現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

チューリッヒ・バレエ「くるみ割り人形とねずみの王様」

2020-12-12 15:57:20 | 演劇

 有名なバレエ「くるみ割り人形」は、ホフマンの童話「くるみ割り人形とねずみの王様」を、プティバがバレエ用の作品として書き直したものです。
 この作品は、クリスティアン・シュプックがホフマンの原作に忠実に振り付けをしたものなので、より児童文学の要素が強くなっていて、児童文学者にとっては興味深いものになっています。
 全体に、ストーリーを重視した演劇的な演出になっていて、童話的な舞台美術や衣装も伴って、私のようなバレエの門外漢にも楽しめる物になっています。
 さらに、音楽はそれ自体がチャイコフスキーのバレエ音楽の古典として有名ですし、エマーソン、レイク&パーマーなどによるロック・ミュージックとしても、私たちの世代にはなじみ深いものです。 
 もともとファンタジーや童話は、バレエダンサーたちの超人的な動きと親和性が高いようで、普通の芝居として演劇化するよりもバレエにした方が、作品世界を伝えるのに適しているのかもしれません。
 出演しているダンサーたちのパフォーマンスはどれも魅力的なのですが、特に主人公のドロッセルマイヤー役のドミニク・スラウコフスキーの悪魔的な演技や動きは一見の価値があります。

クルミわりとネズミの王さま (岩波少年文庫)
クリエーター情報なし
岩波書店
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