この教えは、上下関係の厳しい運動部にこそあてはまるものです。
誰しも下級生のときに、上級生から嫌なことをされたり、言われたりという経験があるはずです。
そして自分が上級生になった時に、同じことを下級生に対して繰り返しているということがよく見られます。
特に運動部にありがちである理不尽な事が伝わりやすいようです。
当然、道徳や規則のことなど言わなければならないことは伝える必要があるわけですが、相手が不快に思うような言い方や教え方は気を付けなければなりません。
たいていの人は自分が言われて嫌だったことを忘れて、そのまま下級生に伝えているだけのように見受けられます。
このような状況では組織はいつまでたっても良い方向には向かいません。
逆に上級生にしてもらったり、言われたことでうれしかったこともあるはずです。
それを下級生にもしてあげることで良い方向へと向かうはずです。
イエス・キリストは「人にしてもらいたいと思うように他人のためにし、自分を愛するようにあなたの隣人を愛しなさい」と説きました。
この教えは、キリスト教の黄金律と呼ばれています。
また、孔子は「己の欲せざるところ、人に施すことなかれ」と説いています。
自分がされて嫌なことは、他人にもしないということです。
これらの教えが広まるだけでも世の中はよくなるはずです。
上下関係というのは社会に出てからも必ず経験していくことですが、上に立つ者の接し方が良くないと下の世代にもそれが受け継がれてしまうものです。
自分が嫌なことは他人にもせず、うれしかったことをしてあげる、という人間関係にとって大切なことは、2千数百年前から変わっていないようです。
私自身も自分の言動を改めて振り返り、周囲の人に対する接し方を考えてみたいと思います。
竹村知洋