まず郵貯はどのような存在か、一庶民の立場から考えてみたいと思います。正確な預貯金残高推移とか、貯蓄率推移がちょっと分りませんけれども、貯蓄率は過去15年位は減少トレンドであったと思います。
バブル頃にえらく高い金利の金融商品などがありました。代表的なのは割引金融債や利付金融債などですね。長いものですと6年ものもあったと記憶しております。また頂いたコメントでは、定額貯金は半年複利の最長10年となっているようですので、平均利回りで言えば、最も有利であったのは、郵貯ということが言えるかと思います。90年とか91年あたりにこうした高額商品へ向けられた個人資産は、どうなったのでしょうか。
まず、金融債などの債券はそのまま96~97年ころの満期まで保有されたであろうと思います。この時点での金利動向を考慮するなら、有利な投資先としてはやはり郵貯であったのではないかな、と思います。最長10年ですし、当時は金融危機があって、銀行に対する信頼性は地に落ちていたからであろうと思います。これより前に満期となっていた資金については、例えば89年から5~6年で満期となっていた資金を考えると、95年頃に「Windows95」ブームなどもあって景気は一時的に持ち直していたように思いますが、この頃には株式や投資信託等にも多少資金が向かったかもしれません。しかし、その後景気動向は後退していき、金利は低下傾向でありましたので、資金が銀行定期等に向かった量よりも、やはり貯金に向かった資金の方が多かったのではないのかな、と思います。
その後、遂には短期金利はゼロとなって、短期の運用商品は有利と言えるものが消えていきました。それまで成績優秀であった短期公社債投信などの元本割れなども起こってしまうようになっていました。ですので、①個人がかなり保有していた金融債の資金は満期後、銀行に向かう量よりも郵貯に向かった量の方が多かったのではないか、②その後に、その金利を上回る時期がやってこなかったら、その資金は動かされずに温存されてきたのではないか、という全くの推測をしました。95年頃から増え始め97年あたりに満期ピークを迎えたものの、銀行に資金はそれ程向かわなかったのではないかな?、と。その後にも、当時の定額貯金金利を上回る有利な運用先は、それほどなかったのではないかな?ならば、05~07年頃まで、当時の金利の定額貯金はある程度残されているのではなかろうか?
次に、バブル期に定額貯金に向かった資金は、その後10年据え置かれている公算が高く、00年前後にピークを迎えたであろう。当時ITバブルに沸いていたので、相当株式や投信に資金は向かったのではないだろうか。某Nムラ証券の「1兆円スーパーメガファンド」規模の資金流入があった例もあるので(名前に”戦略”って入ってるけど全然戦略的なファンドではなく、その後半分くらいまで下がってしまったかも。そりゃそうだろうな。IT株に相当つぎ込まれただろうからね。資金入れた老婦人とかはきっと泣いているだろう)、幾つかの投資先へ向かっただろうが、依然銀行へ流入するよりも定額貯金金利の方が魅力的であったろうと思う。
この時期、「郵貯の裏技」などが流行っていて、所謂「一口千円で、千口」方式の技だね。でも全銀協あたりから「ズルイよ」と苦情が入ったのか、禁止になっちゃったはずだと思うけど。短期金利が全然ない状態なのに、こんな運用されてしまっては銀行さんはたまったものではなかったろう。禁止後に出た裏技はATMのみに通用する似たような手口で、確か利息が1円未満の場合に計算上「1円」の利息が付けられることになっている(四捨五入でなく切り上げだったと思うけど・・・)ことを利用して、一口千円とかで入力すると最終利回りが1%を超えるとかいう方法だったと思う。それが今も出来るのかどうか知らないけれど。なんか、そういう方法だったと思うよ。要するに、低金利が続く事で普通の預貯金への魅力は薄れたが、その中で比較すれば個人資金の多くが向かった先はやっぱり「定額貯金」ということになってしまいますかね。私は郵便局に殆どお金を預けていません(生命保険料引き落としくらい)。なので、裏技運用はしたこともないですが(ちまちましてて面倒くさいですし、たとえマイナスであっても他の運用方針=株式運用でしたので、笑)、一般庶民には割りと人気があったのではないかな、と思います。
こうしたバブル期に仕込まれていた個人資金は、満期後どのような投資先へ向かったかは不明ですが、恐らく何十兆円規模で銀行へ流入することはなく、郵貯へと流れていったのではないでしょうか?というのが、私の推測ですね。民間部門全体では貯蓄超過であり、家計の貯蓄減少を企業貯蓄増加でカバーした。内閣府の国民経済確報に出ている、国民可処分所得、民間最終消費支出、貯蓄額及び政府最終支出をざっと並べて見よう。データは91年と、その後に持ち直しが見られた(可処分所得のピークでもある)97年、直近の02、03年です。
表がうまく入られないので、ゴメンナサイ。見づらいですがお許しを。
左から順に、年、国民可処分所得、民間最終消費支出、貯蓄額、政府最終支出です(単位兆円)。
91 403-251-91-27
97 428-287-63-34
02 399-284-27-38
03 405-283-33-38.5
この傾向を見ると、バブル期頃に91兆円の貯蓄があったのが、ここ数年は3分の1程度に落ち込んでいる。低金利の影響もあるが、可処分所得が97年にピークをつけたたものの、00年以降25~30兆円規模で減少しており、これは金融危機が高まった以降の所謂「リストラ地獄」のような時期と一致しており、きっと失業率も上昇しているであろう。減少した可処分所得は給与減額ばかりではなく、派遣・パート・フリーター等の増加などで企業労働力の入れ替えが行われたことによるのではないだろうか?ここ3年は大きな変動がないので、可処分所得は増加しているとも言えないだろう。97年以降所得は減少したのに消費支出は急には減額できず、これもまた所謂「サラ金地獄」が問題となっていた時期と重なるように思う。消費者金融が業績を伸ばしたり急成長を遂げるのと、商工系のローンなどの問題も目立った時期であった(自殺、理不尽な取立てとか・・・)。調達金利は下がる一方なのであり、こりゃ儲かる筈ですね。今も、「貯蓄せずとも消費に回す」ということでどうにか個人消費が支えられているというのも、危なっかしいね。財政赤字増大に対して、貯蓄率低下はファイナンスが一層厳しくなるかもしれないという恐れを財政当局が感じ取っている、ということかな?依然として民間部門の貯蓄超過ではあるが、貯蓄率低下が財政赤字の悪影響を相殺するほどではなくなっており、今後の国債発行増額を考えると、国内消化は厳しい、と。そうかもね。以前の記事に書いたように、国際資本市場で発行した方が、マクロ経済的には良さそうなんじゃ?
預貯金金利は低下するだけで、受取利息収入は91年の57兆円から01年の23兆円へと約34兆円も低下した。一般家庭では貯蓄を減らして(取り崩したりも、かな?)生活していたが、現時点でも所得の改善は進んではいない、と。ただ、デフレによって、購買価値(購買力?かな、正確になんというのか判りませんが、例えばハンバーガーが1個130円だったのが、全く同じものなのに100円になっているというような意味です)としては数字ほどには減少していないのかも。かつて百個買える給料であったなら、今も百個くらい買えるのかもしれないですが。あと、政府最終支出だけは着実に増加しており、91年当時と比べても今なら1.5倍程度になっているだろう(ざっと41兆円程度と考えて)。民間貯蓄に回っていたお金が、政府支出と家計支出の増加となってしまったということかな?02年の最悪期は脱したというところでしょうか。所謂「勝ち組」だけが可処分所得の増加となったのかも(00年にはITバブルの影響だと思うが、可処分所得が417兆円と今よりも高い水準であった)。
預貯金全体で見れば、貯蓄率は確実に低下してきて、減ったなりに銀行と郵貯で奪い合ってみたが、やっぱり貯金に流れていってしまったんではないのかな?、と。だって銀行金利よりも、ATM 時間外手数料の方がはるかに高いんだもん。郵貯は97年以前に発行された、今にしてみればえらく高い利息の付いてる国債などをガッポリ持っているから、やっぱりウハウハ、ということか。預託金の利息もね凄く高いですよ、本当に。年金資金だって2年くらい前でも平均が2.85%くらいですから、そりゃ儲かるはずですね。今年の郵貯の平均利息は調べていませんが、2%程度でも十分おいしいですね。
民間金融機関など(証券・銀行などですね)で、バブル期の満期予定と見られていた定額貯金の争奪戦が、真実味を持って語られていたのだが、実際どうであったのかは知りませんけれども。果たして資金流入があったのでしょうか?株式市場へはあんまり入ってこなかったでしょ?だってITバブル崩壊後には、日経平均が8千円割れとなって、軒並みヤラレていただろうし、心理的にはかなり悪かったと思うよ。あの時に、大量資金を投入した人達は、今頃、ウハウハですな。銀行の合計預金残高は減ってますか?どうなんでしょうか。ああ、ネット専業銀行などの有利な金利の銀行には、少し集まったかもしれないですね。それでも、資金量は10兆円とかあるのかな?面倒なので調べないですが、そんなにたくさん集まっていないと思うよ。だって基本的にお金持っているのは高齢者であり、70歳以上の金融資産保有額は中央値で1300万円ですもんね。こういう高齢者の方々の多くは、ネット専業銀行に金を入れそうにないね。これからは増えるのかもしれないけれど。やっぱり、郵便局に持っていくだろう?どうなんでしょ。
バブル頃にえらく高い金利の金融商品などがありました。代表的なのは割引金融債や利付金融債などですね。長いものですと6年ものもあったと記憶しております。また頂いたコメントでは、定額貯金は半年複利の最長10年となっているようですので、平均利回りで言えば、最も有利であったのは、郵貯ということが言えるかと思います。90年とか91年あたりにこうした高額商品へ向けられた個人資産は、どうなったのでしょうか。
まず、金融債などの債券はそのまま96~97年ころの満期まで保有されたであろうと思います。この時点での金利動向を考慮するなら、有利な投資先としてはやはり郵貯であったのではないかな、と思います。最長10年ですし、当時は金融危機があって、銀行に対する信頼性は地に落ちていたからであろうと思います。これより前に満期となっていた資金については、例えば89年から5~6年で満期となっていた資金を考えると、95年頃に「Windows95」ブームなどもあって景気は一時的に持ち直していたように思いますが、この頃には株式や投資信託等にも多少資金が向かったかもしれません。しかし、その後景気動向は後退していき、金利は低下傾向でありましたので、資金が銀行定期等に向かった量よりも、やはり貯金に向かった資金の方が多かったのではないのかな、と思います。
その後、遂には短期金利はゼロとなって、短期の運用商品は有利と言えるものが消えていきました。それまで成績優秀であった短期公社債投信などの元本割れなども起こってしまうようになっていました。ですので、①個人がかなり保有していた金融債の資金は満期後、銀行に向かう量よりも郵貯に向かった量の方が多かったのではないか、②その後に、その金利を上回る時期がやってこなかったら、その資金は動かされずに温存されてきたのではないか、という全くの推測をしました。95年頃から増え始め97年あたりに満期ピークを迎えたものの、銀行に資金はそれ程向かわなかったのではないかな?、と。その後にも、当時の定額貯金金利を上回る有利な運用先は、それほどなかったのではないかな?ならば、05~07年頃まで、当時の金利の定額貯金はある程度残されているのではなかろうか?
次に、バブル期に定額貯金に向かった資金は、その後10年据え置かれている公算が高く、00年前後にピークを迎えたであろう。当時ITバブルに沸いていたので、相当株式や投信に資金は向かったのではないだろうか。某Nムラ証券の「1兆円スーパーメガファンド」規模の資金流入があった例もあるので(名前に”戦略”って入ってるけど全然戦略的なファンドではなく、その後半分くらいまで下がってしまったかも。そりゃそうだろうな。IT株に相当つぎ込まれただろうからね。資金入れた老婦人とかはきっと泣いているだろう)、幾つかの投資先へ向かっただろうが、依然銀行へ流入するよりも定額貯金金利の方が魅力的であったろうと思う。
この時期、「郵貯の裏技」などが流行っていて、所謂「一口千円で、千口」方式の技だね。でも全銀協あたりから「ズルイよ」と苦情が入ったのか、禁止になっちゃったはずだと思うけど。短期金利が全然ない状態なのに、こんな運用されてしまっては銀行さんはたまったものではなかったろう。禁止後に出た裏技はATMのみに通用する似たような手口で、確か利息が1円未満の場合に計算上「1円」の利息が付けられることになっている(四捨五入でなく切り上げだったと思うけど・・・)ことを利用して、一口千円とかで入力すると最終利回りが1%を超えるとかいう方法だったと思う。それが今も出来るのかどうか知らないけれど。なんか、そういう方法だったと思うよ。要するに、低金利が続く事で普通の預貯金への魅力は薄れたが、その中で比較すれば個人資金の多くが向かった先はやっぱり「定額貯金」ということになってしまいますかね。私は郵便局に殆どお金を預けていません(生命保険料引き落としくらい)。なので、裏技運用はしたこともないですが(ちまちましてて面倒くさいですし、たとえマイナスであっても他の運用方針=株式運用でしたので、笑)、一般庶民には割りと人気があったのではないかな、と思います。
こうしたバブル期に仕込まれていた個人資金は、満期後どのような投資先へ向かったかは不明ですが、恐らく何十兆円規模で銀行へ流入することはなく、郵貯へと流れていったのではないでしょうか?というのが、私の推測ですね。民間部門全体では貯蓄超過であり、家計の貯蓄減少を企業貯蓄増加でカバーした。内閣府の国民経済確報に出ている、国民可処分所得、民間最終消費支出、貯蓄額及び政府最終支出をざっと並べて見よう。データは91年と、その後に持ち直しが見られた(可処分所得のピークでもある)97年、直近の02、03年です。
表がうまく入られないので、ゴメンナサイ。見づらいですがお許しを。
左から順に、年、国民可処分所得、民間最終消費支出、貯蓄額、政府最終支出です(単位兆円)。
91 403-251-91-27
97 428-287-63-34
02 399-284-27-38
03 405-283-33-38.5
この傾向を見ると、バブル期頃に91兆円の貯蓄があったのが、ここ数年は3分の1程度に落ち込んでいる。低金利の影響もあるが、可処分所得が97年にピークをつけたたものの、00年以降25~30兆円規模で減少しており、これは金融危機が高まった以降の所謂「リストラ地獄」のような時期と一致しており、きっと失業率も上昇しているであろう。減少した可処分所得は給与減額ばかりではなく、派遣・パート・フリーター等の増加などで企業労働力の入れ替えが行われたことによるのではないだろうか?ここ3年は大きな変動がないので、可処分所得は増加しているとも言えないだろう。97年以降所得は減少したのに消費支出は急には減額できず、これもまた所謂「サラ金地獄」が問題となっていた時期と重なるように思う。消費者金融が業績を伸ばしたり急成長を遂げるのと、商工系のローンなどの問題も目立った時期であった(自殺、理不尽な取立てとか・・・)。調達金利は下がる一方なのであり、こりゃ儲かる筈ですね。今も、「貯蓄せずとも消費に回す」ということでどうにか個人消費が支えられているというのも、危なっかしいね。財政赤字増大に対して、貯蓄率低下はファイナンスが一層厳しくなるかもしれないという恐れを財政当局が感じ取っている、ということかな?依然として民間部門の貯蓄超過ではあるが、貯蓄率低下が財政赤字の悪影響を相殺するほどではなくなっており、今後の国債発行増額を考えると、国内消化は厳しい、と。そうかもね。以前の記事に書いたように、国際資本市場で発行した方が、マクロ経済的には良さそうなんじゃ?
預貯金金利は低下するだけで、受取利息収入は91年の57兆円から01年の23兆円へと約34兆円も低下した。一般家庭では貯蓄を減らして(取り崩したりも、かな?)生活していたが、現時点でも所得の改善は進んではいない、と。ただ、デフレによって、購買価値(購買力?かな、正確になんというのか判りませんが、例えばハンバーガーが1個130円だったのが、全く同じものなのに100円になっているというような意味です)としては数字ほどには減少していないのかも。かつて百個買える給料であったなら、今も百個くらい買えるのかもしれないですが。あと、政府最終支出だけは着実に増加しており、91年当時と比べても今なら1.5倍程度になっているだろう(ざっと41兆円程度と考えて)。民間貯蓄に回っていたお金が、政府支出と家計支出の増加となってしまったということかな?02年の最悪期は脱したというところでしょうか。所謂「勝ち組」だけが可処分所得の増加となったのかも(00年にはITバブルの影響だと思うが、可処分所得が417兆円と今よりも高い水準であった)。
預貯金全体で見れば、貯蓄率は確実に低下してきて、減ったなりに銀行と郵貯で奪い合ってみたが、やっぱり貯金に流れていってしまったんではないのかな?、と。だって銀行金利よりも、ATM 時間外手数料の方がはるかに高いんだもん。郵貯は97年以前に発行された、今にしてみればえらく高い利息の付いてる国債などをガッポリ持っているから、やっぱりウハウハ、ということか。預託金の利息もね凄く高いですよ、本当に。年金資金だって2年くらい前でも平均が2.85%くらいですから、そりゃ儲かるはずですね。今年の郵貯の平均利息は調べていませんが、2%程度でも十分おいしいですね。
民間金融機関など(証券・銀行などですね)で、バブル期の満期予定と見られていた定額貯金の争奪戦が、真実味を持って語られていたのだが、実際どうであったのかは知りませんけれども。果たして資金流入があったのでしょうか?株式市場へはあんまり入ってこなかったでしょ?だってITバブル崩壊後には、日経平均が8千円割れとなって、軒並みヤラレていただろうし、心理的にはかなり悪かったと思うよ。あの時に、大量資金を投入した人達は、今頃、ウハウハですな。銀行の合計預金残高は減ってますか?どうなんでしょうか。ああ、ネット専業銀行などの有利な金利の銀行には、少し集まったかもしれないですね。それでも、資金量は10兆円とかあるのかな?面倒なので調べないですが、そんなにたくさん集まっていないと思うよ。だって基本的にお金持っているのは高齢者であり、70歳以上の金融資産保有額は中央値で1300万円ですもんね。こういう高齢者の方々の多くは、ネット専業銀行に金を入れそうにないね。これからは増えるのかもしれないけれど。やっぱり、郵便局に持っていくだろう?どうなんでしょ。