確かにレーザーSB3は操船が楽で、身体に優しいスポーツボートではある。
しかし、正確に言うと、『ヘルムスマンをやっている限りは』、という注釈をつけるべきかも知れない。
そう、ヘルムスマンの前に乗る2人の作業はかなり大変。
その2人は、ガンポールを突き出し、引っ込め、ジェネカーを揚げたり降ろしたり、パンピングしたり、トリムしたり、ジャイブしたり、ジブを返したり、タックの後メイントラベラーを上げてくれたり、といった作業をテキパキとやらなきゃならない。
夏のある一日、沖に出て思う存分ジェネカーでのスピードセーリングを楽しんだ後、
江ノ島のすぐ前の海面で、ある大学が打っていたショートコースの練習コースを使わせてもらって、
5、6周ほどコースを周回し、マーク・ラウンディングの練習をした。
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【撮影・矢部洋一 提供・舵社 photo copyright Yo Yabe/KAZI】
ティラーを持ってメインシートを出し入れしているだけで、何の苦もなく、この練習が楽しいばかりのぼくが、
鼻歌を歌いながらフト気が付くと、ジェネカーホイスト、ジャイブ、ジェネカーテイクダウン、タックの繰り返しで、前の2人は汗だくになっていて、息づかいも相当荒い。前で働いている2人は結構大変なスポーツをしているようだ。
スポーツボートとはこれを指しているのかも。
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【撮影・矢部洋一 提供・舵社 photo copyright Yo Yabe/KAZI】
日本にはまだ入ってきたばかりだが、レーザーSB3は本場イギリスでは、すでにフリートレースが盛んに行われていて、2008年8月のカウズウイークでは、80隻以上のエントリーを集めてこのクラスのレースも開催された。
その年の9月にアイルランドで開催されたレーザーSB3世界選手権には、120隻以上が参加したらしい。
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【撮影・矢部洋一 提供・舵社 photo copyright Yo Yabe/KAZI】
日本でもこのクラスの人気に火が付いてレースが盛んに行われるようになることを期待したい。
そうなれば、この艇のスピード性能そのものだけではなく、ワンデザイン・クラスならではの、
チューニングや乗り方によって潜在性能を追求していく楽しみも生まれてくるからだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/eb/b649244ec18e22cfc2d94b49725a067a.jpg)
【330kgのバルブをぶら下げている深いキールストラットと、深いラダーがクローズホールドの性能を支え、巨大なジェネカーが生み出す大きなパワーに対応する。撮影・矢部洋一 提供・舵社 photo copyright Yo Yabe/KAZI】
(おしまい)