いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

郵政民営化のまとめ編4

2005年06月20日 20時45分47秒 | 社会全般
世論調査では、郵政民営化の国民理解が十分得られないまま、政府が突き進んでいるという印象を与えているようです。何度も言うようですが、郵政に利払いをしている主体は、実質的に国であり、ひいては国民の税金です。これが大量に飲み込まれている訳で、そのことに多くの国民が気付かない限り、「郵政」の正体が見えてこないかもしれません。特別「郵政」が悪いことをしている訳でもなく、大赤字を垂れ流している訳でもない、という認識が、より民営化の意義を見出しにくくしています。これもある程度仕方がないかもしれませんね。ですが、私は未だ民営化を支持しております。その為の活動は続けます。

NIKKEI NET:政治ニュース


郵政民営化のまとめ編3

何度も言いますが、政治のあり方を変えようとする人々が立ち上がったからであり、それは単に「政治家」が強引に推し進めるからでもないと思いますし、何かの欲望に支えられているとも考えないからです。単なる一国民として見る限り、守旧派の政治システムを破壊し、長年成し得なかった行政改革と統治システムの確立が可能になるのかもしれない、と思っているからです。


米国サイドの要求という「陰謀論」も一部にあるようですが、確かに「市場開放」「巨大な政府金融機関」などについて、「郵政はズルイよ」「もっと公平な競争を」とか言われてしまうのも理解ができますね。英国経済が必ずしもいいとも言えないかもしれませんが、金融での国際化が進むことは、デメリットばかりでもないかもしれません。シティは世界の中でも重要な市場を形成しておりますし、Tokyoがアジア地域の金融の中心地になれることは重要資源と同じであろうと思うからです。「ドル」「ユーロ」「円」という通貨(あっと、英国はポンドのままでしたね)ばかりではなく、グローバル化に対応した魅力的市場形成もまた、必要なことではないのかな、と思っています。公平性は、外資にとってばかりではなく、実の所民間金融機関・機関投資家達の悲願でもあった訳であり、国内金融機関と仲の良い旧大蔵省の亡霊達が、卑怯な陰謀や策略で郵政民営化を推進している訳ではないと思います。結果的に米国の要求するような「競争の公平性確保」「市場開放」ということが郵政民営化によって起こってしまうのかもしれませんが、将来的に大きなデメリットとしてどのようなものがあるのか、また、それへの対策としてとるべきものは何か、そういうところは学者さんたちがよく考えて頂ければいいと思います。


「魅力的な市場である」と思うことは、色々な要素があると思いますが(株式と同じで、「投資家心理」が重要なのだと思います。前にも書きましたが、「心理」が経済活動に大きく影響するので、これを正確に評価できるような経済原理とか、そういうものがなければなかなか理論的に説明することは難しいのではないかな、と)、フェアではない市場というのは、やはり心理的にはマイナスでしょう。それに「国内産業がダメージを受ける、国内銀行は全て外資に買われてしまう」みたいな意見も出ますが、そんなことを言っていたら、日本国内に進出してきた巨大資本の外資系スーパー等の小売業界とかは全勝していたでしょう。今頃、全て外資のスーパーになり、ファーストフードも全てマクドナルドになっていてもおかしくはありません。ですが、ちゃんと国内企業が頑張り、マック以外の国内ハンバーガー屋さんも存在しています。逆に、スーパー部門では「99円スーパー」(正確な名称忘れた)のような別な新しい形の企業も登場し、ローソンなどのコンビニさえ参入という状況となって、ビジネスチャンスが広がっています。たとえ一時外資の攻勢を受けたとしても、日本人の心が分る国内企業が生き延びていき、全て外資に支配などされることもありませんでした。金融機関も外資ばかりが勝ち進んでいるとも言えないですね。民間部門はこうした国際競争に曝され、逆に生き延びる知恵がつきました。努力と工夫によって、かつてよりもはるかに強く、逞しくなってきました。同時に今まで気付かなかった「自分の良い所、強い所」が自分で認識できるようになってきたんじゃないのかな、と思います。そういう自己変革が出来た企業は、成長・回復軌道に乗っていったのではないでしょうか。


金融危機の後、国内金融機関にとっては過酷な時代を迎え、「リストラ」に代表されるような厳しい環境に置かれ、結果を求められました。しかし、これを経ることで、外資系金融機関は「金融ビッグバン」に乗って大挙してやってきましたが、日本国内の金融機関は依然として生き延び、国民は新たな金融サービスを享受できるようになりました。投資信託にしても、外資系の商品も沢山出てきて、従来の国内商品のような「損しても仕方ない」みたいな運用成績しか出せなかったようなところは選別されるようになり、「成績」の良いものが求められるようになりました。保険商品にしても、大幅に変わっていきました。外資が入ってこなかったら、漫然と「護送船団方式」でやってこれたのが、それが変わっていくことでサービスが向上した面もありました。こうした「新たな種族」が入ってくることで、影響を受けた国内企業等の「自己変革」に繋がり、逆に国内の強い「種」を残すことに成功すれば、国際的にもその強さが活かされ「トヨタ」に代表されるような企業へと成長を遂げることが出来るのだと思います。日本人ならば、きっとこうした「自己変革」が出来るはずだし、そうした才能・能力は持っていると思っています。


日本サッカー界は、Jリーグを生み、スポーツビジネスの上でも外国からの新たな手法や、「新たな種族」としての外国人選手や監督を招き、「国際試合」で経験を積み重ねることで、ある程度の強さを手に入れました。昔のような、国内に閉ざされた方式でやっていても、今のような強さは得られなかったかもしれません。こうした改革やグローバル化の恩恵を受け、活かすことに成功したのかもしれないですね。


民間部門はこのようなグローバル化の荒波を乗り越えてきました。一方政治はどうでしょうか?政府部門はどうでしょうか?当然のことながら、全てにグローバル化や民営化ということが正しいわけでも有効なわけでもないでしょう。しかし、「自己変革」をしないまま、多くの部門で「循環不全」に陥っているように見えました。それを、「変えていこう」「強い組織を作ろう」という方向に進み始めたのが、現在の過渡期と思います。この政治過程は、今までチャレンジできなかったので、具体的な良い「お手本」もありません。適切な方法論もあまりないのかもしれません。ですが、一部の心ある人々は気付いており、政治家だけではなく官僚達も「変えていこう」と思い始めています。この流れを断ち切ることなく遂行していくことは、今後の政治に大きな影響を与えると思っています。今の「変えていこう」が失敗に終われば、守旧派勢力は復活し、反動で改革推進派は粛清(これはオーバーですが、笑)され、中枢から排除されるでしょう。政治ばかりでなく、省庁も公務員も「変われる」チャンスを失い、「循環不全」は改められることなく続けられるでしょう。これだけは絶対に阻止しなければならないと思っています。先日WBSを見ていたら、経済同友会の公務員改革の提言をしている丹羽氏(伊藤忠商事会長)が出演されていて、「官民交流」(というか部分的入れ替え?)を話しておられました。日本の将来に危惧を抱いておられる方々は、私ばかりではないということが分り、心強く思いました(少なくとも私の主張よりも、信用も説得力も格段に上ですし。笑)。

参考記事:

経済学は難しい6
「破局のスパイラル」(追記後)
経済学は難しい7
諮問会議批判噴出


郵政民営化は、真に国民の為のエージェントとなり得る人達は誰か、統治システムを変えていけるのか、その象徴であると言いました。経済財政諮問会議の出した「日本21世紀ビジョン」は、新聞各紙の社説などでは「総花的」と非難の対象となっていたのですが、私の見方は、全く違っています。確かに細かい所を色々探せば論理的不備などがあるのかもしれませんが、エージェント足り得る人々が掲げた「理想像」「将来への希望」なのであり、「国民の為のエージェントになります」という意思表示であると思っています。これは絶対的な姿であるはずもなく、当然完璧な「未来予想図」などこの世にあり得ませんね。ですが、「こういう未来へ進みたい」という議論をするための一つのモデルであり、そういうことを国民1人ひとりに考えて欲しい、その為に政府は働きます、というメッセージであると受け止めています。


私は人間が好きなのかもしれない、と記事に書いた事があります(参考記事)。それは、心の奥底の何処かに他人を信じたいと願っているのかもしれません。そして、「本当に酷い人間」などそう滅多にいるものではない、と思っているからなのかもしれません。21世紀ビジョンに懐疑的な人々からは、「何言ってんだか」「この通りには出来ない」といった意見は出るであろうと思います。では、自分が運営責任者である時に、どういう道筋を示し、どこへ向かって行きなさい、ということを考えるのか、是非伺ってみたいと思っています。


またラーメン屋の例で申し訳ないのですが、もしも私がそこの経営者で、沢山従業員や弟子達がいるとしたら、いかにいい人材を育てられるか、その為の教育をどうするか、ということを重要視します。勝手に仕事を休んだり、技術指導をする先輩の言うことを全く聞かなかったり、女子従業員たちが仲たがいをしたり・・・そういうもろもろの問題は結局「人間」の行動結果、人間関係の結果に由来していると考えています。問題が大きくなれば、全体の運営に支障を来たしますし、店の雰囲気も悪くなったりするし、勝手に休まれては他の従業員が困ったり迷惑するのですね。そういう風潮はきっと店全体の売上に影響し、経営的にはマイナスとなると思っています。ですから、根本部分にまず「人間」を育てることが大切である、と思っているのです。これは国全体であるとしても同じで、「勝手に休む」「出勤してこない」に類する、そういう人々が実際に社会の中に存在しており、そういう人々を何とか「勝手に休まず」「出勤してくる」ように考えて行かねばならないと思うのです。それが国民会議の取り組みであろうと思っています。本物のラーメン屋であれば別な人を雇えばそれで済むかもしれないですが、国全体の場合にはどうでしょうか?勝手に休んだり、出勤してこなくなったりするのは、単に「給料が安すぎるから」でしょうか?「人間」の問題ではなく、純粋に数理的というのか、経済学的、経営学的に解決できる、ということであれば、きっとその方法を実施することによって、このラーメン店では特に教育することがなくても「勝手に休んだり」「出勤しなくなったり」することがないでしょう。


いずれにしても、郵政民営化に当たっては、国民の中にもっと認識されて欲しいとは思いますが、中々思うようにはまいりません。「産みの苦しみ」と考えて、あと1ヶ月半頑張るしかないでしょう。