紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

盆栽おじさんの正体は?

2008-04-28 15:11:17 | おでかけ
 「今回の長浜行きは、あんまり収穫なかったなぁ」とH氏は言っていたけど、いやいやそんなことは。

 デンタルクリニックの写真を採取した後、元来た道を引き返した。行く時に大通りに出る閑静な裏通りを歩いたのだが、そんな小径の角近くのちいさなお家に、鋭利な知の人である評論家・小林秀雄に似た字面のお名前、一名様のみの表札が鰍ゥる家の前に視線が釘付けになる。

 前庭ともいえない狭い空間に、ぎっしりと見事な盆栽が並ぶ。種類はさまざまだが、端正で几帳面で厳格な世話人の性格が反映されているようだ。こんなにきちんと美的感覚の明確な盆栽を目にするのは、初めてだったので、ちょっと驚いた。

 すぐさま鋭利で厳しいお年寄りの風貌を想像し、こんなところに野球やサッカーのボールが飛んで来たら・・・とそのボールの持ち主の子どもをひどく哀れに思う所まで、妄想は発展したのだった。寸鉄人を刺すかのような、一生記憶に焼き付くであろう言葉が、子どもの耳に入るのでは。はらはら。もう住人は私の中では、しっかり「小林秀雄」そのひとなのだった。

 もう一度その家の前を通りかかったとき、なんというラッキー! 60ばかりの住人が家から登場したのだ! ミルクティー色の長袖下着とおそろいのパッチの上に、若干生地が薄めの、紺色のどてらを着ての登場!

 ちょっとバツ悪そうに、ちらっとでかい目で、直ぐ横を通り過ぎるH氏を見やった様子は・・・小林秀雄と言うよりも・・・H氏いはく「『だよ~ん』みたいやった」。

 『ダヨ~ン』は赤塚不二夫のマンガ『おそ松くん』に出てくるでかい口とチェックのスーツ、裸足に下駄履きの謎の男だ。


 しかもH氏の瞬時の観察によれば、「頭に松葉、乗せてはった・・・」

 角を曲がり、5、6歩、進んだ所で耐えられなくなって、声を殺しカラダを折り曲げて二人で爆笑したのは言うまでもない。