Happyday of LUCKY

日々の気付きと感謝を忘れないように綴るページ

カラースコパー21ミリを買ったものの

2010年10月29日 | Camera


仕事で溜まった疲れとストレスを解消するために、コシナ製カラースコパー21ミリF4Pをヤフオクで買う。
今月はよく働いたので、自分へのご褒美だ。
21ミリというのは超広角だが、M8に付けると28ミリくらいの画角になって、ちょうど使いやすい焦点距離になる。
で、その画角に合わせてニコンの外付けビューファインダーNH-VF28も調子にのって買ってしまった。
どちらも中古品だがレンズにほこりやクモリはなく、外観もスレ・キズのない美品である。
定価の半値以下で落札できたのは、われながらいい買い物であったと思う。



さて、カラースコパー21ミリの写りはどんなものか。
上のカットがそれだが、予想以上にシアンドリフトと周辺減光が顕著なのに驚いた。
D300で同じように撮った下のカットと見比べればよくわかるだろう。
とくに周辺部のグランドの色がシアンかぶりしていて醜い。



以前にも書いたが、M8はCCDの前に付いている赤外線をカットするフィルターが薄いので、そのまま撮るとマゼンタがかった色になる。
これを防ぐためにUV/IRフィルターをレンズの前に付けて撮影するのがセオリーだ。
ところが超広角レンズになると、UV/IRフィルターによって今度は周辺部にシアンが浮いてくる。
これがシアンドリフトと呼ばれる現象である。

なぜシアンドリフトが起こるのか、くわしいメカニズムはわたしにはわからないが、対策は2つある。
1つはUV/IRフィルターを外して、そのままで撮る。
この方法だとシアンドリフトは起こらないが、マゼンタかぶりは防げない。
もう1つはレンズに疑似6ビットコードを付けて、カメラ内で電気的に補正する方法。
ライカ純正のレンズにはマウント基部に6ビットコードというものが付いていて、これによってどんなレンズが付いているのかをボディが認識するわけだが、サードパーティ製のレンズには当然このコードは付いていない。
なのでカラースコパー21ミリなら、ライカ・エルマリート21ミリのコード「011000」を擬似的にレンズ基部にマーキングすればよい。
ただしマーキング場所が少しでもずれるとボディが読まないので、正確な作業が必要となる。
そのためにM-Coderという擬似コードを付けるキットまで販売されている(もちろんライカ製ではない)。

M-Coderなしで6ビットコードを付けるのはむずかしい作業なので、時間に余裕のある時にしようと思う。
なにかと世話のやけるカメラだが、工夫しだいで素晴らしい絵が出てくるところがまた愉しい。
なまえのとおり「M」っぽいカメラだと思う。

まなざしを具現化する装置

2010年10月15日 | Photography


カメラは撮影者の世界観を示す装置だとだれかが言った。
写真にはその人がなにをどう見ているかが現れるということだ。
たとえば子供にカメラを持たせてみればよい。
彼女彼らの好奇な目は大人があっと驚くようなものを見つけてくる。
大人になるともういろんなものを見慣れてしまうので、いちいち目の前のものを撮る人などいない。

だけどホントは振り返って「なんだこりゃ?」と見てみたいものもあるはずだ。
幸いわたしにはカメラがあるので、ささっと撮ってあとでゆっくり見ることができる。
シティスケープなんて、せいぜいそんなもんじゃないのか。
都市の瞬間と永遠を切り取る、などという高尚なコンセプトはわたしにはない。
こんなことだからいつまでたっても作品としてまとまらないのかもしれない。



きょう、ナダール大阪へコアラベア氏の個展「コンディション・グリーン」を見にいった。
氏は生活の中で出会った人たちのポートレイトを撮りつづけている写真家だ。
DMにこんなことが書いてある。
「写真において大事なことは、カメラ機材ではなく何を撮りたいかという正直な気持ちであります。(中略)シャッターを押す答えは、ワクワクするという気持ちであります」
前回の個展「オレンジの太陽」から6年たつが、彼のまなざしはまったく同じだった。
そこにはまさに彼の世界観が開示されている。



コアラベア氏のこのまなざしは彼の性格に起因しているように思う。
元来、彼はシャイな性格で他人に自分の意志を伝えるのが下手なのではないか。
そしてカメラという道具は彼と彼以外の人間とを結びつける装置であり、コミュニケーションのツールなのだと思う。
彼はカメラのファインダーを通して、人を見て人と会話する。
そのリアルなひとときを定着させるように、彼は何枚もシャッターを切りつづける。
ギャラリーに並んでいる写真群は彼の幸せな時間の集積でもある。

40年まえと変わらないもの

2010年10月11日 | Life


9月中旬から休みなく働いていたら、とうとう体調をくずしてしまった。
先週はじめから微熱と咳がおさまらない。
夏の盛りにジョギングして体力をつけていたはずなのに。
微熱くらいで撮影に穴を開けるわけにはいかないので、だるい身体にムチ打って、先週は2つの運動会と1つの遠足を撮った。

きのう運動会を撮ったあと、すぐに妻の実家へ帰省する。
義母のつくった黒豆をもらいに行くためだ。
実が堅く締まるまえに刈りとった黒豆を、15分くらい塩茹でするととても美味い枝豆になる。
ふつうの大豆よりも実が大きく、ほのかに甘いので一度食べたらクセになる味だ。

ちょうどこの季節は味まつりが開催されていて、この黒豆枝豆を求めて関西圏からたくさんのグルメ客がここ篠山城跡に集まる。
黒豆だけでなく、丹波牛の丸焼きや猪汁、松茸、栗、そして新米など秋の味覚を堪能できるイベントだ。
毎年どんどん規模が大きくなるのはいいけれど、城跡の周辺は車の渋滞がひどいのは閉口する。



実家は会場から少し離れているので、ここまで車の波は押し寄せてこない。
舗装された道を除けば、40年まえとなにも変わらない風景だと妻はいう。
村の人たちはかなりの高齢にもかかわらず、毎日元気に田んぼや畑仕事をしている。
74歳になる義母がこの村で最年少だというのだから驚きである。

今年の夏は猛暑だったので、じつは黒豆の発育はもう一つよくなかったらしい。
ところが1週間ほどまえから気温が下がったためか、急に実が大きくなり、例年以上に丸々と育ったという。
だれの畑でも同じわけではないので、これは義母が手塩にかけて育てたその思いが結実したものといえる。
たしかにプリップリして美味そうだ。
これを食べて栄養をつければ体調もよくなるかも。



早朝に刈った黒豆の葉っぱを切り取り(この作業がけっこうたいへん)、2~3本ずつ束ねる。
世話になっている人や友人にお裾分けする予定。

今年の暮れにD400が出ると思うワケ

2010年10月09日 | Camera


ニコンD300は名機である。
ISO1600を超える高感度撮影以外は弱点が見つからないほど、よくできたカメラだ。
昨年の夏、後継機のD300sが発売されたが、これは動画機能が付いた程度のマイナーチェンジで、仕事で使う分には同じカメラであった。
なので、本当の意味での後継機としてD400を待ち望むカメラマンは多いと思われるが、D300がよくできているだけにニコンもなかなか造りづらいのかもしれない。

今年7月にプロ機材ショーへ行った話は以前ここで書いたが、そのときニコンのブースで担当者とこんな話をした。
もう発売になったので書いてもいいと思うが、この夏にD400は出るかと問うと担当者は「D400は出ないけど、エントリーモデルが出そうだ」と答えたのだ。
はたして担当者のいうとおり、9月にはD3100とD7000が発売となったのである。
この事実は、まえに書いたように「年末にはなにか動きがあるかも知れませんね」という言葉の確かさを物語っていると思う。

さらにこの2機種には、ニコン製の14.2メガCMOSセンサーと新しい画像処理エンジンが搭載されている。
これがD400にも使われることはまちがいないだろう。
弱点であった高感度撮影にも対応できそうだ。
発表は来月中旬で、発売は12月末とわたしは予想している。

家具が語りだすまで

2010年10月03日 | Photography
先週、打ち合わせをした永島さんの家具を撮りに、池田にあるギャルリVEGAへ行く。
ギャラリー内の照明は自由度が低いので、そのままの環境光ではぜったいに撮れない。
当然、大型ストロボやスタンドが必要。
また壁面をそのまま使うのは芸がないので、背景の布も持っていく。
それを支持するためのポール類も。

素人さんはカメラさえあれば写真なんてすぐに撮れると思っているが、本当はカメラ以外の道具や機材の方が多い。
いうなればスタジオ道具一式を持っていくわけだから、カメラマンというのは写真を撮る肉体労働者に等しい。
好きでないとこんな商売やってられない。



約束の時間10分前にギャラリーに到着し、機材を運び込む。
ガラス張りで清潔感のあるお洒落なギャラリーだ。
作業のしやすさを考えて慎重に撮影場所を決める。
まずは打ち合わせのときに試し撮りした「桜のついたて」から。

きょうのライトはアンブレラとグリッドの2灯ライティング。
作品の形や大きさが一つひとつちがうので、それに応じたライトの位置や当て方を考えなければならない。
人物ならほぼ同じだから、一度セットしたらライトを動かすことはあまりないのだが。



撮影の手順を書くとこうなる。
(1)その作品の特徴がよくわかる向きやアングルを探す。
(2)立体感や質感の出るメインライトの位置を探す。
(3)強調したい部分やメインライトがフラットすぎる部分にハイライトを入れる。
一発で決まることはまずないので、(2)と(3)を繰り返しながら微調整していく。
場合によっては(1)からやり直すこともある。
この作業はものすごく集中しないといい光が見えてこないので、いったん撮影にはいると2~3時間は休憩しないことはザラだ。
人物のようにことばを交わすことはないけど、わたしにとっては商品撮影は人物撮影以上にライブ感がある。
「ここにライトを当ててよ」という声が聞こえたらワクワクする。

5時間くらいかけて作品20点ほど撮影した。
さて、気に入ってもらえるかどうか。