現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

沢木耕太郎「若き実力者たち」

2020-12-09 17:45:57 | 参考文献

 昭和47年に月刊エコノミストに連載され、翌年に単行本化された、作者が25才の時のデビュー作です。

 当時、各界で若手として注目されて人物を12人選んで、それを一ヶ月かけて取材し原稿に書き、それを一年間続けるという、駆け出しルポライター(当時の言葉)としては、破格の扱いでした。

 しかも、ベテランの編集者がそのバックについていて、内容も文章も厳しくチェックしてくれるという、まるで有給の養成学校のようなもので、いかに作者が期待されていたかがわかります。

 ご存知のように、作者は端正な風貌の持ち主で、若い頃は男女を問わずモテていたようなので、そのこともこの無名の書き手にはプラスに働いたかも知れません。

 しかし、そうしたこともルポライターとしての実力のうちで、取材対象と打ち解けられることなどで、より深くその人物を描けたのでしょう。

 対象に取り上げられた人物は、以下の通りです。

巨象の復活 尾崎将司

廃墟の錬金術師 唐十郎

疾駆する野牛 河野洋平

過ぎ去った日々でなく 秋田明大

華麗なる独歩行 安達瞳子

面白がる精神 畑正憲(その記事を参照してください)

神童 天才 凡人 中原誠

錨のない船 黒田征太郎

望郷 純情 奮闘 山田洋次

人魚は死んだ 堀江謙一

十二人目の助六 市川海老蔵

沈黙と焔の祭司 小澤征爾

 十二人の中には、さらに一段と飛躍した人物(小沢征爾、尾崎将司、中原誠、山田洋次など)もいれば、表舞台からは姿を消した人(秋田明大など)も、亡くなった方(安達瞳子など)もいます。

 しかし、取材時からの50年近い歳月は、作者も含めて、誰にも平等に経過したのです。

 

 

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