有名なバレエ「くるみ割り人形」は、ホフマンの童話「くるみ割り人形とねずみの王様」を、プティバがバレエ用の作品として書き直したものです。
この作品は、クリスティアン・シュプックがホフマンの原作に忠実に振り付けをしたものなので、より児童文学の要素が強くなっていて、児童文学者にとっては興味深いものになっています。
全体に、ストーリーを重視した演劇的な演出になっていて、童話的な舞台美術や衣装も伴って、私のようなバレエの門外漢にも楽しめる物になっています。
さらに、音楽はそれ自体がチャイコフスキーのバレエ音楽の古典として有名ですし、エマーソン、レイク&パーマーなどによるロック・ミュージックとしても、私たちの世代にはなじみ深いものです。
もともとファンタジーや童話は、バレエダンサーたちの超人的な動きと親和性が高いようで、普通の芝居として演劇化するよりもバレエにした方が、作品世界を伝えるのに適しているのかもしれません。
出演しているダンサーたちのパフォーマンスはどれも魅力的なのですが、特に主人公のドロッセルマイヤー役のドミニク・スラウコフスキーの悪魔的な演技や動きは一見の価値があります。
クルミわりとネズミの王さま (岩波少年文庫) | |
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岩波書店 |