試合での勝利を目標に掲げている以上、最も大切な価値とされるのは、その結果です。
いくら努力をしても結果がでなければ、評価はされません。
高校の運動部はプロではありませんから、結果がでなければやめなければならないということはありませんが、大学での競技生活を考えると同程度に考える必要はあります。
やはり結果を出していなければ、大学や社会人として競泳を続けることはできません。
努力をしてきたその過程というのは、その人の人生にとって決して無駄というわけではなく、多くの学びを得ることにつながっています。
しかし、あくまでも結果を求めて努力をしてきたわけですから、結果を出せなければ意味がないと考えています。
私は結果が出なかったときに、そこまで頑張ってきた過程をほめるようなことを基本的にはしていません。
高校3年生の夏が終われば、次の試合というのはありません。
選手が懸命に努力し、結果が出なかった責任はすべて指導者にあります。
相当なる時間や労力をかけて水泳に取り組んでいるわけですから、結果がすべてであって、そこにいたるまでの努力は当然のことです。
豊山水泳部はインターハイで21回の準優勝、11回の第3位がありますが、その時にかけられる言葉は、「まあまあだったな」です。
優勝してはじめて「おめでとう」と言われるのですが、私はそれでよいと思っています。
日本大学付属や東京都の試合では50年以上優勝し続けていますが、全国大会での優勝を目標としているチームですからそれは当然のことであって、誰も褒めたりはしません。
結果が出ない時にもその理由はいろいろとありますが、それを口にしても言い訳にしかなりません。
「為すべきことを為す」だけです。
個人それぞれの目標はあるとしても、豊山水泳部がチームとして唯一価値があるといってもよいのは、全国で総合優勝することだけです。
試合での勝利を目標としている以上、勝った時に味わう喜びがあるだけであって、普段から練習をしていて楽しいと思うことはありません。
練習で味わえるのは、目標に近づいているという充実感です。
苦しくても頑張ることができたという充実感をどれだけ味わえるか、ということが自信につながり、結果としてついてくるのです。
「結果がすべてである」というこの教えは厳しさを感じるかもしれませんが、そのぐらいの厳しさをもってしなければ試合で勝つことはできません。
結果を出したい人は誰でも相当なる努力をしているのは当然だからです。
アーノルドシュワルツェネッガーが主張している「成功のための6つのルール」第5番目が「work your butt off」です。
死ぬ気で頑張る、という意味です。
結果を出したい人は自分が休んでいるときにも先に進んでいる、ポケットに手を突っ込んでいては階段を昇ることはできない、というわけです。
人生で成功を収めていることの背景にはそのような努力があるのは当然であり、結果に結びついているわけです。
努力の過程を認められたいと思っているうちは、勝負に勝つことは難しいでしょう。
最終的には「結果がすべて」です。
竹村知洋