現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

村中李衣「ごきぶり、空へ ― 守の場合」小さいベット所収

2017-02-19 09:41:17 | 作品論
 守は成績がクラスでも塾でも一番で、私立中学を受験する予定でした。
 しかし、心臓の具合が悪くて、ペースメーカーを埋め込む手術のために入院しました。
 守が入院することになっても、塾通いの仲間の正次や智志はむしろ成績が上がるので喜んでいるほどでした。
 そんな中、同じクラスのかおるだけは心配してくれています。
 守は個室に入っていますが、大部屋の同じくペースメーカーを埋め込んでいる幼女の加奈と知り合います。
 また、保母さんの指導で他の子どもたちとの勉強会も始まります。
 守の所へは誰も見舞い客がありませんでしたが、二か月たったころ、智志と正次がクラスメートが折った千羽鶴を持ってきました。
 一番大きな鶴はかおるが折ったものです。
 その晩、加奈がひどい発作を起こしました。
 みんなが心配している時に、病室にごきぶりが現れ守は殺虫剤をかけますが、ごきぶりは懸命に生きようとします。
 守はごきぶりをかおるの鶴に載せて、空へ飛ばします。
 五日ほどして、かおるが見舞いに来ると、守は加奈を膝に抱いて勉強をしていました。
 受験競争の中での殺伐した人間関係の中から、入院したことによって人間性を回復する守の姿を描いています。
 特に、殺虫剤をかけられたごきぶりが懸命に生きようとする様子を執拗なまでに描いた部分は鬼気迫るものがあって、発作と戦う加奈の姿に重ね合わせて、生きていくことの大事さを見事に表現しています。
 
小さいベッド (偕成社の創作(21))
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偕成社
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小川洋子「ビーバーの小枝」いつも彼らはどこかに所収

2017-02-19 09:39:15 | 参考文献
 亡くなった自分の本の翻訳家の家(もちろん外国)を訪ねた作家が、翻訳家の息子とその恋人ともに、今は亡き翻訳家を偲ぶ作品です。
 おそらく作家は小川自身で、実体験に基づくものと推測されます。
 いつもの小川の作品のフィクション性があまり感じられず、ノンフィクションのような味わいがあります。
 しかし、その翻訳家に対する小川の思い入れに読者はついていけません。
 児童文学の世界でも体験に基づいて書かれた作品はたくさんあり、その多くが他人には書けない世界でしょう。
 でも、この実体験というものは、両刃の刃のような気がします。
 体験を作家の内部でよく熟成させて創作しないと、小説としては不満足な物に終わる危険性をはらんでいます。
 この作品の描写は非常に美しく印象に残りますが、物語性が乏しいので物足りないのかもしれません。

いつも彼らはどこかに
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新潮社
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橘玲「(日本人)」

2017-02-19 09:37:53 | 参考文献
 日本人を「国家」や「国民」という既成の枠組みからはずして、かっこに入れてみることにして明らかにすることをねらいとした日本人論です。
 著者があとがきで述べているように、自分自身の研究や考察ではなく、いろいろな人の研究や考察をつまみ食いして紹介した本です。
 ただ、作者はなかなかの博覧強記でまとめ方もうまいので読みやすく、いろいろな本の大事なところを知ることができて(もちろん著者というフィルターによってバイアスはかかっているのですが)、読んでみるとお得な感じです。
 著者自身が、ところどころにまとめを用意しているのでそれを以下に紹介します。

ここまでのまとめ(1)
・社会は「政治空間」と「貨幣空間」から構成されている
・政治空間>家族や恋人、友人や知人などの人間関係でできた共同体(政治の倫理)
・貨幣空間>他人同士がモノとお金のやり取りでつながる世界

 ライトノベルなどで「セカイ系」と呼ばれる分野では、上記の「政治空間(文学のことばでいうと中景)がなく、いきなり恋愛などの個人の問題(文学のことばでいうと近景)が、「貨幣空間」(文学のことばでいうと遠景)に結びついてしまいます。

・市場原理主義(グローバリズム)>貨幣空間が政治空間を侵食すること

ということは、「セカイ系」は「グローバリズム」が生み出したともいえるかもしれません。

・アンチ・グローバリズム>貨幣空間の侵食(市場の倫理)に対して、政治の倫理で対抗しようとすること

 最近の児童文学作品(例えば中脇初枝の「きみはいい子」(その記事を参照してください)など)では、過去の社会への回帰が主張されているものもあります。

・武士道>日本版の「統治の倫理」
・日本人>明治維新の後、西洋との接触によって人工的につくられた自画像(オリエンタリズム)

ここまでのまとめ(2)
・脳のOSは因果律(原因→結果)で、確率的な事象や複雑系の世界を処理できない
・進化論>生物はより多くの子孫を残すように進化してきた(子孫を残せなかった生物は淘汰された)
・進化心理学>ヒトのこころ(感情)は、より多くの子孫を残すように進化してきた(愛情など)
・男と女の生殖機能のちがいが愛し方のちがいを生む
・近親相姦の禁忌>オスがメスを獲得するには、他部族と交換するか、他部族から奪ってくるしかない
・女の交換>贈与・互報酬の文化
・女の略奪>”俺たち”と”奴ら”に集団化しての殺し合い(カニバリズム)
・「神」は脳のプログラムから偶然生まれた

ここまでのまとめ(3)
【農耕文明に特有のエートス(行動文法)の成立】
土地(なわばり)への執着→閉鎖性
全員一致での意思決定→妥協
分を守って生きる→身分制
循環的な世界観→非歴史性

【東洋と西洋のエートスのちがい】
アメリカ人のデフォルト戦略>自分を目立たせる
日本人のデフォルト戦略>他人と同じ行動をとる

【世界の把握の仕方】
西洋人>分類→個や論理の重視
東洋人>関係→集団や人間関係の重視

ここまでもまとめ(4)
・イングルハートの価値マップ
 日本人の「世俗指数は際立って高い」

・世界価値観調査
 日本人:家族や友人の期待に反しても”自分らしく”生きたい

・日本人は万葉のむかしから世俗の価値しか認めなかった
      ▼
・日本の社会は「空気(世間)」と「水(世俗)」でできている

・地縁・血縁を捨てた日本人
 「一人一世帯」という特異な文化(単身赴任、ワンルームマンション)

・たまたま出会った場所で共同体(イエ)を作る>学校・会社・ママ友
 ”無縁社会”は日本人の宿命

ここまでのまとめ(5)
・経済的なグローバリズム>自由貿易(市場原理主義)
・政治的なグローバリズム>リベラルデモクラシー(アメリカニズム)

・貿易とは国際分業のこと>自由貿易によって世界はよりゆたかになる
      ▼
・グローバリズム(自由貿易)はユートピア思想

【グローバルスタンダードとはなにか?】
      ▼
・古代ギリシアは退出自由なグローバル空間→弁論術(論理)とデモクラシー
・キリスト教の絶対神は「神々の闘争」を避ける工夫→グローバル宗教
・ギリシア文明(ヘレニズム)とキリスト教(ヘブライズム)の合体>近代の成立

・絶対王政に対抗する思想>自由・平等・デモクラシー
・国民国家>人類を啓蒙する軍事国家→帝国主義→さらなるグローバル化へ

ここまでのまとめ(6)
・政治哲学の四つの正義
      ▼
 ①リバリタリアニズム=自由
 ②リベラリズム=平等
 ③コミュニタリアニズム=共同体
 ④功利主義=進化論的な根拠を持たない正義

・意思決定の三つの方法
      ▼
 ①全員一致の妥協
 ②ルール原理主義
 ③独裁

・グローバルスタンダード(リベラルデモクラシー)>グローバル空間での絶対の権力
・アメリカは社会そのものがグローバル>グローバル空間化した世界での唯一の正義

ここまでのまとめ(7)
・前近代:無限責任>無責任→空虚な中心
      ▼
・連帯責任(中世のムラ社会)
・近代:有限責任>自己責任
         法(契約)の絶対性

・統治(ガバナンス)>責任と権限が一対一で対応すること
・会社統治(コーポレートガバナンス)>株主を「主権者」として統治構造を組み立てる仕組み

・みんなのための会社>誰も責任をとらない会社
      ▼
・呪術的な無限責任の世界

ここまでのまとめ(8)
・日本の政治 省庁連邦国家日本
 ①官僚内閣制
 ②省庁代表制
 ③政府・与党二元体制
      ▼
 省庁同士のなわばり争いで機能不全に

・日本の経済 一九四〇年体制=国家社会主義的な統制経済
 ①終身雇用と年功序列
 ②メインバンク制
 ③官僚支配
 ④補助金・交付金と社会保障制度
 ⑤農地改革と地主階級の消滅
      ▼
「改革」を拒絶する最大の守旧派=企業経営者と労働組合

ここまでのまとめ(9)
・先進国(日本・アメリカ・ヨーロッパ)では株価は上がらなくなった
 バブルの崩壊→中産階級の没落

・大停滞=「容易に収穫できる果実」を食べつくした
      ▼
 国家という「問題」を国家によって解決しようとする矛盾

・ネオリベ≒ネオコン>ポスト「福祉国家」の政治哲学
 リベラリズム=福祉国家は破綻している
 グローバルな正義=法の支配
  ▼
 世界思想

・ネオリベを超えていくものはなにか?

ここまでのまとめ(10)
【お金と評判】
・お金>限界効用が逓減
・評判>限界効用が逓増

・実名社会>ポジティブゲーム=できるだけ目立つようにする
・匿名世界>ネガティブゲーム=できるだけ目立たないようにする

【前期近代(大きな物語)から後期近代(小さな物語)へ】
・後期近代><私>中心主義の時代→ナンバーワンではなくオンリーワンへ
・再帰的近代><私>が<私>を参照する無限ループ→自己コントロール
・超越者のいない、世界でもっとも世俗的な日本人→後期近代の完成
  ▼
 自由のユートピアへ

 既存の様々な知見を巧みに現在の事象に当てはまる手腕はなかなかのものでしたが、もっとも世俗的な日本人が後期近代の先頭ランナーで自由のユートピアへ向かうという結論(著者の願い?)は、あまりに手前味噌で楽観的すぎて簡単には首肯はできませんでした。

(日本人)
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幻冬舎


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グードルン・パウゼヴァング「スープはまだ温かかった」そこに僕らは居合わせた所収

2017-02-19 09:32:44 | 作品論
 ナチス・ドイツ下の記憶を、今は老年に達した人々が、若い人たちに語り伝える短編集の巻頭作品です。
 列車で居合わせた老婦人が過去を語る形で書かれています。
 ユダヤ人の家族が収容所へ送られていく様子を、周囲のドイツ人が無関心、いや楽しんでさえいた様子が克明に書かれています。
 たまたま連行されていったユダヤ人の家の鍵がかけ忘れていたために、ドイツ人たちによる(数年までそのユダヤ人家族と友人だった人たちが)あさましくも略奪していく様子が淡々と描かれています。
 主人公の少女(語り手の老婦人の若かったころ)も、母と兄弟たちと、ユダヤ人の家の食堂で急に連行されたためにユダヤ人の家族が残していった昼食を食べ始めます。
 ラストで母がスープを一口食べて「ああ、まだ温かいわ」といった言葉が生々しいリアリティを感じさせます。
 訳者の高田ゆみ子のあとがきによると、作者のパウゼヴァングは敗戦時に17歳の軍国少女だった自分と向き合うのに数十年の月日が必要だったそうです。
 戦争の被害者としてだけでなく、加害者でもあったことを語ることは勇気のいることですが、非常に重要なことと思います。
 日本の戦争児童文学では、ともすると原爆や空襲などの被害体験だけが強調されがちですが、この作品のように加害者意識を持った作品ももっと書かれる必要があると思います。

そこに僕らは居合わせた―― 語り伝える、ナチス・ドイツ下の記憶
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みすず書房
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辻原登「冬の旅」

2017-02-19 09:30:32 | 参考文献
 辻原の得意とする犯罪や刑務所を扱った作品です。
 一人の男が殺人者まで転落していく様子を、これでもかこれでもかと、執拗に追及しています。
 その過程で、辻原ならではの博覧強記ぶりを、犯罪、刑務所、異常性格、新興宗教、カルト教団、大阪の下町の広義の意味での風俗、性産業を意味する狭義の風俗、阪神大震災などに、存分に発揮しています。
 ストーリーや登場人物のリアリティといい、興味深い知識といい、骨太な一級のエンターテインメントに仕上がっています。
 このような本格的なエンターテインメントは(もちろんこの作品は暴力とセックスシーン満載なので子どもには無理ですが)児童文学の世界でもほしいのですが、今のお手軽本全盛の児童文学の出版状況では、純文学的児童文学と同様に子どもたちの手に届けるのは困難でしょう。

冬の旅
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集英社
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ピエール・ルメートル「その女アレックス」

2017-02-19 09:29:19 | 参考文献
 一級のミステリー小説です。
 被害者と加害者、追う者と追われる者が、何度も入れ替わり、複雑なプロットにおいて重層的な謎解きを堪能できます。
 また、登場人物たちのキャラクターも際立っており、現代におけるエンターテインメント作品の要件を十分に満たしています。
 お手軽なエンターテインメント作品全盛の日本の出版界とは、明らかに一線を画しています。
 児童文学の世界でもこういった重厚なエンターテインメントが生まれるのを祈りますが、現在の子どもたちの読書力を考えるとあまり売れそうにもないので、出版は難しいかもしれません。

その女アレックス (文春文庫)
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文藝春秋
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綿矢りさ「ひらいて」新潮2012年5月号所収

2017-02-19 09:28:08 | 作品論
 高校三年生の私は、クラスメイトの「たとえ」という変わった名前の男子に片思いをしています。
 しかし、「たとえ」は美雪という糖尿病にかかっていて人前でインスリンを注射する風変わりな女子と、中学時代からひそかに付き合っています。
 二人の関係に気が付いた私は、強引に美雪に接近し、同性愛の関係を持ちます。
 こうして、三人の奇妙な三角関係が始まります。
 父親に迫害されている「たとえ」は、猛勉強して東京の最難関大学に合格して町を脱出します。
 美雪も、「たとえ」について東京へ行くことになります。
 私もそんな二人についていくことを決意して、この奇妙な三角関係がこれからも続いていくことが暗示されます。
 作者の特長である優れた描写力や、偏執狂的な人物設定はこの作品でも不思議な魅力になっています。
 純文学的な優れた文章表現や作者としては冒険的な同性愛の描写はありますが、登場人物の年齢や題材はヤングアダルト向けの児童文学といってもおかしくありません。
 もっとも平易な文章の読みやすい作品ばかりに慣れているヤングアダルトの読者(実際は大人の女性が中心ですが)にとっては、やや純文学過ぎて読むのに咀嚼力を要求されるかもしれません。
 しかし、それにしても、この作品だけでなくこの作者の作品はどうして恋愛だけに固執するのでしょうか。
 もっと社会的になれとまでは言いませんが、高校生たちを取り巻く今日的な状況が少しも描かれず、オーソドックスな学園風景(現代的にアレンジはされていますが)の中での恋愛関係だけでは(同性愛も含めてかなりひねってはありますが)、読んでいて物足りません。
 また、「たとえ」の父親や主人公の両親の描き方が表面的で中途半端な印象を受けます。
 これらは、おそらく作者が高校生でデビューして早稲田の学生の時に芥川賞を取るといった純粋培養された作家なので、社会経験が乏しいためと思われます。
 こういった面では、デビュー作のころからあまり成長がみられないように思えます。
 また、作品が2012年に発表されているのに、東日本大震災や原発事故などによる生きていくことへの不安感や、格差社会、世代間格差などによる若者たちの生きづらさがまるで作品に影を落としていないのは、純文学としては全く物足りません。
 おそらくこういった恋愛物の方が読者(特に女性読者)には受けるので、編集者から要求されて書いているのでしょうが、だんだんこの才能ある作家が平凡なエンターテインメントの書き手に変化していくのが残念です。

ひらいて
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新潮社
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ウルズラ・ヴェルフェル「ぶす」灰色の畑と緑の畑所収

2017-02-19 09:25:51 | 作品論
 年の離れた姉妹や兄弟の場合、一方的に姉や兄が我慢させられ、妹や弟がどんどんわがままになるのは、どこの国でも共通のことでしょう。
 この作品の場合は、調子に乗りすぎた妹が、姉の大事な物を壊してしまい怒りをかいますが、かわいらしい反省の仕方に姉は自制します。
 まあ、これもよくある話で、紙数も少ないので、物語としてはあまり面白くありません。

灰色の畑と緑の畑 (岩波少年文庫 (565))
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岩波書店
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オオカミなんかこわくない

2017-02-19 09:19:02 | キンドル本
 主人公の友だちの佐瀬くんは、小柄でやせっぽちなので、ヤセくんと呼ばれています。
 ヤセくんは運動は苦手なのですが、がんばりやです。
 主人公の通う学校で学芸会が行われます。
 学芸会の出し物について、主人公のクラスでは男子と女子が対立します。
 けっきょく、そのクラスだけ、特別に男女別々の出し物をやることになりました。
 女の子たちは、シンデレラをやります。
 男の子たちは、三匹のコブタをやることになりました。
 三匹のコブタでは、クラスで一番痩せているヤセくんにハラペコオオカミの役をさせました。
 女子のシンデレラは大成功でした。
 一方、男子の出し物の評判は良くありませんでしたが、ヤセくんの演じたハラペコオオカミを棒に縛り付けてぶらさげるところだけは、観客に少しうけました。
 そのため、学芸会の後でヤセくんを捕まえて縛り上げる遊びがはやってしまいます。
 そして、そのはずみで、主人公たちはヤセくんを怪我させてしまいます。
 主人公たちは、先生にこっぴどく叱られます。
 ヤセくんの病室をお見舞いに訪ねた主人公たちが見たものは?

(下のバナーをクリックすると、2月23日まで無料で、スマホやタブレット端末やパソコンやキンドルで読めます。Kindle Unlimitedでは、いつでも無料で読むことができます)。

オオカミなんかこわくない
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