現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

動物ファンタジーの書き方

2016-10-28 08:38:21 | 考察
 児童文学の世界では、動物を主人公にしたファンタジーが、ケネス・グレアムの「楽しい川辺」以来、いろいろな形で書かれています。
 動物ファンタジーは、日常世界と不思議な世界(動物が口をきく、洋服を着ているなど)が混在したエブリデイマジックの世界で描かれることが多いです。
 その際には、日常世界と不思議な世界の境界をどうするかに、注意を払わなければなりません。
 前出の「楽しい川辺」でも、そのあたりがあいまいになっていて、矛盾と思われる部分もありました。
 もっとも、この作品の場合は、それ以外にたくさんの優れた点(動物ファンタジーのスタイルの確立、ヒキガエル、カワネズミ、モグラ、アナグマ、カワウソなどの個性的なキャラクターの創出、優れた詩的文章、森やその周辺の自然描写など)があり、その程度の瑕瑾は問題になりませんが。
 実際に創作する場合には、登場する動物たちの擬人化度も問題になります。
 動物たちがイギリス紳士そのものの「楽しい川辺」から、知性を除くと生態が野生のうさぎそのもののリチャード・アダムスの「ウォーターシップダウンのうさぎたち」まで、さまざまな擬人化の度合がありますが、作品のテーマやモチーフに合わせて慎重に選択しなければなりません。
 また、登場する動物も既存のイメージ(例えば、狐はずるい、犬は忠実、熊はお人よし、ヤギは紙を食べるなど)に寄りかかった書き方は避けるべきでしょう。

ゲームシナリオのためのファンタジー物語事典: 知っておきたい神話・古典・お約束110 (NEXT CREATOR)
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