Happyday of LUCKY

日々の気付きと感謝を忘れないように綴るページ

菊次郎の生きざまから学ぶ

2012年09月21日 | Life


三宮へ「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」を見にいく。
報道カメラマンでなくとも、写真にかかわる人間なら、見ておいて損はないと思う。
いや、たとえファッションを撮るカメラマンになるとしても、若い人にはぜひ見てほしい映画である。

ひと言でいうと、福島菊次郎は反権力のカメラマンだ。
日本の政治やメディアの欺瞞を1台のカメラで切り裂いてゆく。
「問題自体が法を犯したものならば、(それを告発するために)カメラマンは法を犯してもかまわない」というラディカルな考えで、相手をだましたり隠し撮りまでやりながら取材する。
しかも「国と闘うんだから、敵から金なんか受けとれない」といって年金を拒否し、自給自足の生活をおくるという凄まじい生き方。

90歳を超えていまもなお、彼を撮影に駆り立てるものはなにか。
それは戦後まもなく、広島で被爆した中村杉松さん家族の取材のなかで、彼が中村さんと交わした約束「俺のかわりに仇をとってくれ」が根底にあるのだと思う。
ラストシーンで中村さんの墓石にしがみついて涙を流す菊次郎の姿が、それを如実に語っている。あれは悔し涙だ。
被写体にどこまでも寄り添うこと、それが菊次郎の写真哲学である。



久しぶりに歩く神戸の街はじつにオシャレだ。まるで外国のよう。
小汚い格好でナンパな写真を撮る自分だけが妙に浮いている気がする。
菊次郎の反骨精神などミジンもない。



南京町の老祥記で豚まんじゅうを食う。
ここの豚まんは大きさがわずか5センチくらいなので、若いころ(高校時代から来ていました)は20個くらい平らげていた記憶がある。
そのころより具が少なく、皮が厚くなったのは気のせいか。



神戸の街並みの美しさは文化であり、ここに住む人たちのプライドなんだな。

出ばなをくじかれる

2012年09月20日 | Life


午前中、写真展にご来廊くださった方へ御礼状を書く。
芳名帳に記帳されている住所の郵便番号を調べるのに手間取る。とくに京都がわからない。どうなってんだ、京都の区画整理は?

午後からブルーム・ギャラリーへ写真を納品する。
たった2枚だけど、今回の写真展で売れたのはたしかな手応えである。
それから、今週からはじまった石川圭花さんの写真展「Void」を観る。
本人さんがいたので、いろいろ話をしていたら、無性にフィルムで撮りたくなった。

帰りに赤外線フィルムを買うためにヨドバシカメラへ行く。
イルフォードの「SFX200」という銘柄しかなかったが、商品カードをレジに持っていったら、まさかの品切れ。
替わりにふつうのモノクロフィルムを買おうかと思ったけど、なんか出ばなをくじかれた感じで、あれこれとその場で考える。
これを買ってしまったら……
またあのフィルム現像や風呂場を目張りした暗室づくりや薬品の調合や1分30秒の暗黒が待っているわけで、嫌いじゃないけどもうあの空間にはもどれないなともう一人の自分が叫んでいる。
結局、フィルムの購入は断念する。

手焼きのモノクロプリントには工芸品的な美しさがあって、どんなにデジタルで同じような感じに仕上げても、やはり見る人が見たら別物にしか見えない。
とくにアートフォトをつくる作家は、フィルムと印画紙があるかぎり、アナログのプリントで勝負しなければダメなんじゃないか。
そんな、やっかいなことを考えさせる「Void」展であった。10/7(日)まで。
ああ、どうしましょ。

ニコンD600は高いか

2012年09月19日 | Camera


一週間まえにウワサどおり、ニコンD600が出たが、1500ドルというのはガセネタであった。
そりゃいくらなんでも、フルサイズ機が12~3万円なんて安すぎるわな。
じっさいの市場価格は20万円前後のようだ。
この値段を聞いて予約をためらっている人もいるであろうが、わたしは適正な価格だと思う。
いや、20万円でもむしろ安いのではないか。

上位機種であるD4やD800と同じ画像処理エンジンを積み、ファインダーの視野率も100パーセント、操作系もほぼ同じで、こんなにコンパクトにまとまっているわけだから、費用対効果はかなり高い。
シャッタースピードが上位機種の1/8000秒にくらべて、D600は1/4000秒なのが、ハイアマチュアたちの気に入らないところらしいが、わたしは1/4000秒あれば十分である。
ピーカンで絞り開放で撮るような仕事はないからだ。
それよりもストロボの同調スピードが1/200秒なのがやや気になる。1/250秒では自動的にガイドナンバーが減少するようなので、使えないことはないみたいだけど。

さて、問題はレンズである。
レンズキットに付いている「AF-S NIKKOR 24-85mm f3.5-4.5 G ED VR」というレンズの旧タイプになる「Ai AF Zoom-Nikkor 24-85mm f/2.8-4D IF」をわたしは使っている。(旧といってもまだ販売されているが)
両レンズのMTF曲線やレンズ構成を見ると、明らかに新レンズの方が性能がよく、しかも安い。
あえて旧レンズの優位点をあげれば、簡易マクロ機構で21センチまで寄れるのと、開放F値が半段だけ明るいくらいであろう。
だけど約2400万画素機のD600ではきっと周辺描写の甘さ露呈するであろう。
ならばいっそのことレンズキットで買うか。
それとも旧レンズでしばらく凌いでおいて、ナノクリの「AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED」を買うか。
それともどちらも買わないか。

本当はAPS機の新モデル(D400とかD7100?)を待っているのだが、いつになることやら。

調子にのらずに勢いにのれ

2012年09月16日 | Photography
写真展「夢の跡」がおわった。
お忙しいなか、わざわざ足を運んでくださった方々にお礼申しあげます。本当にありがとうございました。

まだ2回の個展だけど、その拙い経験からいうと、個展というものは制作活動をしていくうえで必須のものだと思う。
よく「個展をするとつぎの課題が見えてくる」というが、たしかにそうだ。
べつの言い方をすると、つぎのやりたいことが見えてくるから、いままでやってたことのキリをつけることができる、ということだ。
一定期間つくってきたものを一度まとめてみて、またつぎに新しいものをつくる。
そういうリズム感をもつのに個展というものは非常に有効だ。
多少ムリをしてでも続けていこうと思う。

2週間も展示していると、気になるところがいろいろ見えてくる。
じつは1週目の途中で2枚、2週目に1枚気になっていた写真を入れ替えている。
なので初日の展示ととさいごの展示はちがっている。ブックの中身もすこし変わっている。
一応、いまの持ち駒でベストな形に仕上げたつもり。
こうやってキリをつけて、つぎに行くのだな。



会期中、ある写真作家さんと知り合いになった。
彼は今年の新世紀展の優秀賞に選ばれた5人のうちの1人で、このあと11月のグランプリ審査にのぞむ。
わたしが在廊していた日に、ちょうどバックヤードで作業をしていたので、いろんな話を聞かせてもらった。
優秀賞に選ばれるだけあって、やはり写真制作に対する意気ごみはすごいものがある。
かけている時間もエネルギーも半端ではない。
ああ、ここまでやらないと選ばれないのだなと、話を聞いていてよくわかった。
優秀賞に選ばれることがすごいのではなく(いやホントはすごいけど)、それをめざしてどんどん自分を高みに追いこんでいく、その勢いがすごいと思う。

個展をやって、いろんな人に見てもらって、ちょっと写真も売れて、充実感はあるのだけど、それだけで満足していてはいけない。調子にのってはいけない。まだまだだ。
いま、この勢いを止めてはいけないと思う。

D600を予約するまえに考えること

2012年09月12日 | Camera
いよいよあした、ニコンD600が発表されるらしい。今度はガセネタではないと思う。

まえにも書いたけど、このD600は小型で軽量の2470万画素フルサイズ機で、価格は1500ドルくらいになるとウワサされている。
いや、ウワサではなく、これはほぼ確実な情報だ。
だとすると、カメラ業界にとってD600はブレークスルーになることはまちがいない。
フルサイズがデジタルカメラの世界標準になるということだ。

これまでフルサイズ機なんて必要ない、APS機で十分だと思っていた人たちも、12~3万円で手に入るのなら、ちょっとがんばって購入を検討するであろう。
でもフルサイズ用のレンズがないという人は、もうちょっとがんばって「D600 + AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR」セットを買うだろう。
もしかするとタムロンあたりから、ダブルズームセットなんて発売されるかもしれない。
いずれにしてもD600は飛ぶように売れるにちがいない。
いますぐ予約しても年内に手にすることのできる人は、よほど幸運な人か、カメラ業界になんらかのコネをもつプロカメラマンだけであろう。

わたしはなんのコネもないので、買うとしても年明けか、半年後くらいに値段が落ちついてからになる。
でもそのまえに本当に買うかどうか、よく考える必要がある。
フルサイズ機に飛びつく素人さんは、おそらく「フルサイズで撮ればもっときれいな写真が撮れる」と思っているのだと思う。
だけどそれはちがう。
APS機できれいに写せない人が、フルサイズ機を持ったからといって、急に写真がうまくなることは断じて、ないのである。
むしろ画素数が増えることで、ピントの甘さや手ブレなどがはっきりと見えてしまうから、かえって下手になる可能性の方が大きい。

かつてわたしは1000万画素のカメラで撮っていたころには問題なかった(気づかなかった)のに、1600万画素のカメラにしたとたんにピントや手ブレが気になりだした。
同じレンズで、同じ撮り方をしているのに、画素数が増えたことで自分の下手さが露呈したのである。
わたしの知り合いで、これと同じ経験をもつプロカメラマンは多い。
何度もいうが、フルサイズだときれいに撮れると思うのは勝手な思い込みである。



フィルムカメラにたとえれば、APS機は35ミリ判、フルサイズ機は中判カメラだと思う。
場合によっては積極的に三脚を使って、ミラーアップやケーブルレリーズを用いて撮影するくらいの慎重さが必要であろう。
手持ちでサクサク撮りたいと思う人はフォーサーズ機くらいで十分じゃないか?