「新潮」昭和45年1月号に掲載されて、この作品を表題とする短編集に収められています。
この作品の構成は、以下の通りです。
一 中学二年の良二が、科学雑誌の付録の抵抗測定器(?)や小えびの卵孵化セット(?)で遊んでいる話。
二 小えびを塩水につけて孵化させる話。
三 良二に庭の椎ノ木の枯れ枝を取らせる話。
四 良二が、母の誕生日に櫨の木を贈った話。
五 小えびの話の続きと、良二が笛で「おしばな」という曲を吹いた話。
この作品に限らず、作者の三人の子ども(他に和子と明夫)の中で、一番下の良二のエピソードが圧倒的に多いです。
上の二人の子どもたちが大きくなって、作者との距離ができたということもありますが、良二が一番おっとりとしていて、作者に対して素直だったという理由もあるでしょう。
この関係は、良二が成人して家族を持つようになってからも続きます。
また、良二の妻になる女性や子どもたちも、作者のお気に入りだったようで、作品に頻出します。