2017年12月12日 葉山 鎌倉

2017年12月13日 | 風の旅人日乗
昨夕
館山から門前仲町まで戻る

館山では
素晴らしい収穫があった

いろんなプランの可能性を
あちこちの角度から検証した

たぶんだから
ちょっと
年期ものの脳細胞が
疲れたみたい

いろんな夢ある計画と
ドロドロの仕事を
両立させなさいという条件設定に
頭の中のコンピュータと心が
煙を上げ始めたかんじ

ちょうど日暮れどき

牡丹町の浅野屋に入る

大学時代
すぐそこの大学寮で暮らしていた

その最初の年の初夏

北九州の山出しの18歳の未成年は
同級生に誘われて
東京で初めて入った蕎麦屋さんで

同級生の注文を聞いたあと
ジブンのオーダーを待ちわびる
店員のおばちゃんの視線に汗をかきながら

意味不明ということにおいては
フランス語レベルの

はなの東京の蕎麦屋の
壁の品書きに目を泳がせつつ

勇気を出して
一番右端の茶色い木札を見ながら
発音の仕方に多少の不安を覚えつつ

エートッ
もりかけ!

って
無駄に元気に言ったのだ

場を走る沈黙

え?
なになになになに〜?
俺?
もしかしてなんかやったん〜?

信州出身の優しい同級生
久保君が
何か言おうとしているおばちゃんを
やさしい奥目で制して

もりとかけは別々でさ
もりは冷たいの
かけは熱いの

どっちにする?

と穏やかに教えてくれた

その光景は
今でも鮮やかに
まぶたの裏によみがえる

耳と頬っぺたが
とても熱くなって

そのあと
もり・かけ
どちらを選んだかは忘れた

それが
ここ牡丹町浅野屋での
数十年前のできごとだ

久保
今も元気か?
今も奥目か?


昨日
もりかけ野郎は
まず熱燗と鳥焼き

2本目の熱燗に合わせて
魚の天麩羅

そして
せいろ

牡丹町浅野屋に
もり・かけ
という品書きは
今はもうない


浅野屋を出て
じっくりと考えごとに
浸りながら

越中島から
月島
勝鬨
築地
銀座を経て
新橋まで歩く

そこから満員の横須賀線で逗子まで

改札口から
葉山行きのバスが
プシュ〜と扉を閉めるのが
見えたので

そのまま逗子から葉山まで
浜伝いに歩く

空にオリオン座

その後ろにふたご座



写ってないなあ