Happyday of LUCKY

日々の気付きと感謝を忘れないように綴るページ

乗り手をえらぶバイク

2015年04月06日 | Life


ヤマハSR400の特徴のひとつであるキックスタートは、たんにエンジンをかける行為というだけでなく、SRに乗るためのある種の儀式のようなものだ。「オレに乗るなら、まずキックしてみな」とバイクが乗り手を試すのである。
でもこのSRは2010年モデルで、キャブレターがインジェクションになったおかげで、わたしのような体力の衰えた人間でも簡単にかけられるようになった。
デコンプレバーを引いてキックレバーをゆっくりと押し下げ、インジケーターに上死点を表示させたら、一度レバーをもどして勢いよく踏みこむ。するとビッグシングルとは思えないほど、あっけなくエンジンはかかる。



このSRは1万キロほど走った中古車なので、エンジンの角がいい感じにとれてスムースに回る。排気音はよく消音されており(すこし物足りないけど)、これなら近所迷惑にはなるまい。しずかだけど、シングル独特の鼓動感だけがうまく残っている。
走り出すと気持ちよく加速し、すぐに車の流れにのれる。初期整備でオイル類とタイヤを新品にしてあるので、各部の操作と挙動もすごく軽やかだ。
カーブでスロットルを開けると、たった27馬力だけど必要にして十分なトルクが車体を押し出し、自分の描いたラインをきれいにトレースしてくれる。ハンドリングはきわめてニュートラルだ。



第一印象としては全体的にマイルドな乗り味で、ヘンな形容だが「まるい」感じだ。
ゆっくり走っていてもなぜかたのしい。だいたい65キロ/時くらいで、「ふふふ」と顔がゆるんでしまう。
若いころから一度は乗ってみたいと思っていたSRが、ようやくいまわたしの元にやってきた。やっとSRに乗れる年齢になったのかなとも思う。
SRさん、フツツカ者ですが、どうか、あなたのすばらしい景色を見せてください。

シングルにはじまり、シングルにおわる

2015年04月04日 | Life
世界にはいろいろ名車とよばれるバイクがあるけれど、ヤマハSR400/500はまぎれもなく日本が生んだ名車である。
1978年の発売以来、マイナーチェンジを繰り返しながら、じつに37年もの長きにわたってつくられている。(500ccは2000年に生産終了)
その間、フロントタイヤが19から18インチに変更されたり、ブレーキがドラム式からディスク式になったり、キャブレターがインジェクションになったものの、エンジンや車体の基本的な構成は変わっていない。
この不変のデザインこそが長く愛されている一番の理由だと思う。



わたしが20~30歳代の元気なころはBMWやハーレーといった大きなバイクに乗っていたのであるが、40歳をこえて体力・腕力がおちてくると重いバイクは取り回しがたいへんなので小振りな650ccに乗り換えた。
50歳代になってさらに軽くて小さな250ccに乗っていたけど、やはり非力は否めない。
そこでバイク人生の最後に本当にたのしめるバイクはなにかと考えたとき、SR400という選択になった。
いい歳のオヤジが乗るには、大きさも排気量もちょうどいいバイクだと思います。

ご承知のように、SRは燃焼室が一つだけの単気筒(シングル)エンジンであるが、単気筒は比較的振動が大きく回転数もあまり上がらない。性能だけをいうのなら多筒数の方が有利ではある。
でもわたしはシングルならではのトコトコと回るエンジン音と振動が好きで、この鼓動感こそがバイクの魅力だと感じている。

18歳ではじめて乗ったバイクもシングル(しかもキックスタート)のバイクだった。
魚釣りの愛好家が「フナにはじまり、フナにおわる」というように、バイク好きも「シングルにはじまり、シングルにおわる」のかもしれない。