紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

それってどうなの?

2007-04-19 23:00:34 | 読書
 なんとなく、はっきり物がいいにくい。奥歯にものがはさまりやすい。世間様の顔色をついうかがってどんどん上目遣いになりがち。言いたい事も、つい呑み込んでしまう。これはもしかすると思想膿漏かもしれませんよ。と自分にツッコミをいれたい日々を送っている。

 ふと手にした本の前書きが老眼鏡をつくってしまった目にもやさしい、大きなャCントだったので、思わず読みふけってしまう。前書きにはタイトルが付いていて、『「それってどうなの主義」宣言』とある。
 出だしはこんな風。

 「それってどうなの主義」とは、何か変だなあと思ったときに、とりあえず、「それってどうなの」とつぶやいてみる。ただそれだけの主義です。

 もちろんつぶやいたところで、事態が改善されるわけでもないが、そのささやかな効用を箇条書きにして次に綴られている。そのあたりは、ぜひ各自で本書を手に取って読んでいただく事にして、いきなり前書きの結論に向かい合えば、

 「それってどうなの主義」とはすなわち自分の感じる違和感を内外に表明し、言い出しにくい雰囲気に風穴をあけ、小さな変革を期待する主義の事なのです。

 いや、実はそれよりも次の一文に私は参った。

「それってどうなの」に大声は似合いません。小さな声でぼそぼそと、が効果的。
ではみなさん、小さな声で唱和してみましょう。
それってどうなの?

    それってどうなの主義者連盟(略称「そ連」)
   

 白状すると、思わずちいさくつぶやいて唱和してしまいました。

 今の小学生には「それなに?」だが、オトナには爆笑な「そ連」。「ことさら大声で、自説に自信満々な方々」をこっそり!?挑発するテクニック。いいなあ。

 帯には「日の丸、戦争、靖国から皇室報道、学校教育、児童文学、ファッション誌まで・・・」。 向かうところ敵なしというか、親譲りの無鉄砲というか。しかも装丁はばっちり日の丸デザインだったりする。こんなことを堂々とやってのけるお方は、何様か? むろん斎藤美奈子さまである。斎藤美奈子さまもエラいが、出版する白水社もすごい。・・・って、この程度で感心している私の方が、ダメダメなのだが。

 最初にいきなり「日章旗のお取り扱い」というタイトルで度肝を抜かれるが、このわずか5pの文章で、目からウロコぼろぼろな上、「意外にいいかも、日の丸、君が代」と思わず引き込まれたりするのだ(笑) 

 思想よりツッコミ、というノリは、宮武外骨の再来を思わせる。笑えて小気味良い極上の短文がぞろぞろ集まって、363pの分厚い本になった。これは読まなきゃ、損だよっ! 本文は一挙に活字ャCントが小さくなってしまうのだが、もう前書きで襟首捕まってるから、逃げ出せやしない。メガネを鰍ッて読むしか無いだろう。

 ところで「そ連」の会員番号は、現在何番くらいなんだろう? 三桁のうちには入会したいかもしれない。

『それってどうなの主義』 斎藤美奈子/著 白水社/発行