こんにちは。わずかですが、日に日に寒さが緩んでいるような。
オフィスでは「今日は花粉症やばいかも」なんて会話も聞こえてきましたし、
(幸い、私は花粉症には無縁で)
オフィスからの皇居や富士山の見え方も、気温の上昇に合わせて、少し濁って、というとなんですが、まあ、気温の上昇なのか、排ガスなのかは、明確な判断はつきません。
さて、先に、固定資産税を調べていて、家屋、土地の評価額のことを勉強しましたが
遺産相続の際にも、相続税の計算にも、この家屋、土地の評価額が適用されるものか気になりましたので
今回は、相続税について調べてみたいと思います。
まず、定義ですが
“相続税とは、相続や遺言で遺産を受け継ぐ際に、遺産総額の金額が大きいとかかる税金のこと。”
と、某司法書士事務所のHPにありました。
“金額が大きい”とあるのは、控除があるからですね。
「基礎控除額」は
3,000万円 + 600万円 × 想定相続人の数 = 相続税の基礎控除額
で計算されますので、
例えば、配偶者、子供2人の場合
3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
となるので、遺産が4,800万円以下の場合、相続税の申告は不要です
基礎控除以外にも
- 未成年控除 20歳になるまでの年数×10万円
- 障害者控除 85歳になるまでの年数×10万円(特別障害者の場合は、20万円)
- 数次相続控除 被相続者が、10年以内に相続を受けていた場合
もあり、該当すれば、上乗せします。
前後しますが、課税対象となる遺産の種類は以下の通りです。
- 不動産(土地、建物)
- 金融財産(預金、株式、投資信託等)
- その他(自動車、家具、貴金属、会員権、著作権・商標権・特許権等)
また、課税対象とならない財産もあります。
- 死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)
- 死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)
- 墓所、墓石、仏壇、仏具(骨董価値のあるものを除く)、香典など
- 国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付した財産
逆に、被相続人が亡くなる3年前での贈与財産は、課税対象になります。
(生前贈与ってやつですかね)
あと、借金などの債務、葬式費用も控除の対象となりますので、
「課税遺産総額」は、
(課税遺産総額)=(遺産額)+(被相続人が亡くなる3年前での贈与財産の金額)-(借金などの債務、葬式費用の控除)-(基礎控除額)―(その他の控除 死亡保険金、退職金の非課税枠)
で計算されます。
この課税遺産総額が、「遺産分割」され、分割された額に応じて、税率、個別の控除額がきまり、「遺産をもらった人」の相続税額が決定します。
そして、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、申告と納付をする義務があります。
(遺産分割の協議、協議書や申告書の作成、必要書類の収集など、10か月は決して長くはないようです)
支払方法は、現金一括払いのみ。
分割もできないようなので、現金がないと、金融機関でローンを組むなどしなければなりません。
ちなみに納付が遅れれば、延滞税がかかりますし、悪質な場合(ニュースで報じられたりしますが)重加算税が課されます。
また、時効もあって、うっかり申告もれを起こしていても、5年経てば時効になります。悪質な場合は、7年と長くなります。
しかしながら、実際、相続税の申告書を提出した割合は、相続発生件数の8%程度だそうです。
なので、自分が、相続人または被相続人であっても、申告はせずにすむような気がしますが、申告の要否の判断のために、ちゃんと勉強しておきましょう。
一通りの流れは、上記の通りですが、定義などを個別に確認していきましょう。
先に、「遺産をもらった人」が相続税を申告すると書きましたが
相続税を申告する人は、“遺産を継承した相続人または遺贈を受けた人”となりますので、
配偶者、子供といった「法定相続人」だけでなく、
- 遺産をもらった(承継した)相続人
- 遺言書により遺産をもらった(承継した)人(受遺者といって相続人とは限らない)
- 生前(相続発生前3年以内)に贈与を受けていた相続人
- 相続放棄をしたが保険金をもらった相続人
が当たります。
「法定相続人」とは、法律上で亡くなった方の財産を相続する「権利」がある人のことで、
「法定相続分」という、それぞれが相続する割合が、法律で定められています。
相続人と法定相続分の組み合わせです。
- 配偶者のみ: 配偶者100%
- 配偶者+子: 配偶者1/2 子1/2
- 配偶者+直系尊属: 配偶者2/3 直系尊属1/3 ※父母、祖父母
- 配偶者+兄弟姉妹: 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4
- 子など複数人いる場合は、その相続分を人数で割ります。
また、遺言等で、特定の相続人や第三者に相続させたい場合にも、法定相続人は最低限の遺産の取り分を主張でき、それを遺留分と呼びます。
相続人と遺留分割合の組み合わせです。
- 配偶者のみ: 配偶者1/2
- 配偶者+子: 配偶者1/4 子1/4
- 配偶者+直系尊属: 配偶者1/3 直系尊属1/6
まあ、当然と言えば、当然ですが、配偶者の権利が強いですね。
さらに「配偶者控除」というのがあります。
被相続者と一緒に財産を形成してきたのですから、優遇措置が図られます。
その金額は、1億6000万円または配偶者の法定相続分相当額のどちらか高い方になります。
まあ、ほとんどの場合、配偶者は相続税を払わずに済むのでしょうね。
ただし、法律上の婚姻関係にあった配偶者に限られ、内縁関係などの事実婚、離婚した元配偶者(遺言で受遺者であったとしても)には当てはまりません。
しかし、課税遺産が0円でも申告する必要があります。
(申告しないとどうなるのか、は今一わからないのですが。10年以内に配偶者がなくなった時、子が数次相続控除を受けるためかな?)
また、それとは別に、住居についての優遇措置があります。
贈与税には、「夫婦間での居住用不動産贈与についての配偶者控除制度」があり、
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産取得資金の贈与が行われた場合に、最大2,000万円まで控除ができる仕組みになっています。
つまり、住んでいた家を、配偶者が遺産として受け取った場合は、2000万円までは、贈与の控除枠として使えるわけですね。(子が受け取ったら損ですね)
さて、なるべく税金は払いたくないので、控除の話が中心となってしまっていますが
控除の後、課税遺産額がきまれば、「税率」と「控除額」の話になります。
相続税の「税率」と、「控除額」ですが
課税額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | なし |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
となります。
一例を計算してみると
相続財産が5億円あり、相続人が配偶者と子1人の場合
・課税遺産総額
5億円-(3,000万円+1,200万円)=4億5,800万円
・相続税の総額
それぞれの相続額 4億5,800万円÷2=2億2,900万円
それぞれの相続税額 2億2,900万円×45%-2,700万円=7,605万円
配偶者は配偶者控除(1億6,000万円か、法定相続分2億5,000万円の高い方上限)があるので、相続税額は、0円
子は、7,605万円となります。
このように、配偶者控除は、大きな税負担軽減になるのですが、では、配偶者に大きすぎる割り当てをしてしまうと、
結局は、配偶者が被相続人になった場合、子などの相続人は、配偶者控除分の相続税を払うことになるので、
まあ、配偶者名義で多額の債務があるなど、特別な事情でもなければ、法定相続分で分割するのが適切ではないかと思いますね。
さて、最後に、相続時の資産評価についてですが
土地は、基本的には市街地は「路線評価方式」、市街地以外は「倍率方式」で評価されます。
建物は、固定資産税評価額がそのまま相続税における評価額になります。
マンションについては、マンション全体の土地、建物の評価額×登記簿謄本に記載されている持ち分割合の額
であるので、土地は路線価のままで、相続財産額とされるので、固定資産税評価額よりは高くなるのかな。
なお、不動産を想像する時は、相続税の他に、名義を変更するために「登録免許税」を払う必要があります。
登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%
です。
不動産以外(動産と呼ぶとは知りませんでした)は、
現金は相続時点での金額、預貯金は、その時点での利子を加えた額
(なので、今のうちに引き出しておいて!は無効ですよ、奥さん)
有価証券は、基本的に時価
自動車、家具、美術品などは、基本的には市場価格。
市場価格がなければ、同種同等財産の取引事例から取引事例比較法で、
それができなければ、原価から定率法で原価償却させる原価法、
というのが、ざっくりとした考え方のようです。
個別には、国税庁の「公売財産評価事務提要」を参考にしてください。
「第5章 動産の評価」に個別の記載があります。
以上です。
この知識を使うのが、まだ先の話だといいのですけどね。
むしろ、自分が先に被相続人になるのが楽ですが、相続人(特に、うちの奥さん)が、ちゃんとやれるかは甚だ怪しく、余計な税金払ったり、延滞金払ったり、成仏しきれない気がします。
ではでは。