紀元前に書かれたインドの国民的叙情詩です。
ラーマ王子とサルのハヌマットを中心にした、今のスリランカの島に住むラーバナという魔王を退治する冒険譚です。
原作は、二万四千の詩句で書かれた大長編ですが、そのあらすじを子どもたちにもわかるような形で抄訳しています。
民衆の間で語り継がれる間に、こうしたお話のご多分にもれず、残酷なシーンや性的なシーンが増えていったようですが、ここではそれらは割愛されています。
それでも、現在の基準に照らし合わせれば、残酷なシーンや差別的なシーンは残っているのですが、それらを差し引いても、力を合わせて悪魔や怪物を退治していくストーリーは、現代の子どもたち(特に男の子)にはアピールするでしょう。
登場する悪魔や怪物たちはかなりキャラがたっている(子供のころにも読んだのですが、ストーリーはすっかり忘れてしまったのに、腹がすくと敵を片っ端から食べてしまうクンバルカナや姿が見えないインドラジット(名前もカッコイイ)などの悪魔たちのことは覚えていました)ので、ここでの世界観を借りたRPGなどを作れば、かなり商品性があると思います(もしかすると、インドではすでにあるかもしれません)。
難を言えば、サルのハヌマットがまるで西遊記の孫悟空のように無敵なので、主役のラーマ王子が霞んでしまう点でしょう。
現実に、今では、庶民の間では、ラーマ王子よりもハヌマットの方が人気があるようです。