練習は試合のためにするのであって、練習のための練習であってはならない、ということです。
当然のように思えるかもしれませんが、毎日練習を繰り返していると忘れがちなものです。
実践のための練習というのは、常にレースを意識して練習するということです。
競泳の場合、明確にタイムで設定することができます。
自分が出したい記録は何秒であって、その記録を出すためにはどのような練習をしなければならないか、ということを考えながら練習に取り組むことです。
例えば、100mで59秒台で泳ぎたい場合、前半が28秒台であれば、後半が31秒台というように考えられます。
その場合、前半の28秒台や後半の31秒台で泳げるように繰り返し練習することです。
もちろんすべての練習をそのタイムで繰り返すことはできませんが、あくまでもそのことを念頭に練習に取り組む必要があります。
そのために目標の設定ということを明確にする必要があります。
ただ何となく与えられた練習をこなしているだけでは強くなれません。
逆に、練習中のタイムはそれなりに満足できるものであっても、試合にそれが生かされないということがよくみられます。
その原因は、フォームが試合用ではなく、練習用になっていることがあげられます。
やはり試合用のフォームというのはきついものです。
練習用のフォームというのは手先や足先を使うだけで、体幹がしっかりと使われていないことが多いです。
たとえ練習中の記録は落ちたとしても、フォームも実践的なものであるべきです。
実践的な練習というのは自分自身と向き合うことになり、精神的にもつらいものです。
しかし、そのつらさから逃げていてはいつまでたっても同じことの繰り返しになってしまい、向上しません。
できればこうなりたいとか、こうするつもり、という程度ではなかなか目標は達成できないものと思います。
「必ずこうなる」という本気でなければ、練習の苦しさに負けてしまうことでしょう。
目標に対する本気度が高ければ高いほど、苦しさそのものを感じないはずです。
「練習は試合のように、試合は練習のように」とはよく言われる言葉です。
練習中に試合を想定して緊張感を持って取り組んでいれば、試合は練習のように行えばよいわけです。
練習でできたことが試合でできないことは多々あるものです。
しかし、練習でできないことを試合でやろうとしてもできるわけがありません。
試合で目標を達成したいと考えるのであれば、繰り返し練習を行い、自信をつけるしかありません。
そうすれば、練習中にできたことは試合でもできる可能性は高まります。
実践的な練習に向き合うことは、自分自身と向き合うことでもあります。
競泳選手として成功を収めたいと考えるのであれば、自分から逃げていてはならないのです。
竹村知洋