Happyday of LUCKY

日々の気付きと感謝を忘れないように綴るページ

魅惑の銀塩プリント

2016年04月29日 | Photography
黄金週間の初日は奈良市写真美術館で開催中の「ゼラチンシルバーセッション巡回展」を見にいく。



ゼラチンシルバーセッションとは銀塩写真による競作のことである。
風前の灯のようになったフィルムと銀塩プリントでいまだ制作をつづけている写真家たちが、その銀塩写真の文化をのこすためにアクションをおこしている。

2007年には写真家が2人1組になって、自身のネガから仕上げたプリントと互いに交換したネガから仕上げたプリントを展示した。このセッションは「21世紀の銀塩写真」というタイトルで写真集も出ている。
参加している写真家はつぎの8組で、いまや日本を代表する錚々たる顔ぶれ16人だ。
上田義彦×三好耕三/笠井爾示×繰上和美/菅原一剛×広川泰士/鋤田正義×平間至/小林紀晴×泊昭雄/小林伸一郎×本城直季/瀧本幹也×蓮井幹生/蜷川実花×藤井保

さらに去年はべつの組み合わせ、なんと18組(36人)もの写真家が、それぞれに決めた独自のテーマで撮りおろした写真を展示している。
今回の展覧会は2007年と2015年の展示をまとめて一度に見ることができる。



わたしは2007年の写真集をもっていて競作の内容は一応見ているのだが、小さな印刷物なのでじっさいのプリントが見てみたいと思っていた。
で、きょう見てみたら、想像を超えた美しさ! 銀塩写真ってこんなにきれいだったのかとあらためて感動したしだい。ここ数年で自分の目が退化しているのかもしれない。

それぞれの写真家がお互いにネガを交換してプリントするので、本人のねらいとはちがう表現が見くらべられてとてもおもしろい。その上質な写真は見ていて気持ちがいいというか、豊かな気持ちになってくる。銀塩ならではの表現だと思う。
さらに特別ゲストとして、在米イギリス人の写真家マイケル・ケンナが日本を撮った作品も20点くらい展示されている。これがもう涙の出るくらい美しくて、見にいって本当によかったと思う。銀塩写真に興味のある人はぜひ見にいくべし。

ゼラチンシルバーセッション巡回展

春のギフト

2016年04月24日 | Life


都会暮らしは便利ではあるが、ほっとする時間と空間がすくない。最近とくに感じるのは、もうすこししずかにのんびり暮らしたいということだ。
なので週末になると妻と愛犬といっしょに妻の田舎へ帰省することが多い。だいたい2週間に一度くらいの頻度で帰っている。
先月は妻と義妹と3人でジャガイモの作付けをしたのだが、きょうは裏の山へタケノコを掘りにいく。

タケノコなんて年中スーパーで売ってるけど、やはりこの季節のものが一番旨い。下茹でしたあと、煮物や炒め物にしてもいいし天ぷらにしても旨い。
自生している山菜を採ったり、作付けしたものを収穫して、自分で料理してたべるというのは、とても満足感とよろこびがある。大阪であくせくと暮らすより、田舎の方がよほど心身の健康にいいように思う。



きょうはタケノコが6本も採れた。さらにタラの芽も4つほど。タラの芽が付いている木(枝?)って、ものすごい棘が付いています。身体に触れると血だらけになる!
義妹が育てた長ネギも何本かいただく。
毎年6月に黒大豆の作付けをするので、もし秋のギフトがほしい人はいっしょに作付けすれば収穫できますよ。畑はあまるほどあるので。

イッセイ・スダ あぜん

2016年04月20日 | Life
きょうからはじまる須田一政 写真展「人間の記憶」を観に gallery Main へいく。
須田氏のオリジナルプリントは去年の夏に大阪で見たが、今回は20年まえの展覧会で使われたビンテージプリントをそのまま展示してるというので、一度見ておこうと思い立った。
ギャラリーに着くと13時のオープンの20分まえであったが、「もう展示はできてますからどうぞ」と照明を点けて入れてくれた。



須田一政氏は1940年生まれで、今年76歳になる写真家だ。
彼の写真にはテーマがない。目のまえの風景を独自の視線で切り取るだけのスナップ写真であるが、その完成度は非常に高く、ブレッソンやアーウィット、あるいはキムラにも負けない独特な作風がある。
今回の展覧会では6×6フォーマットの作品がほとんどであった。20年まえはローライやハッセルで撮っていたものと思われる。

ひとことでいうと須田氏の写真はかっこいいのである。これはふだんスナップ写真を撮っている人間でないとわからない「かっこよさ」かも知れないが、どの写真にも偶然を呼び込む必然性があって、これは演出なのか? と思われるカットもあるくらいだ。
拡大したコンタクトプリントが展示してあるのでそれを凝視すると、なんと三脚にカメラを据えていることがわかって唖然とした。
同じ場所でブローニーフィルム1本(9カット)撮りきっている。完成度の高さの秘密はここにあった!



ギャラリーを出て、JR京都の美術館「えき」でやっている「木村伊兵衛 写真展 パリ残像」も見にいくつもりだったが、写欲がむくむくと沸いてきたので方針変更。五条大橋をわたって清水寺へと向かう。帰りは二年坂から都をどりを通って祇園四条へ。
スダの魂が多少はM5に宿ってくれたか。(上の画像はもちろんタブレットです)

若草山でショージ・ウエダ

2016年04月19日 | Life
だれでも一度くらいは植田正治のような写真を撮りたくなるものであるが、じっさいにやってみるとこれがなかなか難しい。
ご存じのとおり、彼の作品の多くは地元の鳥取で撮られている。中でも砂丘を舞台にして何人もの(ときには何十人もの)モデルを撮った作品は、当時のファッション写真にはない非常にシュールでかつユーモラスな作風によって業界に新風を巻きおこした。
2000年に亡くなるまでこんな写真を撮りつづけていたのだから、やはりウエダは世界に誇れる偉大な写真家だと思う。



さて、鳥取砂丘までいく時間と予算のないわたしたちは、もうすぐ新緑の若草山へいくことにした。
わたしたちとは写真学校の同期やその友人たちの集まりで、つまりふだんはブライダルやスクールを撮るプロカメラマン集団のことである。
とはいえ、いつも重いカメラで仕事をしているわたしたちは、休日はコンデジかスマホまたはタブレットしか持たないという固い決意があるので、はじめから作品を撮る気はないのであった。きょうEさんはカメラすら持っていなかった。



うえのシカや美女や観音を撮った写真はぜんぶタブレットで撮ったものをモノクロにしたものだが、それなりによく撮れている(逆光はきついけど)。
しかしデータ量を節約するためにSサイズにしてあるので長辺が2000ピクセルほどしかない。プリントするとしてもキャビネサイズまでだ。つまり写真作品には到底なりえないということ。

タブレットを使いだしてわかったことは、日常の記録写真などプリントする必要がないということだ。LINEやメッセンジャーで共有して、みんなでいっしょに見ればいい。アルバムにどんどん追加すれば、もうだれが撮ったかなんて関係なく、とにかくその時間を共有してたのしかったね、ありがとう、またあそぼうね、と写真で会話がはずむのである。
要するに写真の在り方がスマホ/タブレットによって完全に変わってしまったということなのですね。いまごろ気づきました。

そんなわけでリュックの中にしのばせていたフィルムカメラで一度も彼女たちを撮ることはなく、ひたすらタブレットで撮りまくったのであった。それにしても撮りにくいな。フリスビーにして投げたくなる。

たのしい藍染め体験

2016年04月16日 | Life
3月半ばから4月半ばまでは卒業式と入学式、それに学級写真の撮影などが目白押しでばたばたと忙しい。一応まじめに働いているので、気がついたらブログの更新が1ヶ月ほどストップしてました。きのう、C中学校の学級写真を撮りおえ、ようやく一段落。
きょうは友だちのDさんたちと大和郡山へ藍染め体験にいく。たのしみだ。
予約の時間よりすこし早めにいって、郡山城跡でのんびりしながら昼食をとる。それにしてもきょうは暑い。初夏の陽気だ。



タブレットで写真を撮るようになって半月ほどたつが、あれほどバカにしていたのに使いだすと意外によく写るので、もうコンデジは必要ないと思い、ソニーRX100は知人に安く譲ってしまった。
で、記録用にはタブレット、作品撮りはフィルムカメラ、仕事にはデジタルカメラという感じで、すっきりと棲み分けができた。
ただタブレットでうまく撮るのはなかなか至難の業で、どのタイミングでシャッターが切れているのかよくわからないし、ああいう形なので非常にホールドしにくい。知らぬ間に画面にふれて妙なことになっていたりする。それとレンズが端の方にあるので画面との視差が気持ちわるい。
まあそういいつつも、すこしずつ慣れてきたきょうこのごろである。



さて、藍染め体験がはじまった。
はじめに藍染めの原料となるスクモの話を聞く。スクモとはタデアイの葉を3ヶ月もの時間をかけて発酵させたもの。このスクモとフスマ、灰汁、石灰、日本酒などを大きなカメに入れて混ぜ合わせ、さらに10日ほど発酵させると藍染めの染液ができるという。この液に布を浸けて染めるわけだ。

染める布の種類はいろいろあって、わたしは綿のストールを染めることにした。
たいていの染め物は模様となる部分が白抜きになり、模様の背景部分を染めることになる。布を折り畳んで模様にしたいところを洗濯バサミではさんだり、輪ゴムできつくしばったり、あるいは割り箸や万力で挟んで描画?する。
どんな模様になるか、頭の中で布を広げてイメージするのがなかなか難しかった。

模様の準備ができた布を染液に浸け、カメのなかでやさしくゆらゆらと動かす。2分たったら引き上げて、今度は水の中でじゃぶじゃぶと濯ぐと緑色だった布が鮮やかな青色に変化する。この作業を3回くりかえすと青色がだんだん深い藍色になるのです。
さいごの水洗のあと洗濯バサミなどをはずし、色止めのために酢に浸けてもう一度水洗したら完成。はじめてにしては上出来でしょ?
箱本館「紺屋」の藍染め体験はこちら



藍染め体験のあと、すぐ近くにある「こちくや」で金魚すくいをしたり、和菓子をたべたり、かき氷をたべたり、うどんをたべて(たべてばっかり!)春の一日をたのしく過ごした。