Kazuhiro Nishimura Sailing Diary
プリマスは
いい朝
本日も
楽しみつつ
頑張りましょう
漁を終えて
サットンハーバーに
漁船が帰ってくる
荒海で働く船だけど
妙に
フォルムが可愛い
もちろんこっちも
いい形
船の文化は
深い
同じプリマスの
たんぽぽでも
風の強い斜面に
根を張ったたんぽぽの
花の茎は短く
近くの
茴香の茂みの中に
根を張ったたんぽぽの
花の茎は長い
もしかして
たんぽぽにも
考える能力が
あるのかも知らん
オイラも
この艤装に
工夫の余地はないか
考えよう
今日のプリマスは
気持ちのいい朝
本日も
たくさん嬉しいことが
ありますように
数年前に
ニュージーランド人デザイナーと
頭を絞りまくって
一所懸命に造ったヨットの
ステムにそっくり
時代を先取りして
いたんだな
曇り 雨 晴れ
曇り 雨 晴れ
強風 強風
の中
準備は続く
アメリカズカップ
ワールドシリーズ以来の
プリマス
海から上陸するのは
ファストネットレースで
フィニッシュして以来
昨日は
選手紹介
その横の
クレープ屋さん
本日は
出港セレモニーのあと
夜サンマロをスタート
英仏海峡を挟んで
128海里先の
プリマスに向かう
夕食のレストランで
太平洋を
サンフランシスコから
横浜まで
一緒に渡った旧友に会う
フィリープ
お互いに
セーラーとして信頼し合える
最高の友達
近くの酒場に
場所を移して
夜更けまで飲み続ける
ジブンは
日本での人徳が足りないようで
日本のセーリング界に
こんな
抱きつきたくなるような
友達はいない
酒場からの帰り道
雨の石畳の歩道を
歩く
『シェルブールの雨傘』の
テーマ音楽が聞こえ
カトリーヌ・ドヌーヴの
哀しそうな横顔が
見えたぜ
石畳の石てえのは
置いてあるだけなんだねぇ
今日から
レースヴィレッジ正式オープン
本日は
夕方から記者会見
ライバル艇のセール
なるほど
こういう手もあるか
勉強になるねぇ
サンマロの潮高差は
12メートル!
干潮のときは水門が閉ざされる
港の中は
ほとんど水位は変化なし
夕方の満潮に合わせて
IMCA60たちが
入港してきた
昨夜遅く
サンマロ到着
艇を
指定のバースにシフト
見物に来る人
多数
スター誕生
すげー船たちと一緒に
本日は
ロリアンから
サンマロに
回航中の予定
昨日
日・仏・独からなる
国際チームでランチ中
誰かが
オランジーナを注文して
オランジーナはどこの国の
会社が作っているか
という話題を
イタリア人のパトリシアが
持ち出す
そんなの
フランスに決まっているじゃないか
と
フランス人のジャンクリストフが
笑う
そうじゃないのよ
実はオランジーナは
イタリアの会社だっていう噂よ
と
パトリシアは自信たっぷり
で
パトリシアが
繋がりの悪いレストランのWiFiで
調べることになる
答えが出るまでの間
この勝負に関係のない
日本人組は
最近
なんか
日本のこどもたち
結構オランジーナ好きだよね
なんて話を
退屈気にする
パトリシアのスマホから
答えが出てきて
あれ?
やっぱイタリアは
関係ないみたい
フランスみたい
と残念がる
ジャンクリストフが
グーを握って腕を引き寄せ
嬉しがる
あー
ちょっと待って!
現在はサントリーが買収
だって!
一同 唖然
いきなり
日本選手団に
優勝カップが回ってきた感じ
何をしたわけでもないのに
嬉しいのは
なぜ?
話は変わって
これは
日本のタンポポ
これは
フランスのタンポポ
花は
同じだけど
茎の長さと
葉っぱが違うな
日が長くなってきた
西フランスの
寝室のベッドからの景色
良い子の
就寝時間を過ぎた
夜9時
一人乗りで闘う
外洋レースは
とてもレベルが高い
スポーツである
だから
それに関わる人たちは
人生を通して
わき目を振らず
それ一筋に
真摯にそれに向き合う
いま
一人の無名の
日本人アマチュアセーラーが
人生をほとんど捧げて
それに挑戦している
それをサポートすることに
重い責任感と
無上の喜びを
同時に感じる日々