いつものようにFMラジオを聞きながら、里芋と人参の煮物をつくっていた。おりしも連続してかかるのは吉田拓郎の有名な曲の数々である。『結婚しようよ』は春っぽいメルヘンな楽曲だなあとか、あ、『夏休み』! これ、好きやったんや、とか行動は主婦だが、心の中は鼻歌まじりの女子中学生であった。
ところが、一気におばさん根性が引きずり出されてしまうような、聞き捨てならない曲が出現した。『旅の宿』(昭和43年 岡本おさみ・作詞/吉田拓郎・作曲)である。
♪浴衣の君はススキのかんざし~♪ と歌う、あれである。ああ浴衣だからかんざしで、秋の感じをだしたくてススキなのね。普通浴衣って、夏だもんね。まだまだ残暑きびしい秋口なのかも。別にこのへんは、いいの。
♪もう一杯いかがなんて、妙に・・・色っぽいね♪
ほうほう、恋人同士が鄙びた宿に泊まったんだもの、そりゃ色っぽくもなるでしょうよ。
2番では ♪君の頬と耳は まっかっか♪だし
3番では ♪部屋の灯りをすっかり消して♪と準備は整い、しかも
♪風呂上がりの髪 いい香り
とムードは高まる一方だというのに、なぜかこの男は俳句をひねったり、上弦の月を見たりして、のんびりと構えている。イヤなヤツである。
このイヤなヤツ、という私の不安は4番で不幸にも的中することになる。
あろうことか、膝枕までさせておきながら、「飲みすぎちまって」うっとりと眠りに誘われているのである。とどのつまりが
♪君を抱く気にも なれないみたい♪
ときた。
いいんですよ、飲みすぎちまって、眠たくなったから寝かせてくれーっていうのは。そういうこともあるでしょうよ。でも「なれないみたい」っていうのがなんだかことさら癪にさわるのだ。なんなの、「みたい」って? 甘えんのもええかげんにしろよな!と喝を入れてみたいものである。むかむか。
せめて「ごめん、飲み過ぎたし眠たいねん。悪いけど寝かせて」とひとこと欲しい。
だからせめて別解釈で、憂さを晴らしたい。
もちろん「ススキのかんざし」なんてしているオンナは人間ではない。タヌキか妖怪に間違いない。もういっぱいいかが?と色っぽくすすめるのは、怪しげな飲み物に違いない。だって、「妙に」色っぽいんだもん、絶対何か裏があるはずだ。怪しげな飲み物、それはきっと魂、もしくは生気を抜き取る薬かもしれない。これで、この男の無気力加減が、説明できるというものである。ざまーみろなのだ。
ところが、一気におばさん根性が引きずり出されてしまうような、聞き捨てならない曲が出現した。『旅の宿』(昭和43年 岡本おさみ・作詞/吉田拓郎・作曲)である。
♪浴衣の君はススキのかんざし~♪ と歌う、あれである。ああ浴衣だからかんざしで、秋の感じをだしたくてススキなのね。普通浴衣って、夏だもんね。まだまだ残暑きびしい秋口なのかも。別にこのへんは、いいの。
♪もう一杯いかがなんて、妙に・・・色っぽいね♪
ほうほう、恋人同士が鄙びた宿に泊まったんだもの、そりゃ色っぽくもなるでしょうよ。
2番では ♪君の頬と耳は まっかっか♪だし
3番では ♪部屋の灯りをすっかり消して♪と準備は整い、しかも
♪風呂上がりの髪 いい香り
とムードは高まる一方だというのに、なぜかこの男は俳句をひねったり、上弦の月を見たりして、のんびりと構えている。イヤなヤツである。
このイヤなヤツ、という私の不安は4番で不幸にも的中することになる。
あろうことか、膝枕までさせておきながら、「飲みすぎちまって」うっとりと眠りに誘われているのである。とどのつまりが
♪君を抱く気にも なれないみたい♪
ときた。
いいんですよ、飲みすぎちまって、眠たくなったから寝かせてくれーっていうのは。そういうこともあるでしょうよ。でも「なれないみたい」っていうのがなんだかことさら癪にさわるのだ。なんなの、「みたい」って? 甘えんのもええかげんにしろよな!と喝を入れてみたいものである。むかむか。
せめて「ごめん、飲み過ぎたし眠たいねん。悪いけど寝かせて」とひとこと欲しい。
だからせめて別解釈で、憂さを晴らしたい。
もちろん「ススキのかんざし」なんてしているオンナは人間ではない。タヌキか妖怪に間違いない。もういっぱいいかが?と色っぽくすすめるのは、怪しげな飲み物に違いない。だって、「妙に」色っぽいんだもん、絶対何か裏があるはずだ。怪しげな飲み物、それはきっと魂、もしくは生気を抜き取る薬かもしれない。これで、この男の無気力加減が、説明できるというものである。ざまーみろなのだ。