「日本21世紀ビジョン」の政府広告が土曜日の読売新聞朝刊に出ていたが、やはり「国民へのメッセージ」であったのだな、と思った(郵政民営化のまとめ編4)。今後について多くの国民に考えて欲しい、ということであると思うし、どういう生き方をしたいのか、どんな未来を作っていきたいのか、そういう視点が求められていると思う。その一つのモデルとして、「これがイヤだ」「もっとこんな風に」「こうしたい」といった意見表明や、国民世論に繋げていくべきものだと思う。たたき台のない形で意見を出し合うよりも、「何かの形」に沿った方が国民としても具体像が掴みやすいようにも思う。なので、「ビジョン」の適否は別として、それなりの意味があると思っている。
時期を同じくして、NHK番組の「日本のこれから」~人口減少社会が放送された。2夜連続で放送され、前回の「希望格差社会」に続いて、白熱した議論が行われた。このような番組は非常に良いと思ったし、国民への啓蒙という点でも良かったと思う(参考記事:新社会保障の重要因子1、年金議論の呪縛)。ただ、「大増税」への地ならしという穿った見方も出来なくはないですが(笑)。前回の番組(格差社会について―NHK番組を観て)の反省などもあったのか、「NHKも変わったんです」という司会進行のアナウンサーの言葉が面白かった。偉い識者達の意見ばかり聞いたりせずに、一般参加者に多く話させるというように気遣いをしたのだろうと思う。そういう意味でも中々良かったと思う。問題提起としても、多くの国民に「自分はどうしたいか」ということを認識させるのに役立ったと思う(宜しければ、「格差社会」シリーズも参考にお読み下されば幸いです)。
一般参加者達から出ていた意見に、「国のことを、自分のことと同じように考えられるかどうかだ」というようなニュアンスのものがあって、これは高齢者達が「自分はこうだけど、国全体では別だ」というような見方に対して、若年層の方から出されたのだった。なるほど、と感心した。国全体のシステムとして考えるべき、という意見が若年層から出たことに意外性を感じたのだが、それは若年層が自己中心的と思われがちなのに、実際にはそんなことはないからであった。これから先の人生が長い分だけ、切実な問題であるからなのかもしれませんが(ご高齢の方々には失礼な言い方ですが、すみません)。
出て来た問題としては、①子育てにかかる費用・時間、②女性の労働問題、③高齢者の中での年金(生活)格差、④現役世代と年金世代との所得(生活)格差、⑤高齢者の就業、⑥外国人労働者の問題、などであったと思う。支える現役世代の側には、「支える人数が減っていくのに、今後の更なる過重負担には耐えられない」という明確な意思表示があったと思う。特に、年金生活で豪華海外クルーズを楽しむ公務員共済の老夫婦(月に40万円の給付だそうだ。公務員共済が追加費用を大量に投入しているんだから、手厚いに決まってる)へのある種の「おまえらのせいで重い年金保険料払わされているんだろ」的非難が感じられた。そりゃそうだろう。若者たちが「少ない給料」から負担しているのに、一方では「趣味・娯楽」に大量の年金給付金を投入されるのだから。だから、前から言ってるでしょ。年金制度をきちんとしなさい、って。
①と②に関しては、色々ありそうで、特に女性の立場じゃないと分らないことも多いようなので、私にはこれといった良い解決策は思い浮かばない。女性の意見をたくさん聞いてみて、政策に反映させられるようなものを考えてもらった方がいいと思う。現在のわが子の場合でも専業主婦の妻に頼る部分が殆どであるので、私には大したことは言えない。
③についてだが、現状の年金給付水準を急に変えることも出来ない(例えば、給付額の大幅カットとか)ので、やはりインフレ・ターゲット政策を早急に達成してもらい、相対的給付水準の抑制を行うしかないと思うが。あと、今後数年に新規受給権者となる人々の当初水準を低く設定するべきである。その一方で、基礎年金のみでやっと生活している老人もいるので、そういう人々には資産状況に応じてきちんとした社会的扶助を行うべきで、医療費がごく僅かな貯蓄の取り崩しによってやっと自己負担を行っているというのも、非常にバランスが悪いのである。病気の人は「今困っている人」という社会的弱者の立場であるが、そういう人から「たくさん自己負担をしてもらう」という徴収システムになってしまう(資産や年金受給額の多い人は貰ってもかまわないですが)のも、バランスを考慮するべきであろう。今の年金・医療制度というのは、そういう負担・給付バランスが非常に悪くなっているのだ。介護関連も批判されていたが、「必要もないのに、車椅子や介護ベッドなどを持っている」とか「より重度に認定され不要な介護プランを受けている」というような意見も出されていた。
④についても③と似ているが、現役世代は「自分が払った分よりもずっと少なくなってしまうなら、貯金した方がまし」という考えが結構出ていて、そりゃそうだろう、と思った。こういう意見になると、国民年金未納問題のようなのが解決できない、という最大の理由になってくると思う。収入の少ない人達は、「もらえるかわからない将来のお金」よりも、「今現実にある目の前の必要なお金」の方が大切だと考えているのである。これを解決できない限り、未納問題は続くし、「自分に積み立てる」という考え方になら納得出来ると考えているのだ。だから、自分に積み立てる「確定拠出型個人年金」と一元化した税(消費税)方式の基礎的年金を組み合わせる方が、現役世代の希望にかなっていると思うのである(カテゴリー:社会保障問題をお読み下さい)。今まで多くの所得があり年金給付額の多い、一定以上の余裕のある高齢者達には、応分の負担を求めてもいいと思うし、海外旅行などにどんどん出かけるような人々を、貧乏な現役世代が支え続けるというのは心情的にもかなり無理があるということだ。
⑤についてだが、実際に働ける人達の中で就業を希望している人は多いと言えない会社もあったが、一方では65歳以上の人達は働きたいと考えている人々が7割以上いるという調査報告も出されていた。これも、地域社会での取り組みなどによると思う。まず、年金給付水準が引き下げられれば、必然的に働きたいという人が増える。それと、年金財源を消費税にすることでも、就業者は増える。地域では、高齢者が出来る、経験を活かせる仕事などを考えていけばいいと思うのだが。例えば、学校教育の現場に、退職者の半ボランティア(非常に安い賃金)的補助教員にでも雇えば、喜んで働きたいという人達はいるだろう。図書館職員にしても、交代制にしてボランティアでもいいという高齢者はたくさんいると思うよ。子供達に、色んな本の紹介や説明をしたいようなおじいさんがいない訳がないもの(笑)。政府系金融機関みたいに高給取りの連中をたくさん雇ったりせずとも、第一線を退いた経験者達が融資相談とか審査業務をこなすことだってできるはずでしょう(特別な専門性が必要な部門は別でしょうが)。例えば、銀行とか市役所などの審査部門に申し込みをして、通常事業融資金利から0.5%分だけ公的資金提供とすることで(相場が3%なら、事業者は2.5%で融資が受けられるので有利ですね)、産業振興、新規事業掘り起こし、不況対策などに役立つし、審査基準が厳密に設定されていれば政府系金融機関職員でなくとも審査は可能だし、銀行から資金を入れるから銀行は融資が拡大できるし、国は余計な組織や職員を抱える必要もなくなりますね。高齢者であれば、急病などもあったりして長く居座ることも少ないでしょうし(ゴメンナサイ、高齢の方)、それなりに労働力の流動性もあるでしょう。そういう仕組み、制度だけあれば、不必要な組織はいらないですね。
⑥は、これも以前の記事(右翼化する時代)に書いたようなことであったと思う。番組中の意見の多くは、今から頼る必要性は感じておらず、まず女性、若年層や高齢者の労働問題などの解決が先決であって、外国人労働者達の社会制度(教育や医療・・・等々)の整備が必要という趣旨であったと思う。現在は自治体独自で取り組んでいるものの、困っているという意見が出されていた(どこかの町長さんだったと思う)。まあ、これも当然の結果だと思う。
印象としては、番組参加者達の多くは「これ以上の社会保障負担には耐えられない、ゴメンだ」というものであり、それには「年金改革」をどうにかして欲しい、というものであった。特に高齢者の高額給付者達への不満が相当募っていて、現役世代の払う年金保険料が他の社会保険料に比べても、突出しているからである。番組中のアンケートにも同じような傾向が見られていた。現状の制度では余りにも「格差」が大きすぎるのと、負担と給付バランスが悪すぎるというのが問題だということだ。あとは、公的扶助としての「最低保障」を確実にやって欲しい、ということであったと思う。
経済財政諮問会議で再び「年金一元化」を取り上げる、ということを宣言するだけで、国会議員達の合同会議の進展が図れると思うぞ。奥田さんだって、「一元化して、税方式」を支持していたじゃないか。どうして、それを諮問会議の時に言わないんだ。ずるいぞ。経団連だけじゃなく、経済同友会も一元化と消費税方式に賛成しているじゃないか。何故、それを主張しないのか。
今の財政状況で四苦八苦して、基礎年金の国庫負担2分の1引き上げ財源を探すのに精一杯で、そんなんじゃ、本質的に解決できないって、何度も言っているでしょ。「年金制度」がオカシイ、ってなんで認められないかなー!改革するなら、昨年の失敗は水に流すから、早く取り掛かってくれ。
追記:6/27 13時頃
極東ブログでも番組のことが書かれておりました。でも、ドラマのこととか書いていて、私はドラマや前日の放送も観なかった。上に書いてるのが、まるで全部観たかのような印象を与えてしまったかも・・・すまぬ。
NHKドラマの時間帯には、脳の発達についての番組を観ていました。中々面白かったです。それに「言葉の獲得」が出ていて、ふーん、って(ちょっと嬉しく)思いました。「爬虫類脳」という表現も知りませんでした。「ジュラシック・コード」なども初めて聞いた言葉でした。
時期を同じくして、NHK番組の「日本のこれから」~人口減少社会が放送された。2夜連続で放送され、前回の「希望格差社会」に続いて、白熱した議論が行われた。このような番組は非常に良いと思ったし、国民への啓蒙という点でも良かったと思う(参考記事:新社会保障の重要因子1、年金議論の呪縛)。ただ、「大増税」への地ならしという穿った見方も出来なくはないですが(笑)。前回の番組(格差社会について―NHK番組を観て)の反省などもあったのか、「NHKも変わったんです」という司会進行のアナウンサーの言葉が面白かった。偉い識者達の意見ばかり聞いたりせずに、一般参加者に多く話させるというように気遣いをしたのだろうと思う。そういう意味でも中々良かったと思う。問題提起としても、多くの国民に「自分はどうしたいか」ということを認識させるのに役立ったと思う(宜しければ、「格差社会」シリーズも参考にお読み下されば幸いです)。
一般参加者達から出ていた意見に、「国のことを、自分のことと同じように考えられるかどうかだ」というようなニュアンスのものがあって、これは高齢者達が「自分はこうだけど、国全体では別だ」というような見方に対して、若年層の方から出されたのだった。なるほど、と感心した。国全体のシステムとして考えるべき、という意見が若年層から出たことに意外性を感じたのだが、それは若年層が自己中心的と思われがちなのに、実際にはそんなことはないからであった。これから先の人生が長い分だけ、切実な問題であるからなのかもしれませんが(ご高齢の方々には失礼な言い方ですが、すみません)。
出て来た問題としては、①子育てにかかる費用・時間、②女性の労働問題、③高齢者の中での年金(生活)格差、④現役世代と年金世代との所得(生活)格差、⑤高齢者の就業、⑥外国人労働者の問題、などであったと思う。支える現役世代の側には、「支える人数が減っていくのに、今後の更なる過重負担には耐えられない」という明確な意思表示があったと思う。特に、年金生活で豪華海外クルーズを楽しむ公務員共済の老夫婦(月に40万円の給付だそうだ。公務員共済が追加費用を大量に投入しているんだから、手厚いに決まってる)へのある種の「おまえらのせいで重い年金保険料払わされているんだろ」的非難が感じられた。そりゃそうだろう。若者たちが「少ない給料」から負担しているのに、一方では「趣味・娯楽」に大量の年金給付金を投入されるのだから。だから、前から言ってるでしょ。年金制度をきちんとしなさい、って。
①と②に関しては、色々ありそうで、特に女性の立場じゃないと分らないことも多いようなので、私にはこれといった良い解決策は思い浮かばない。女性の意見をたくさん聞いてみて、政策に反映させられるようなものを考えてもらった方がいいと思う。現在のわが子の場合でも専業主婦の妻に頼る部分が殆どであるので、私には大したことは言えない。
③についてだが、現状の年金給付水準を急に変えることも出来ない(例えば、給付額の大幅カットとか)ので、やはりインフレ・ターゲット政策を早急に達成してもらい、相対的給付水準の抑制を行うしかないと思うが。あと、今後数年に新規受給権者となる人々の当初水準を低く設定するべきである。その一方で、基礎年金のみでやっと生活している老人もいるので、そういう人々には資産状況に応じてきちんとした社会的扶助を行うべきで、医療費がごく僅かな貯蓄の取り崩しによってやっと自己負担を行っているというのも、非常にバランスが悪いのである。病気の人は「今困っている人」という社会的弱者の立場であるが、そういう人から「たくさん自己負担をしてもらう」という徴収システムになってしまう(資産や年金受給額の多い人は貰ってもかまわないですが)のも、バランスを考慮するべきであろう。今の年金・医療制度というのは、そういう負担・給付バランスが非常に悪くなっているのだ。介護関連も批判されていたが、「必要もないのに、車椅子や介護ベッドなどを持っている」とか「より重度に認定され不要な介護プランを受けている」というような意見も出されていた。
④についても③と似ているが、現役世代は「自分が払った分よりもずっと少なくなってしまうなら、貯金した方がまし」という考えが結構出ていて、そりゃそうだろう、と思った。こういう意見になると、国民年金未納問題のようなのが解決できない、という最大の理由になってくると思う。収入の少ない人達は、「もらえるかわからない将来のお金」よりも、「今現実にある目の前の必要なお金」の方が大切だと考えているのである。これを解決できない限り、未納問題は続くし、「自分に積み立てる」という考え方になら納得出来ると考えているのだ。だから、自分に積み立てる「確定拠出型個人年金」と一元化した税(消費税)方式の基礎的年金を組み合わせる方が、現役世代の希望にかなっていると思うのである(カテゴリー:社会保障問題をお読み下さい)。今まで多くの所得があり年金給付額の多い、一定以上の余裕のある高齢者達には、応分の負担を求めてもいいと思うし、海外旅行などにどんどん出かけるような人々を、貧乏な現役世代が支え続けるというのは心情的にもかなり無理があるということだ。
⑤についてだが、実際に働ける人達の中で就業を希望している人は多いと言えない会社もあったが、一方では65歳以上の人達は働きたいと考えている人々が7割以上いるという調査報告も出されていた。これも、地域社会での取り組みなどによると思う。まず、年金給付水準が引き下げられれば、必然的に働きたいという人が増える。それと、年金財源を消費税にすることでも、就業者は増える。地域では、高齢者が出来る、経験を活かせる仕事などを考えていけばいいと思うのだが。例えば、学校教育の現場に、退職者の半ボランティア(非常に安い賃金)的補助教員にでも雇えば、喜んで働きたいという人達はいるだろう。図書館職員にしても、交代制にしてボランティアでもいいという高齢者はたくさんいると思うよ。子供達に、色んな本の紹介や説明をしたいようなおじいさんがいない訳がないもの(笑)。政府系金融機関みたいに高給取りの連中をたくさん雇ったりせずとも、第一線を退いた経験者達が融資相談とか審査業務をこなすことだってできるはずでしょう(特別な専門性が必要な部門は別でしょうが)。例えば、銀行とか市役所などの審査部門に申し込みをして、通常事業融資金利から0.5%分だけ公的資金提供とすることで(相場が3%なら、事業者は2.5%で融資が受けられるので有利ですね)、産業振興、新規事業掘り起こし、不況対策などに役立つし、審査基準が厳密に設定されていれば政府系金融機関職員でなくとも審査は可能だし、銀行から資金を入れるから銀行は融資が拡大できるし、国は余計な組織や職員を抱える必要もなくなりますね。高齢者であれば、急病などもあったりして長く居座ることも少ないでしょうし(ゴメンナサイ、高齢の方)、それなりに労働力の流動性もあるでしょう。そういう仕組み、制度だけあれば、不必要な組織はいらないですね。
⑥は、これも以前の記事(右翼化する時代)に書いたようなことであったと思う。番組中の意見の多くは、今から頼る必要性は感じておらず、まず女性、若年層や高齢者の労働問題などの解決が先決であって、外国人労働者達の社会制度(教育や医療・・・等々)の整備が必要という趣旨であったと思う。現在は自治体独自で取り組んでいるものの、困っているという意見が出されていた(どこかの町長さんだったと思う)。まあ、これも当然の結果だと思う。
印象としては、番組参加者達の多くは「これ以上の社会保障負担には耐えられない、ゴメンだ」というものであり、それには「年金改革」をどうにかして欲しい、というものであった。特に高齢者の高額給付者達への不満が相当募っていて、現役世代の払う年金保険料が他の社会保険料に比べても、突出しているからである。番組中のアンケートにも同じような傾向が見られていた。現状の制度では余りにも「格差」が大きすぎるのと、負担と給付バランスが悪すぎるというのが問題だということだ。あとは、公的扶助としての「最低保障」を確実にやって欲しい、ということであったと思う。
経済財政諮問会議で再び「年金一元化」を取り上げる、ということを宣言するだけで、国会議員達の合同会議の進展が図れると思うぞ。奥田さんだって、「一元化して、税方式」を支持していたじゃないか。どうして、それを諮問会議の時に言わないんだ。ずるいぞ。経団連だけじゃなく、経済同友会も一元化と消費税方式に賛成しているじゃないか。何故、それを主張しないのか。
今の財政状況で四苦八苦して、基礎年金の国庫負担2分の1引き上げ財源を探すのに精一杯で、そんなんじゃ、本質的に解決できないって、何度も言っているでしょ。「年金制度」がオカシイ、ってなんで認められないかなー!改革するなら、昨年の失敗は水に流すから、早く取り掛かってくれ。
追記:6/27 13時頃
極東ブログでも番組のことが書かれておりました。でも、ドラマのこととか書いていて、私はドラマや前日の放送も観なかった。上に書いてるのが、まるで全部観たかのような印象を与えてしまったかも・・・すまぬ。
NHKドラマの時間帯には、脳の発達についての番組を観ていました。中々面白かったです。それに「言葉の獲得」が出ていて、ふーん、って(ちょっと嬉しく)思いました。「爬虫類脳」という表現も知りませんでした。「ジュラシック・コード」なども初めて聞いた言葉でした。