コケシノブ科アオホラゴケ属の「ウチワゴケ(団扇苔)」。湿った場所では団扇を拡げたような姿になるが、晴れが続いて乾燥すると写真の右にあるように“扇子”を畳んだようになる。中央に見えるラッパのようなものは葉の縁に付いている包膜で直径は1ミリにも満たない。筒状の中心から細長い中軸(胞子嚢床)が突き出し胞子嚢はこの中軸の周りに付く。これは東中野公園のもの。
ユリ科バイモ属の「カイコバイモ(甲斐小貝母)」。早春に下向きの小さな釣鐘状の花を付け果実は長さ1.5センチほどの3稜形の蒴果になる。写真は若い果実だが5月下旬には黄変して裂開し種子を飛ばす。6月には地上部が無くなり休眠するのでスプリングエフェメラル(Spring Ephemeral)のひとつでもある。これは片倉城跡公園のもの。
高尾山“5号路”の山頂付近で見掛けた「アカフタチツボスミレ(赤斑立坪菫)」。葉脈沿いに赤い斑が入るタイプで稀に見られる。先日、高尾山”冨士道”でも見ていたが、それと比べて写真のものは紫色が濃くニオイタチツボスミレのような色合い。花色がニオイタチツボスミレに近く葉がタチツボスミレの形の交雑種にマルバタチツボスミレがあるが、それを更に“赤斑”にしたようにも見える。スミレは自然交雑が多く今でも次々に新種が報告されていて植物学者でなくても発見者になる可能性は十分にある。できればこれを“アカフマルバタチツボスミレ(赤斑丸葉立坪菫)”と報告したいところだが、おそらくアカフタチツボスミレの個体差の範囲だろう。