良いものは、シンプルです。
シンプルというのは無駄がないということです。
この教えは練習メニューやフォーム、説明の仕方などすべてにあてはまることです。
あらゆる物事は、突きつめていくと無駄なものが省かれ、シンプルになります。
シンプルなものは、美しいです。
美しいものはシンプルであるともいえるでしょう。
フォームでいうと、力みがとれて必要なところにだけ力が入り、あとはうまく脱力ができている状態です。
しぶきの立ち方が最小限で、頭の動きが少なく、優雅に泳いでいるようにみえます。
「用の美」という言葉があります。
本当に必要なことだけが残り、無駄がすべて省かれたものには、美が宿るということです。
例えば、茶道における所作や使われる道具を思い浮かべるとその美を感じることができるでしょう。
思考することや物事に対する説明もできるだけシンプルな言葉にすることを心がけています。
難しい事でも一言で表現すると、すっきりした理解ができることが多いです。
しかし、シンプルにすることは簡単そうに見えて、これほど困難なことはありません。
長年の経験に磨かれてはじめてシンプルになっていくものです。
ここでいうシンプルさは、ただ単純であるというのではなく、深みのあるものです。
競泳は水着を着ているだけで道具を使用しませんので、より自分自身と向き合うシンプルなスポーツであるといえます。
つまり競泳は、シンプルさを究極に突きつめることができるわけです。
レースの一本一本に深みのあるシンプルさを込めていきたいものです。
竹村知洋