読み聞かせ」というkoyateruさんの8月20日のブログで教えていただいた絵本「おでんさむらい」(くもん出版)を、きのうやっと図書館で借りて読んでみた。文・内田麟太郎、絵・西村繁男のコンビでお贈りする時代劇の絵本だ。もう、このコンビで時代劇、っていうだけで降参。「なんとしても読まなきゃ!」と思い詰めてしまった。
 しかも手にするまでに多少の時間がかかったので、さんざん空想にふけらせていただいた。

 まず、「おでんさむらい」って?
 「こぶまきのまき」ということは、あのチェックのマフラーがもしかすると、昆布、とか(昆布にチェックはないでしょう・・・)? 
 お侍の格好だけど、実は、はんぺんとコンニャクと大根(チビ太が持ってる○△□の串刺しおでん)だとか?
 しかもなんで表紙の絵は、カブトムシ(○に「か」の字の金太郎のような腹当てをした!)とツーショットなのか? いくらでも疑問は湧いて来る。

 借りた、読んだ、唸った。しかし、疑問は氷解するどころかさらに膨れ上がった。それはそうだろう、だって内田麟太郎さん(たとえば「うそつきのつき」参照)と西村繁男さん(たとえば「がたごと がたごと」参照)だもん、個別の作品だって説明無く展開して行くナンセンスなストーリーなのに。だからこそ、このコンビの創り出す余白の大きさは、いまの子ども達には、ぜひ味わって欲しいものである。

 もしも理屈っぽくって知りたがり屋のお子さんがあれやこれやと言い出したら、そこでこそ大人の大風呂敷の広げ方、法螺の吹き方のみせどころであろう。めんどうくさがらずに「ああかな、こうかな」と何の意味も無い会話を楽しみたい。そのうち親の方が「はまり」ますから。(私だけか?)

 しかも西村さんの絵は、ディティールがしっかりしているので、フィクションとノンフィクションが相乗効果をあげている。この江戸時代のお店の看板(「けとく」「御桐油」など)は、今で言う何屋さんなのか、日用雑貨や調度のあれこれは、何のためにあり、どうやって使うのか、というのを調べるのも面白そう。万一、子どもに聞かれたら、得意満面で答えてあげるのだ。えっへん。

 絵のことをさんざん書いたが、文も「読み聞かせ」心を激しくそそる。登場するキャラが鮮明なので、「TV時代劇」を思い浮かべたら、直ぐに声色を当てられそうな気がする。弱いものいじめが好きそうな、からみぐせのある酔っぱらい侍のセリフ、なんてもう、最高に声に出して読んでみたい箇所である。

 もっとも「カブトムシのかぶへい」の声色が、妙に高音のイメージなので、なんでだろう?と、よくよく考えてみたら、私の中ではなぜか「おじゃる丸」の「デンボ」(ホタル)とかぶってしまっていた。昔、「デンボ」の声真似が私と子ども達の間で流行ったことがあったので、どうやらそれを思い出してしまったらしい。

 それにしても、「こぶまき」って・・・そうか「あれ」だったのね。想像もしませんでしたよ~。