現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

原 結子「こうもりの飛ぶ空」日本児童文学2014年3・4月号所収

2018-02-01 16:17:15 | 作品論
 コウモリを捕まえて教室で飼おうとする、クラスの中心的な男の子に反発する、五年生の女の子の揺れ動く心を描いた掌編です。
 掌編なので短いお話ですが、一瞬のシーンをうまくとらえています。
 ただ、子どもたちの風俗や心理がやや古く感じられました。
 作者の子ども時代が舞台なのでしょうか。
 もっとも、少女小説では古い風俗や心理も読者に受け入れられる傾向がありますから、これも許容範囲かもしれません。

日本児童文学 2014年 04月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
小峰書店
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安藤美紀夫「いちじく」でんでんむしの競馬所収

2018-02-01 16:15:38 | 作品論
 三年生の男の子で大ぐらいのガキと、父親が戦地で重営倉に入れられている噂があってみんなに「ジューエーソー」と呼ばれているタマエ(母親がカフェーの女給をしているせいか少しませていて、男の子たちにキッスのしかたを教えています)が、苦労して(ガキは投げ縄を、タマエは手作りのはしごを用意しています)みんなを出し抜いて小学校の校庭のいちじくを食べますが、まだ熟していなかったのでかぶれてしまいます。
 たわいない子どもたちの遊びの中に、貧困や戦争が暗い影を落としているのを、作者は深刻にならずにユーモアの中に描き出しています。

でんでんむしの競馬 (少年少女創作文学)
クリエーター情報なし
偕成社
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ジオストーム

2018-02-01 16:01:23 | 映画
 異常気象に対応するために開発された気象コントロール衛星群が暴走して、世界中を襲う巨大な嵐、ジオストームが発生する危機と、それを防ごうとする兄弟(兄は衛星群の開発リーダーだったがアメリカ政府の上層部に刃向って首になり、弟はその後を無難にこなして、国務次官補にまで出世したエリート)の活躍を描いています。
 ストーリーのご都合主義(こうした大事件が、個人的なたくらみで簡単に発生して、それをまた個人的な活躍や技能で簡単に解決してしまいます)なのと、人間ドラマが安っぽい(すべてを兄弟愛、親子愛、男女の愛情に収れんさせてしまいます)のを目をつぶれば、やはりハリウッド映画はお金をかけているだけあってCGの表現が素晴らしく、見ていてスカッとします(題材が大惨事なので大勢の人が死んでいくのですが、ほとんど現実感がないので深刻な気分にはなりません)。
 また、リベラル派の多いハリウッド製作の映画らしく、反トランプのエピソード(異常気象に対して世界が協力するというスタンスで、アメリカのパリ条約脱退をさりげなく批判しています。民主党大会の会場で民主党の大統領が襲われますが、主人公側の女性SP(弟の恋人)の大活躍で生き残り、最後はいいもの役を演じます。ラストで兄と現在の衛星群の責任者の女性科学者をスペースシャトルで救出するのはメキシコ人の技術者で、「メキシコに感謝しろ」というセリフをはかせていますなど)が盛りだくさんです。

ジオストーム
クリエーター情報なし
Rambling RECORDS
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