日本児童文学学会の第51回研究大会で、発表された研究発表です。
戦時中の有名な標語である「欲しがりません勝つまでは」は、1942年に公募されたものだったそうです。
大橋は、「欲しがりません」という以上は、それ以前に<欲望する主体>が構築されていたはずだと推測しました。
そして、幼児メディアの中に、そのことを象徴するポーズを発見したと主張します。
ここで幼年メディアとは、絵雑誌と絵本を指します。
大橋は、「お伽絵解 こども」の中にそれを見出し、特に3巻6号(1906年)の「貞ちゃん」の<頂戴のポーズ>をしている幼児像に着目します。
これらの絵は、すべてベースの物語は「桃太郎」を使っています。
その中に、<頂戴のポーズ>をしている物が七点あります。
「貞ちゃん」は、物が渡されているのが少年から女児であること、渡している物が兵士人形であること、男女の大きさの違いがデフォルメされていること、そのポーズ自体などにおいて、<頂戴のポーズ>の典型としています。
このわずかの資料から、社会構成主義の理論を使って、ジェンダー(男性と女性の差異的関係性)やナショナリズムの形成との関係にまで探求していった、大橋の論理展開や推測力には驚かされました。
また、「お伽絵解 こども」は全ページ多色刷りなので、プロジェクターをうまく使ってそれぞれの絵をカラーで見せたのも、プレゼンテーションに迫真性を持たせていて効果的でした。
さらに、三十年以上後の1938年3月の「一目でわかる最近五十年間日本躍進絵本」にも、<頂戴のポーズ>をする大人の男女の絵があり、その関連性が興味深く感じられました。
ただし、発見された<頂戴のポーズ>は今回紹介された二例のみで、その間をつなぐものを探しているそうです。
会場からは、「近代以前にも女性が<頂戴のポーズ>をしたものがある」との指摘があり、今後の研究が広がる可能性が感じられました。
戦時中の有名な標語である「欲しがりません勝つまでは」は、1942年に公募されたものだったそうです。
大橋は、「欲しがりません」という以上は、それ以前に<欲望する主体>が構築されていたはずだと推測しました。
そして、幼児メディアの中に、そのことを象徴するポーズを発見したと主張します。
ここで幼年メディアとは、絵雑誌と絵本を指します。
大橋は、「お伽絵解 こども」の中にそれを見出し、特に3巻6号(1906年)の「貞ちゃん」の<頂戴のポーズ>をしている幼児像に着目します。
これらの絵は、すべてベースの物語は「桃太郎」を使っています。
その中に、<頂戴のポーズ>をしている物が七点あります。
「貞ちゃん」は、物が渡されているのが少年から女児であること、渡している物が兵士人形であること、男女の大きさの違いがデフォルメされていること、そのポーズ自体などにおいて、<頂戴のポーズ>の典型としています。
このわずかの資料から、社会構成主義の理論を使って、ジェンダー(男性と女性の差異的関係性)やナショナリズムの形成との関係にまで探求していった、大橋の論理展開や推測力には驚かされました。
また、「お伽絵解 こども」は全ページ多色刷りなので、プロジェクターをうまく使ってそれぞれの絵をカラーで見せたのも、プレゼンテーションに迫真性を持たせていて効果的でした。
さらに、三十年以上後の1938年3月の「一目でわかる最近五十年間日本躍進絵本」にも、<頂戴のポーズ>をする大人の男女の絵があり、その関連性が興味深く感じられました。
ただし、発見された<頂戴のポーズ>は今回紹介された二例のみで、その間をつなぐものを探しているそうです。
会場からは、「近代以前にも女性が<頂戴のポーズ>をしたものがある」との指摘があり、今後の研究が広がる可能性が感じられました。
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