豊山水泳部の強い信念は、学校教育の一環であるクラブ活動で競泳選手を育成する、というものです。
現在、競泳選手の育成はスイミングクラブが主流であり、日本全国を見渡しても全国大会での活躍を目標として高校教員が水泳指導をしている学校は少数です。
しかし、私たちはこの指導方針を今後も変えるつもりはまったくありません。
その理由は、その信念を変えてしまったら日大豊山の水泳部はその存在意義を失ってしまうからです。
この信念は私個人のものではなく、水泳部の長い歴史から生まれているものです。
そのため私たちが変えることができるものでもありません。
その信念がまさに「日大豊山の水泳部」なのです。
学校教育の一環としてのクラブ指導には一定の意義があり、「人のつながり」の強さもここから生まれています。
全国的に学校のクラブ活動における水泳指導が衰退しているのは、やはりそれなりの理由があります。
クラブ活動の時間はあくまでも課外活動であり、教員の指導は労働時間とはみなされず、その上に休日も制限されます。
クラブ活動に取り組むことはあくまでも顧問やコーチの意欲次第であり、教員の献身的精神の上に成り立っているものだといえます。
私たちは寮生活を共にし、担任を受け持ち、授業において学習指導を行いながらクラブ活動をすることは当然のように考えていますが、それは前述した強固な信念に支えられているからです。
もちろん大変なことではありますが、ここまで濃密な時間を生徒とともに過ごすことができるということは教員として大変幸せなことであり、寝食を共にし全人格的な教育ができるということは、教育の理想形であるとも考えています(もちろんそこには家族の深い理解があって、はじめて成り立つことですが…)。
ただでさえ問題が多発するクラブ活動ですから、そのような経験のない先生方に私たちのような信念を求めるのは難しいことでしょう。
私たちは「日本一になる」という目標を掲げており、1人でも多くのオリンピック選手を輩出したいと考えていますので、さまざまな困難や苦しいことに直面することは承知の上です。
今までのインターハイ優勝者の競技生活を考えても、誰一人として壁に当たることなく順調に記録を更新して優勝したという選手は1人もいません。
皆がそれぞれ直面した困難を乗り越えて、成果につなげてきたのです。
私たちは豊山水泳部の歴史と伝統という、ゆるぎない盤石な土台の上に築かれた信念に支えられていますので頑張り続けることができます。
伝統の重みを日々認識しながら、これからも強い豊山水泳部であり続けたいと考えています。
竹村知洋