紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

バイアスに架ける橋

2007-05-14 17:57:24 | ノンジャンル
 「バイアスがかかっている」というのは、「偏見」や「思い込み」や「先入観」を通して物事をみる事である。他ならぬ自分が強固な固定観念を持っている事に、自分で気付く事はほぼないと思うが、ハッと自覚したことが2、3日を置いて続いたので、自戒の意味で報告しておきたい。

 と、ものものしく始めてはみたものの、いやいやトホホな話なのである。単に「ああ、私って岩のようなバイアス持ってるんや・・・」としみじみ謙虚になったのである。

 職場からの帰途、信号待ちをしていると、右手のコンビニから冴えない男性が出て来た。私は「えっ!?」と驚き、彼が車の横を通り過ぎても、まだ首をひねって彼を見送ってしまった。

 かつて片思いだった男性? ブー! 初対面である。

 齢の頃は30半ばほどだろうか。太宰治をじじむさくしたような、生徒に無視されつつ授業を進める大人しい教師のような、どちらかといえば長身の男性。彼がコンビニで購入したものは、むき出しに手の中にあった。それはメーカー品のソフトクリームである。ちゃんとクリームのねじねじした三角錐の部分に、透明のキャップがかぶせてあった。それを大事そうに握りしめ、無表情で歩いて行った。

 上記のような風体の男性が、メーカー品のソフトクリームをむき出しで持っている、という景色に初めて遭遇し、かなり動揺した。直後、動揺する自分に対して再び動揺する。

 落ち着いてよく考えれば、どんな風体の人であろうが暑くなってくれば、「アイスたべたい。できればソフトクリーム♪」と思う可能性はあるのだ。
 そうだ、ソフトクリームマニアだっているかもしれない。
 つい最近ソフトクリームに目覚めたのなら、「手始めにコンビニから制覇」と思い立つだろうし。
 いや、そこまで行かずとも、「カップは両手を使うし、バーはアイスが溶けて落ちる可能性があり、もったいない。やっぱりソフトやな」と合理的な結論に行き着いたのかもしれない。

 自分が見慣れていないから、といって体をねじって見送るほど特別なことではないのだ、と自分に言い聞かせた。自らのバイアスの強さを思い知った事件である。

 そして本日遭遇した2度目のバイアス事件である。
 スーパーに行って、お兄ちゃんに「洗顔クリーム買って来て、どんなんでもいいし」と言われていた事を思い出した。そこで一番安かった「植物物語」を選んでしまったが、決定するまでに、実はかなりの時間を要した。その棚にある商品をじっくりと見たのだ。

 中でエフティ資生堂の男性用ブランドに、おもわず目が釘付けになる。髪につけるムースやスタイリングの容器に「HG」の文字が! 男性用の頭髪関係の商品にHG!? 我が家では信じがたい命名である。なぜなら。

 レイザーラモンが彗星のように現れHGを名乗ったとき、Kちゃんがお父さんに聞いた事がある。彼女がにやにやしつつ
「お父さん、HGって何のことか知ってる?」
困惑する父。
「教えてあげよか? HAGEの略やねん!」とがはは~と高笑いする娘に
「ムカ~!! なにがハゲやねん!」と思わず怒りながら笑ってしまう父。
ちなみにH氏は抜け毛を大変恐れているが、自分で気にするほどハゲてはいない。

 ということで、我家ではHGは特別な意味を持つのである。H氏は100%「HG」ブランドを使用する事はないであろう。
 もっともエフティ資生堂としては「ハイ・グレード」の意味を持たせたのであろうが、やはり曖昧な名前は誤解の元である、とひとこと注意を促したい。
 私にとっては娘の言った「HG」が岩のように固いバイアスとなってしまったのである。

 人間誰しも、自分が関わっている事にはたいへん敏感なのだが、一歩テリトリーの外に出てしまうと、案外しっかりバイアスがかかっていたりするみたい。がっかりするが、少なくともそんな自分を、カッコ悪いよなあ~と謙虚になれる余裕くらいは持ちたいものである。最低限、他人から自分のバイアスを指摘されて逆ギレするという、カッコ悪い悪あがきだけは露呈したくないなあ。これって案外難しいんだけどね。