去年リリースされた現像ソフト「
SILKYPIX Developer Studio Pro 5」のMac用(Bata版)が、今年になってようやくが出た。
さっそくインストゥールしてライカM8とニコンD7000のRAWデータを現像してみる。
今までM8のRAW現像はフォトショで、D7000はキャプチャーNX2というニコンの専用ソフトで行なってきた。
わたしの場合、自分の記憶色をもとに白とびを極力抑える方向で(どちらかといえば暗めに)現像することが多い。
現像したデータは一度16bitのTIFFデータとして保存し、ふたたびフォトショで開いて微調整する。
つまりRAW現像したデータを元データとして保存しておき、そこからウェブ用やプリント用のデータをつくっていくわけだ。
さてSILKYPIXの生成した現像データはどうか。
この判定はじつに難しい。なぜならソフトによってパラメータが微妙にちがうので、たとえば同じホワイトバランスで現像しても、まったく見た目のちがう絵になるからだ。
露光量にしても同様で、まずデータを開いたときの基本となる露光量もまったくちがう。
というわけでとりあえず「Auto」のまま現像してみる。ホワイトバランスは一応同じ数値にしてみる。
左からJPEGデータ、キャプチャーNX2、SILKYPIX
上のカットは元画像を944ピクセルにリサイズしているので、このくらいのサイズではJPEGの撮って出しデータもRAW現像したデータもほとんど見分けがつかない。
逆にいえばD7000のJPEGデータは素性がとてもよいといえるだろう。
一方、SILKYPIXで現像したデータは色味が少し赤っぽく、光の当たっている部分の透明感が高い。
このカットは朝日が出てすぐの時間に撮ったものなので、じっさいの光もやや赤っぽく、まさにこんな感じに見えた。
まさか撮影時間まで読みこんでそれを加味しているわけではないだろうが、SILKYPIXの現像はじつに的確で美しいと思う。
Photoshop CS2(右はその拡大100%)
こちらはM8のRAWデータをフォトショで現像したもの。
メリハリの利いた絵づくりで、色の抜けもいい感じだ。これはこれでまったく文句のない絵になっている。
SILKYPIX(右はその拡大100%)
一方、上のSILKYPIXの方は同じホワイトバランス(5200K)で現像したにもかかわらず、やや黄色が勝っているというか、くすんだ色に見える。
だが、じっと見ていると逆にフォトショの絵の方が赤色がかっているように見えてくるので、これはどちらが正しいという判定は難しい。
5月のインドのあの昼間の太陽を思い出すと、むしろSILKYPIXの絵の方が記憶色としては近いのかもしれない。
さらに拡大部分を見ると、白い洗濯物のディテールの表現がまったくちがうことに驚く。
フォトショは白とびギリギリのところで抜けの良い白の再現を狙っているが、SILKYPIXはややハイライトを抑えてコントラストを付け、洗濯物の質感をうまく表現している。
この高輝度の部分と低輝度の部分(船のシャドー部)のディテールを極力出すように現像しているのは、HDR機能が今回のSILKYPIXに付加されたからかもしれない。
たったこれだけではほとんどわからないけど、SILKYPIXのRAW現像は新しい表現の可能性を秘めていることはたしかである。
ベータ版が商品化されたらすぐ買おうと思っている。