【“小林怒り新党”発足会見(上)】「安倍内閣には一日も早く退場してもらわなければならない」
最後まで読んでね。
憲法学者の小林節氏は9日、東京都内で記者会見し、参院選に向けて政治団体「国民怒りの声」の設立を発表した。小林氏は「平和の推進に逆行する政策を確信を持って推進している安倍内閣には、一日も早く退場してもらわなければならない」と主張。また、自民党にも民進党にも共産党にも共感できない有権者の「代弁者たらんとして第三の旗を立てることにした」とも訴えた。会見の主な詳報は次の通り。
◇
小林氏「えー、あのー、たくさん議論しても混乱するので、私の手書きの『国民怒りの声設立宣言』と題したモノを読み上げる。その後、時間の許す限りいかなる質問にも答える。読みます。
政治の使命は国家権力を用いて主権者国民の幸福を増進することに尽きる。国民にとって幸福の条件は自由と豊かさと平和である。
しかるに安倍政権は、まず世界のどこででも戦争のできる法律を成立させてしまった。その理由として中国と北朝鮮の脅威からわが国を守るためと主張している。しかし、両国の脅威がわが国の専守防衛を実際に超え得るかは疑わしい。そして何よりも憲法9条が軍隊の保持と交戦権の行使を禁じているために海外派兵はできないとしてきた政府自らの解釈との矛盾を説明できていない。それは政府自身が公然と憲法を破ったことになる。
これが立憲主義の危機である。つまり権力を一時的に託されただけの立場にある政治家が主権者国民の最高意思である憲法を無視して勝手に行動を始めたことを意味する。これは国民主権国家における主客転倒であり、許されることではない。
次に、安倍政権は政府が秘密に指定した情報を永久に秘匿できる特定秘密保護法を制定してしまった。これは自由主義社会に例のないもので、主権者国民の知る権利を封殺し、ジャーナリストの報道の自由を奪うものである。加えて放送法を悪用して政府にとって耳の痛い言論人に不公平のレッテルを貼り、順次、論壇から追放している。これは民主主義の前提である言論の多様性が保障された社会の圧殺である。
また、今回の消費税最増税中止の雲行きを見ても明らかなように、いわゆるアベノミクスは失敗している。年金基金の投機的運用による損失も深刻である。加えて戦争法の制定に伴う防衛予算の突出は着実にわが国の富を減殺していく。米国の経験を見るまでもなく戦争は確実に国家財政を破綻に導くものである。
さらに海外派兵を可能にした戦争法がこれまで70年にわたり平和でいられたわが国に戦争の危険を現実のものにしてしまった。これはまた国際社会における平和国家としてのブランドの放棄でもある。
このように政治の使命、つまり主権者国民の自由と豊かさと平和の推進に逆行する政策を確信を持って推進している安倍内閣には一日も早く退場してもらわなければならない。
そのために現行選挙制度の下では自公に学んで野党は誠実に選挙協力をしなければならないと私たちは熱心に主張し続けてきた。その結果、参議院1人区での野党統一候補の擁立は着実に前進している。
他方、比例区に野党は統一名簿で参加せよという私たちの主張は理解が得られていない。統一名簿方式のメリットは二つある。第一はこれまでバラバラに戦って野党各党が無駄にしてきた莫大(ばくだい)な死に票も統一名簿であれば合算されて確実に議席を生むという事実である。第二が野党共闘の本気度を示すことによりこれまでは『どうせ政治は変わらない』と諦めて棄権してきた3割以上もの無党派層に『今度こそ政治が変わるかもしれない』という期待感を抱かせ、投票所に向かわせる効果がある。
経験上、その多くは野党に投じられ、相対的に与党の組織票の効果を下げることができる。しかし、現実にはこの野党統一名簿構想は頓挫してしまった。このままでは与党の勝利は目に見えている。
そこで私たちは安倍政権の暴走は止めたいのだが、かといっていまだに民主党政権の失政を赦すことができず、また、共産党に投票する気にもなれない多数の有権者の代弁者たらんとしてここに第三の旗を立てることにした。
基本政策は次の通りである。1、まず何よりも言論の自由の回復、これはメディアや大学への不介入。2、消費税最増税の延期とまじめな行財政改革。3、辺野古新基地建設の中止と対米再交渉。4、TPPの不承認と再交渉。5、原発は廃止と新エネルギーへの転換。6、戦争法の廃止と関連予算の福祉・教育への転換。また、改悪労働法制の改正等により共生社会の実現。最後は、憲法改正ならぬ改悪の阻止だ。以上だ」
−−小林氏の専攻は憲法学だ。立案は誰にお願いするつもりか
「物事ってそんなに難しくはない。自由と豊かさと平和に寄与する観点から見れば政策はおのずと選択できる」
「私はたまたま憲法学者として憲法の知識が突出しちゃっているから、それ以外ができないように言われるのは心外だ。67歳の年寄りなみの成熟した判断力はあると思っている」
「特定のブレーンは、あらゆる分野に友達がいっぱいいる。必要に応じて電話をかけて呼び出して…。人脈を持っているから必要に応じて相談はする」
−−安保法制に反対した。安全保障関連法に反対する学生グループ「SEALDs(シールズ)」などとの連係は考えているか
「共にやるとか、応援に入ってもらうとか、方針は決まっていない」
「ただ、だいたい全ての人と個人的につながりがある」
「まずはとにかく先頭に立って、旗を立てて、公平に、全ての人に、気があったら参加してくださいという形で…。一切こちらには政策の一致以外の条件はありません」
−−挙げた8つのうち、一点だけでも理解があれば参加してほしいか
「基本的には全部当たり前のことを言っている気がする。だって言論の自由の回復に反対の人がいるはずがない。建前上、安倍政権だって反対しないでしょ?」
「消費税再増税の延期は客観情勢として決まっている」
「辺野古の新基地建設だってアメリカン・デモクラシーで言えば一番偉いのは国民、個人だ。その次に地方自治体。そこが『嫌だ』と言っているモノを国策だからといって押しつける。これは説明しようがない。僕はアメリカで訓練を受けた人間だが、話の持っていき方はある話だ。しかも憲法95条は国策として特定の自治体に負担を強いるときは住民に拒否権があると。趣旨はそれだ。これこそデモクラシー。反対しようがない」
「TPPも日本のマーケットを簡単に明け渡してしまうことと手続き、白紙委任にサインしろと。これはアウトだ」
「原発の話だって、安くて安全でクリーンなエネルギーと私も昔は信じていた。だけど福島でそうでないことを知ってしまった。大方針として廃止を決められない方がおかしい。『いまそれで食べているから』なんていうことは人道に反する話だ。われわれの能力からいえば、転換するビジネスを始めるわけだから、この大方針を立てることに反対する人は仲間でいらない」
「それから現行憲法のもとで戦争ができない国であったモノを、理由を最初はホルムズ海峡、次が韓国から逃げてくるとか、全部崩れたら最後に中国、北朝鮮が危ないと。だけど長年の自民党の専守防衛で中国や北朝鮮が攻めて来られる環境にない。突然それをかなぐり捨てて、アメリカと海外で戦争をしなければならない…。論理がつながっていない。これを理解できない人とともに戦う理由はない」
「それから国全体がブラック企業化したような労働法制の改悪。これだって絶対多数でできただけでしょう? 新自由主義などと言って弱肉強食、おそろしい古典的資本主義で1%の人が豊かになって皆におこぼれが来るなんて失礼な話だ。池の鯉じゃあるまいし。異論のある方は共に戦わなくて結構だ」
「憲法は改正はいいが改悪、つまり権力者が国民全体に課す課題であるなんていうのは本当に基礎知識がある人からするとびっくりポンだ。憲法改正は有り得るが『改悪に反対』は選択の余地はない。全部ご理解いただけた方だけで結構だ」
−−野党に投じられる票が政治団体に流れることで食い合ってしまう
「僕らの発想は食い合いだったら死んじゃった方がいい。そうではなくてパイを大きくしないと…。明らかに自公は強い組織政党だ。衆院北海道5区補選だって自公が勝った。それに勝つためには裾野を広げなければいけない。裾野を広げるためには中間層の受け皿がなければいけない」
「『民進党は民主党時代の体たらくがどうしても許せない』といっぱい聞く。共産党は最近とてもよくやっているが、9条論が不安だなって人はいくらでもいる。そういう人たちは今のままでは棄権してしまう。だから投票率が低い。僕らは(投票率を上げる)装置がなければいけないと思って、苦肉の策でこの挙に出たわけだ」
−−参院選だが、1人区には候補者を立てるか
「立てる予定はありません。ただし、1人区で無所属の方がいる。1人区の方達が推薦を求めてきたら、そしてお互いに納得できたら、喜んで推薦する」
−−選挙資金はどうする
「私は友人10人に担がれている。余裕がある人々だからそれなりのお金はつくれるが、それではドンキホーテになるわけで…。世論の支持無しにやってもしようがないので、(インターネットで資金を募る)クラウドファンディングで。逆に言えば反応を試しながら、ダメだったらやめることも含めて。つまり、クラウドファンディングで盛り上がるのだったらやり続けるかいがある。盛り上がらないならやめる方がフェア。それくらいの考えだ」
−−それは米大統領選で民主党の候補指名を争うバーニー・サンダース上院議員の影響が大きいか
「大きい。あの人の現象を見て、『こういう方法があるんだ』と。あれはお金だけではなく正に心と票をもらっている。あの動きに刺激されたのは事実だ」
−−日本の民主党は許せないとあるが具体的には
「私は許せている。民主党政権がなぜつまずいたかと言うと、政権をとって一瞬はしゃいでしまって、政治主導だと言って役人を遠ざけちゃった。そうしたら何もできなくて、今度は役人と逆に仲良くなって、ようするに自民党のまねをしちゃった。ところが役人から手玉にとられて捨てられた。だから民進党には本当に同情して、つまり原発の問題だって結局は旧通産省と自民党と業界の問題だ。たまたま事故った時に民主党政権の体たらくの話になっちゃう。ずっとそれを言ってきたし、擁護していた。でも期待した人たちが嫌悪に近い。一種の感情論だ。僕は嫌っていない」
−−「国民怒りの声」とネーミングした理由は
「よく聞いてくれた。僕はこの名前が嫌だ。多数決で負けた。制服向上委員会という女の子たちの歌を聴いていたら、国民の声という言葉が飛び込んできた。安倍政権の不思議なところは人の話を聞かない。国会で参考人としていくらしゃべっても無反応だ。あのむなしさ…」
「われわれには時間がない。短期間でインターネットでキャッチするためにはまずは『国民怒りの声』で。それなりに橋頭堡(きょうとうほ)が確保できたら、参院選だけでは政権交代は起きないから、そこまで戦うとした場合、橋頭堡がとれたら『怒り』を外そうと私は願っている」
−−「政治を自ら仕事にすることはない」と言っていた。野党が固まるなら第三の旗を降ろすこともあるのか
「結論を先に言うと、本当に野党共闘が私の願う形で実現したら、かえって私の存在が邪魔になるならば、私は引っ込んで応援団に戻りたい」
「まずは言論統制を平気でやってしまうような政治には『やめろ』とは言わない、止めてしまいたいだけだ。昔の自民党はすごく懐が深くて、議論ができて、良い政党だったと思う。自民党の多くの政治家は一対一だと『あなたの言う通りだ』と言うが、表では絶対に言ってくださらない。こちらが突破すれば出てくる人たちだと思う。それを否定も軽蔑もしない。人間ってそういうモノだ」
「野党への怒りだが、どうしても野党の縄張り争いみたいなモノがあって、それをやっているときではないとさんざん話をした」
「そうこうしているうちに時が迫ってしまったので、主権者に見放されないように旗を立てなければという思い…。かつ、私自身、思えば私がアメリカのハーバードで受けた訓練は、学問というのは世の中の実際の役に立って初めて学問だということで…」
「思えば老後だ。失うモノは女房以外に何もない。最後のプラクティスとして、選択肢がないなら自分で立ってみようとふと思った。もちろん、仲間たちとお酒を飲みながらの議論の中からそういう思いが固まっていった」
野党が協力し、比例代表の統一名簿を作れれば政権交代も現実化するかも知れなかったが、無能な民進党執行部のせいで無党派層の投票率が上がらないのではと思う。
最後まで読んでね。
憲法学者の小林節氏は9日、東京都内で記者会見し、参院選に向けて政治団体「国民怒りの声」の設立を発表した。小林氏は「平和の推進に逆行する政策を確信を持って推進している安倍内閣には、一日も早く退場してもらわなければならない」と主張。また、自民党にも民進党にも共産党にも共感できない有権者の「代弁者たらんとして第三の旗を立てることにした」とも訴えた。会見の主な詳報は次の通り。
◇
小林氏「えー、あのー、たくさん議論しても混乱するので、私の手書きの『国民怒りの声設立宣言』と題したモノを読み上げる。その後、時間の許す限りいかなる質問にも答える。読みます。
政治の使命は国家権力を用いて主権者国民の幸福を増進することに尽きる。国民にとって幸福の条件は自由と豊かさと平和である。
しかるに安倍政権は、まず世界のどこででも戦争のできる法律を成立させてしまった。その理由として中国と北朝鮮の脅威からわが国を守るためと主張している。しかし、両国の脅威がわが国の専守防衛を実際に超え得るかは疑わしい。そして何よりも憲法9条が軍隊の保持と交戦権の行使を禁じているために海外派兵はできないとしてきた政府自らの解釈との矛盾を説明できていない。それは政府自身が公然と憲法を破ったことになる。
これが立憲主義の危機である。つまり権力を一時的に託されただけの立場にある政治家が主権者国民の最高意思である憲法を無視して勝手に行動を始めたことを意味する。これは国民主権国家における主客転倒であり、許されることではない。
次に、安倍政権は政府が秘密に指定した情報を永久に秘匿できる特定秘密保護法を制定してしまった。これは自由主義社会に例のないもので、主権者国民の知る権利を封殺し、ジャーナリストの報道の自由を奪うものである。加えて放送法を悪用して政府にとって耳の痛い言論人に不公平のレッテルを貼り、順次、論壇から追放している。これは民主主義の前提である言論の多様性が保障された社会の圧殺である。
また、今回の消費税最増税中止の雲行きを見ても明らかなように、いわゆるアベノミクスは失敗している。年金基金の投機的運用による損失も深刻である。加えて戦争法の制定に伴う防衛予算の突出は着実にわが国の富を減殺していく。米国の経験を見るまでもなく戦争は確実に国家財政を破綻に導くものである。
さらに海外派兵を可能にした戦争法がこれまで70年にわたり平和でいられたわが国に戦争の危険を現実のものにしてしまった。これはまた国際社会における平和国家としてのブランドの放棄でもある。
このように政治の使命、つまり主権者国民の自由と豊かさと平和の推進に逆行する政策を確信を持って推進している安倍内閣には一日も早く退場してもらわなければならない。
そのために現行選挙制度の下では自公に学んで野党は誠実に選挙協力をしなければならないと私たちは熱心に主張し続けてきた。その結果、参議院1人区での野党統一候補の擁立は着実に前進している。
他方、比例区に野党は統一名簿で参加せよという私たちの主張は理解が得られていない。統一名簿方式のメリットは二つある。第一はこれまでバラバラに戦って野党各党が無駄にしてきた莫大(ばくだい)な死に票も統一名簿であれば合算されて確実に議席を生むという事実である。第二が野党共闘の本気度を示すことによりこれまでは『どうせ政治は変わらない』と諦めて棄権してきた3割以上もの無党派層に『今度こそ政治が変わるかもしれない』という期待感を抱かせ、投票所に向かわせる効果がある。
経験上、その多くは野党に投じられ、相対的に与党の組織票の効果を下げることができる。しかし、現実にはこの野党統一名簿構想は頓挫してしまった。このままでは与党の勝利は目に見えている。
そこで私たちは安倍政権の暴走は止めたいのだが、かといっていまだに民主党政権の失政を赦すことができず、また、共産党に投票する気にもなれない多数の有権者の代弁者たらんとしてここに第三の旗を立てることにした。
基本政策は次の通りである。1、まず何よりも言論の自由の回復、これはメディアや大学への不介入。2、消費税最増税の延期とまじめな行財政改革。3、辺野古新基地建設の中止と対米再交渉。4、TPPの不承認と再交渉。5、原発は廃止と新エネルギーへの転換。6、戦争法の廃止と関連予算の福祉・教育への転換。また、改悪労働法制の改正等により共生社会の実現。最後は、憲法改正ならぬ改悪の阻止だ。以上だ」
−−小林氏の専攻は憲法学だ。立案は誰にお願いするつもりか
「物事ってそんなに難しくはない。自由と豊かさと平和に寄与する観点から見れば政策はおのずと選択できる」
「私はたまたま憲法学者として憲法の知識が突出しちゃっているから、それ以外ができないように言われるのは心外だ。67歳の年寄りなみの成熟した判断力はあると思っている」
「特定のブレーンは、あらゆる分野に友達がいっぱいいる。必要に応じて電話をかけて呼び出して…。人脈を持っているから必要に応じて相談はする」
−−安保法制に反対した。安全保障関連法に反対する学生グループ「SEALDs(シールズ)」などとの連係は考えているか
「共にやるとか、応援に入ってもらうとか、方針は決まっていない」
「ただ、だいたい全ての人と個人的につながりがある」
「まずはとにかく先頭に立って、旗を立てて、公平に、全ての人に、気があったら参加してくださいという形で…。一切こちらには政策の一致以外の条件はありません」
−−挙げた8つのうち、一点だけでも理解があれば参加してほしいか
「基本的には全部当たり前のことを言っている気がする。だって言論の自由の回復に反対の人がいるはずがない。建前上、安倍政権だって反対しないでしょ?」
「消費税再増税の延期は客観情勢として決まっている」
「辺野古の新基地建設だってアメリカン・デモクラシーで言えば一番偉いのは国民、個人だ。その次に地方自治体。そこが『嫌だ』と言っているモノを国策だからといって押しつける。これは説明しようがない。僕はアメリカで訓練を受けた人間だが、話の持っていき方はある話だ。しかも憲法95条は国策として特定の自治体に負担を強いるときは住民に拒否権があると。趣旨はそれだ。これこそデモクラシー。反対しようがない」
「TPPも日本のマーケットを簡単に明け渡してしまうことと手続き、白紙委任にサインしろと。これはアウトだ」
「原発の話だって、安くて安全でクリーンなエネルギーと私も昔は信じていた。だけど福島でそうでないことを知ってしまった。大方針として廃止を決められない方がおかしい。『いまそれで食べているから』なんていうことは人道に反する話だ。われわれの能力からいえば、転換するビジネスを始めるわけだから、この大方針を立てることに反対する人は仲間でいらない」
「それから現行憲法のもとで戦争ができない国であったモノを、理由を最初はホルムズ海峡、次が韓国から逃げてくるとか、全部崩れたら最後に中国、北朝鮮が危ないと。だけど長年の自民党の専守防衛で中国や北朝鮮が攻めて来られる環境にない。突然それをかなぐり捨てて、アメリカと海外で戦争をしなければならない…。論理がつながっていない。これを理解できない人とともに戦う理由はない」
「それから国全体がブラック企業化したような労働法制の改悪。これだって絶対多数でできただけでしょう? 新自由主義などと言って弱肉強食、おそろしい古典的資本主義で1%の人が豊かになって皆におこぼれが来るなんて失礼な話だ。池の鯉じゃあるまいし。異論のある方は共に戦わなくて結構だ」
「憲法は改正はいいが改悪、つまり権力者が国民全体に課す課題であるなんていうのは本当に基礎知識がある人からするとびっくりポンだ。憲法改正は有り得るが『改悪に反対』は選択の余地はない。全部ご理解いただけた方だけで結構だ」
−−野党に投じられる票が政治団体に流れることで食い合ってしまう
「僕らの発想は食い合いだったら死んじゃった方がいい。そうではなくてパイを大きくしないと…。明らかに自公は強い組織政党だ。衆院北海道5区補選だって自公が勝った。それに勝つためには裾野を広げなければいけない。裾野を広げるためには中間層の受け皿がなければいけない」
「『民進党は民主党時代の体たらくがどうしても許せない』といっぱい聞く。共産党は最近とてもよくやっているが、9条論が不安だなって人はいくらでもいる。そういう人たちは今のままでは棄権してしまう。だから投票率が低い。僕らは(投票率を上げる)装置がなければいけないと思って、苦肉の策でこの挙に出たわけだ」
−−参院選だが、1人区には候補者を立てるか
「立てる予定はありません。ただし、1人区で無所属の方がいる。1人区の方達が推薦を求めてきたら、そしてお互いに納得できたら、喜んで推薦する」
−−選挙資金はどうする
「私は友人10人に担がれている。余裕がある人々だからそれなりのお金はつくれるが、それではドンキホーテになるわけで…。世論の支持無しにやってもしようがないので、(インターネットで資金を募る)クラウドファンディングで。逆に言えば反応を試しながら、ダメだったらやめることも含めて。つまり、クラウドファンディングで盛り上がるのだったらやり続けるかいがある。盛り上がらないならやめる方がフェア。それくらいの考えだ」
−−それは米大統領選で民主党の候補指名を争うバーニー・サンダース上院議員の影響が大きいか
「大きい。あの人の現象を見て、『こういう方法があるんだ』と。あれはお金だけではなく正に心と票をもらっている。あの動きに刺激されたのは事実だ」
−−日本の民主党は許せないとあるが具体的には
「私は許せている。民主党政権がなぜつまずいたかと言うと、政権をとって一瞬はしゃいでしまって、政治主導だと言って役人を遠ざけちゃった。そうしたら何もできなくて、今度は役人と逆に仲良くなって、ようするに自民党のまねをしちゃった。ところが役人から手玉にとられて捨てられた。だから民進党には本当に同情して、つまり原発の問題だって結局は旧通産省と自民党と業界の問題だ。たまたま事故った時に民主党政権の体たらくの話になっちゃう。ずっとそれを言ってきたし、擁護していた。でも期待した人たちが嫌悪に近い。一種の感情論だ。僕は嫌っていない」
−−「国民怒りの声」とネーミングした理由は
「よく聞いてくれた。僕はこの名前が嫌だ。多数決で負けた。制服向上委員会という女の子たちの歌を聴いていたら、国民の声という言葉が飛び込んできた。安倍政権の不思議なところは人の話を聞かない。国会で参考人としていくらしゃべっても無反応だ。あのむなしさ…」
「われわれには時間がない。短期間でインターネットでキャッチするためにはまずは『国民怒りの声』で。それなりに橋頭堡(きょうとうほ)が確保できたら、参院選だけでは政権交代は起きないから、そこまで戦うとした場合、橋頭堡がとれたら『怒り』を外そうと私は願っている」
−−「政治を自ら仕事にすることはない」と言っていた。野党が固まるなら第三の旗を降ろすこともあるのか
「結論を先に言うと、本当に野党共闘が私の願う形で実現したら、かえって私の存在が邪魔になるならば、私は引っ込んで応援団に戻りたい」
「まずは言論統制を平気でやってしまうような政治には『やめろ』とは言わない、止めてしまいたいだけだ。昔の自民党はすごく懐が深くて、議論ができて、良い政党だったと思う。自民党の多くの政治家は一対一だと『あなたの言う通りだ』と言うが、表では絶対に言ってくださらない。こちらが突破すれば出てくる人たちだと思う。それを否定も軽蔑もしない。人間ってそういうモノだ」
「野党への怒りだが、どうしても野党の縄張り争いみたいなモノがあって、それをやっているときではないとさんざん話をした」
「そうこうしているうちに時が迫ってしまったので、主権者に見放されないように旗を立てなければという思い…。かつ、私自身、思えば私がアメリカのハーバードで受けた訓練は、学問というのは世の中の実際の役に立って初めて学問だということで…」
「思えば老後だ。失うモノは女房以外に何もない。最後のプラクティスとして、選択肢がないなら自分で立ってみようとふと思った。もちろん、仲間たちとお酒を飲みながらの議論の中からそういう思いが固まっていった」
野党が協力し、比例代表の統一名簿を作れれば政権交代も現実化するかも知れなかったが、無能な民進党執行部のせいで無党派層の投票率が上がらないのではと思う。