「モスラ対ゴジラ」(その記事を参照してください)と同じく、1964年に作られたゴジラシリーズ5作目です。
三大怪獣というのは、モスラ、ゴジラと、もうひとつ東宝の誇る怪獣スター、ラドンのことで、人気スターのそろい踏みです。
実は、もうひとつキングギドラも登場するのですが、それは途中まで伏せられています。
初めはけんかをしていたゴジラとラドンを、正義の怪獣モスラ(国会の要請により、平和の島インファント島からやって来ました)が説得して、金星の文明を滅ぼしたというふれこみの宇宙怪獣キングギドラを、地球の三大怪獣が力を合わせてやっつけるという怪獣ストーリーに、命を狙われている外国の王女(なぜか金星人になったり、日本語をしゃべれたりします)とボディーガード役の日本の警察官の恋と冒険のストーリー(「ローマの休日」の完全なパクリです)をからめた娯楽作です。
この作品で、怪獣たちの擬人化度が格段に上がったこと、「人類の敵」であったゴジラが「人類の味方」へ変身したこと、怪獣だけではスト―リーが持たないので人間たちのドラマを付け加えたことなどで、ゴジラシリーズはこの後急速に堕落していきます。
人間社会の個々の問題(当時であれば、東西冷戦、核実験、安保、公害など)を批判するのではなく、人類のためとか地球のためといった大きな(それゆえあいまいな)正義を持ち出して、悪(この映画の場合は金星を滅ぼした宇宙怪獣)をやっつけるといった構図は、児童文学でもファンタジー作品でよく用いられますが、たんなる娯楽作品以上の価値は持ちえません。
三大怪獣 地球最大の決戦 【60周年記念版】 [Blu-ray] | |
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