2015年10月28日 蕎麦屋さんで物思う

2015年10月28日 | 風の旅人日乗
ここのところ
昼は蕎麦
が続く



北九州にも
店の雰囲気が良くて
蕎麦もつゆもいける
蕎麦屋さんは多い

お客にも
蕎麦通らしき
人たちが多い


- おぅ熊公
こん先の時代のニッポン人は
蕎麦たぐるときに
滅法でけえ
みっともねえような音立てて
啜り込むようになったってぇ
いうんだけど
そのわけを知ってるか?


- へえ
そうなのかい?

知らないねえ


- なんでもよお
声はすれども
姿は見えねえってえ
ラヂオとかいう箱が
こん先の世の中にできるんだとよ

その箱ん中にへえって
蕎麦っ食いの落語を
演ることになった
噺家がいたと思いねえ


- 人が入れるのかい
そのラヂオって箱は?
でかいんだねえ

そんな箱に入れられて
落語を演るなんざ
こん先は噺家も
てえへんなんだねぇ~


- そうなんだよ

そんでよお
そいつがさあ
そのラヂオって箱の中じゃ
蕎麦たぐる仕草が
客に見せられないからってよお
蕎麦啜ってることを
客に分かってもらうために
滅法でけえ音立てて
蕎麦啜る真似したんだってさぁ

そしたらそいつが
変に人気が出ちゃってさあ
ほかの噺家までそれを
真似し始めたんだって

それからだってえのよ
国中のニッポン人が
江戸じゃあ
蕎麦たぐるときは
めいっぱいでけえ音立てて
啜り込むのが粋らしいって
間違って
思い込んじゃったのは

なんかちょっと
可哀想だと思わないかい?


- そりゃあ まあ
ご苦労なこった


・・・
落ちませんけど
お後がよろしいようで


ここは
蕎麦屋じゃないけど
冬のような寒空の下
アールグレイモカが
美味しい