花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

はじめの一歩

2024年01月03日 | 研究
ビニールハウスの中で4名の女子メンバーが調査しています。
これは2代目TEAM FLORA PHOTONICS。
彼らは全部で7名。男子は野菜の硝酸態窒素の含有量を減らす研究。
女子は花の開花コントロールに取り組んでいました。
どちらもある植物ホルモンの合成を抑制させて行うという
同じ方法のため、当時草花班でありながら野菜も扱ったという訳です。
一見するとどこがPHOTONICS(光工学)なんだと思われるかもしれませんが
立派な光に関する研究なのです。
実はある薬剤でこの植物ホルモンの合成を抑制すると、不思議なことに
植物は光感受性が高まったような振る舞いを見せるのです。
これを「光形態形成」といいます。
この薬剤は当時、理化学研究所が考案して自作したもので
まだ市販されていませんでした。もし金額をつけると1g500万円。
これをFLORAはなんと3gも頂いたのです。
くださった理由は、この薬品やこの現象の農業利用を考えてほしいから。
しかし誰も取り組んだことのない初めての研究。参考になるものはありません。
すべてFLORAのアイデア力にかかっているのです。
その結果、この研究は2010から2017年までの長い間、
当時のメンバーの自由な発想で行われてきました。
古いMacから出てきた写真。FLORAが初めて取り組んだこの時の研究を紹介します。
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FLORA Magic Show

2024年01月03日 | 環境システム科
2010年に始めたFLORAの草花開花制御研究です。
薬剤である植物ホルモンの生成を阻害された植物は
まるで光を感じたかのような振る舞いを見せます。
左の2鉢は草丈が伸びないミニアサガオ、右は同じくミニヒマワリ。
どちらも夜が長くなり、日が短くなると花芽をつける短日植物です。
彼女たちが薬剤処理したのは2鉢のうちどちらでしょう。
答えは右側。左の無処理の花が咲いたのにまだ咲きません。
つまり短日条件になっているのですが、光を感じたかのように花芽を付けないのです。
では何日開花が遅れたのでしょう。
観察してみるとアサガオで10日、ヒマワリでは20日も遅れました。
彼女たちはこの期間の日没時間などをさまざま計算。
そして1日何分ぐらい光を長く感じたかなどを推測し
植物学会や植物生理学会で発表しては高い評価を得ました。
光を照射して開花を遅らせるのを抑制栽培といいますが
彼女たちのアイデアは一切ライトを使わずに光を感じさせるという魔法の技術。
ライトマジックショーと名付け、その後も後輩によって
省エネ栽培になるのではとさらに研究されました。
残念ながらこの薬剤はまだ植物成長調整剤に登録されていないので
商品にはできませんが、研究としては今なお魅力的。
後輩たちがさらなるアイデアを出せればショーが再開されるかもしれません。
なお彼女たちはこの数ヶ月後、東日本大震災で被災することになります。
能登半島周辺で発生している大震災。当時の記憶と重なります。
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