友人の紹介で家具の写真を撮ってほしいという話が来た。
依頼主は永島庸さんという家具作家だ。
作品集をつくって外国へ売り込むための写真だという。
これは責任重大だ。
きょうは打ち合わせのために永島さんの工房へおじゃまする。
その工房は奈良県の田原本という町にあって、ウチからだと車で1時間半ほどかかるところ。
カーナビの案内で到着したその場所は、田んぼの真ん中にある神社だった。
その神社の横(というか中)に永島さんの工房はあった。
永島さんって本業は神主なのか?
永島さんはの作品のコンセプトは「廃材家具」。
解体した家屋などの廃材を譲り受けて、そこから新たに家具をつくりだすのだそうだ。
庸さんがデザインを考え、加工と仕上げを夫のリッキーさんと二人でするという。
廃材などというと、なにかネガティブなイメージを持ってしまうけど、そこから生まれた家具たちを見ると、それが廃材であったとは思えないほどステキなものばかりだ。
リッキーさん曰く。
「この家具が受けているのは、いまの時代が後押ししているからや」
エコやリサイクルといった言葉は聞こえはいいが、あえて廃材という言葉を使って、そこから生まれ変わってくる姿を強調しているというわけか。
見せてもらった作品はどれもやさしいデザインで、思わず触りたくなるものばかりだった。
作品を見たあと、その一つを屋外で試し撮りさせてもらう。
家具を撮るのは久しぶりだが、永島さん夫婦と話しているあいだに、なんとなく撮りたいイメージが浮かんできた。
その作品は彼らの作品のなかでも一番人気の高い「桜のついたて」だ。
表面に桜の樹の皮を貼って浮き彫りのようになっており、花びらや葉っぱは透かし彫りになっている。
日本的な情緒とあたたかい味わいがある。
これを裏の神社へつづく細い道に立ててみると、まるで地面から自然に生えてきたように見えた。
本番の撮影はまた来週だ。
永島庸さんの紹介