先日ブルガリアの国営テレビで「ブルガリア国立伝統オーケストラ」をバックにした、ブルガリアの伝統フルート「カヴァル」の国民的英雄「テオドシ・スパソフ」のトリオのコンサートが放映されていた。
ちなみにこのオケの編成は
カヴァル(伝統フルート):3
ガドゥルカ(伝統ヴァイオリン):3
ガイダ(伝統バグパイプ):1
タッパン(伝統パーカッション):1
タンブラ(伝統撥弦楽器):2
ヴィオラ:3
エレクトリックギター:1
チェロ:1
コントラバス:1
見たところこんな感じ?
しかも、超スター揃い!!
1番ガドゥルカのペヨさん(初めてペーター・ラルチェフに私たちが出会った時、一度共演させていただいた)、1番カヴァルのネデリャコさん、エレクトリックギターのアンゲルさん達は、押しも押されもせぬ、これからのブルガリアを代表する飛び抜けた才能だ。我らがリーダー、ペーターさんとも一緒にグループでいつもとんでもない演奏を繰り広げていらっしゃる。
あーあ、巨匠テオドシ・スパソフのバックがこの人たちなんてなんて贅沢な!!この人たちの演奏を聴くと、もうワクワクして勝手にトリップしてしまう。
素晴らしい編曲をいつもやっていらっしゃるのは、指揮者の方やペヨさんらと聞いた。
ええな〜…いつも思うけれど、4番フルートでいいから雇ってくれないかなぁ。。。こんなリズムの懐に包まれて演奏してみたい。
しかもこの編成で。世界のどこにもあり得ない「お隣さんががこうだったので」的な編成。
何度も言うけどめちゃええなぁ〜ー。。。
まるでバッハの「ブランデンブルク協奏曲」だ。
こういう場合には、「何とかの楽器の席が空いたから募集する」など、もう既成の編成があって楽器としての音色を先ず想定しているんじゃなくて「隣にいる人」の音を「おっ、ええなあ!」と感じるといった原始的な感覚から始まる。
そういえば私は昔から、クラシック編成のオケでフルートの音色の役をするのは苦手分野だった。最初から役割がきちんと設定されているものより、そういう原始的な方法が好きなのかも知れない。
私が個人的に一番好きなのは「デューク・エリントン・オーケストラ」で、これは凄い。それぞれの奏者は、いわゆる「楽器」という固定された意味でのカラーでなく、個人の即興の個性がめちゃくちゃ凄い。エリントンはそのそれぞれの個性でドラマを創り上げるのだ。DVDはもう百万回見たけど、その手腕、過激さ、面白さ。ほんとう時代を超えている。
あとは「ギル・エヴァンス・オーケストラ」。
村上春樹はこのオーケストラとマイルスの共演を
「ギルの緻密なオーケストレーションのスコアをマイルスが切り裂く」
というような表現をしていたと思う。
マイルス・デイヴィスがこのことについて自著で面白い供述をしている。
「この部分はなるべく個性を排したスネアが叩けるよう高度なテクニックを持ったクラシック奏者を、ここからはファンタジーを持って即興できるよう楽譜なしで、自分は楽譜があると十分なフィーリングが得られないから」
というように「個性」というものを根っこからから理解し、奏者を選び、意図的に作曲に取り入れていたのである。
こんな風に、知性を持って色んな世界が混ざっていくと面白いね!
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