いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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池に投げ込んだ石について

2006年06月03日 19時14分45秒 | 俺のそれ
私の行動が、正しいなんて思いません。それは否定しません。しかし、敢えて池に石を投げ込みました。これも、意図があってのことです。以前の時にもそうですけどね。その非難は甘受したいと思います、当たり前ですけど。

ご迷惑をかけてしまったことは事実ですし、それについてはお詫びしたいと思います。



自分の意志や立場の表明なのであれば、何を言おうと構わないと思います。ふざけたり、嘲ったりすることだって、あるでしょう。まあ、個人の自由ですよね。学者たちにしても、他の立場の理論には明瞭に批判をしていることもしばしばですし。それは別にいいと思いますが、単に「~学を知らないで議論なんかするな」ということを、他人に求めることがいいとは思わない、というのが私の考え方です。経済学の理論を用いて考える事は、あくまで手段の一つを知っているというだけだろう、ということです。何かの絶対的基準を示したり、他人の価値判断に踏み込むことなんかできないのではないかと思えます。そういうことを認識した上で、経済学の理論に沿って主張するのは、「一つの意見・考え方」の提示として有用であると思います。


私は貸金業の市場構造について、「寡占市場」と誤ってコメント欄に書いてしまった(この記事のコメント欄の一番最後)のですが、47thさんの記事を読んで初めて「独占的競争」という言葉を知りました。それまでの意見の多くは、貸金業の市場構造については、「(完全)競争市場」という捉え方だったのでは、と思います。件の早稲田大学消費者金融サービス研究所のペーパーでも、そういう前提でシミュレーションが行われておりますが、それには疑問を感じました。

しかし、「経済学をよく知っている」と自認しておられるかどうかは不明ですけれども、経済学に詳しいと思われるような人々は、「競争市場」として通常の需給関係(何と表現するのかは不明ですけど、とりあえず)であるという前提と、均衡金利水準の存在範囲が判っているものとして、金利規制に対する反対意見が述べられていたと思います(違ってるならゴメンナサイ)。「マークアップ」についても同様です。その可能性については誰も述べておらず、47thさんの記事で言及があったのを見て、初めて知ることができました。


つまり、ある人たちにとっては、そういった解釈や可能性については、もっと前から答えが判っており、それ故に市場構造について疑問を感じたりしないし、件のペーパーのシミュレーションも妥当であると判断しているのではないかと思えます。ならば、独占的競争状態については反対の立場をとるはずではないかと推測していますが、今の所そういう反対意見はお目にかかっていません。


特に一部の方々にはご迷惑をかけてしまって申し訳なかったのですが、石を投げ込むことによって、結果的には、いくつかのことが判りました。


学術的な信頼性、意見の質や理解レベル、要求水準、専門性と思考過程、みたいな感じで、色々と考えさせられました。ありがとうございました。



「複雑な生態系」~47thさんへのお答え

2006年06月03日 18時31分37秒 | 俺のそれ
47thさんからコメントを頂戴しておりましたが、お返事が大変遅くなりました。お詫び申し上げます(下の記事へのコメントです)。

貸金業の上限金利問題~その13
数字の大きさ


今までにも何度か申し上げておりますが、決して経済学の理論で考えることに文句を言いたいのではありません。経済学そのものに違和感を持つ訳でもないのです。ただ、ある種の絶対的モノサシという感じで、経済学理論や正当性を主張する人々が一部に存在するということには、違和感があります。


頂いたコメントの中から、一部引用させて頂きます。

『こうした複雑な生態系が成立しているところに、「上限金利」という単一のバーを課してしまうと、非常に副作用が大きいんじゃないかというところで、手段としての「上限金利」規制には反対というところに戻ってくるんですよね。

ちょっと上限金利規制という手法の問題点ばかり強調し過ぎてきましたが、私の基本的な立場は、色々な症状が出ている病人に対しては、それぞれの原因をきちんと観察した上で、その原因に見合ったきめ細かい治療計画を立てるべきというものですので、上限金利規制を否定する代わりに、きめ細かい治療計画の方向性や見つけ方(のヒント)ぐらいは提示したいと思っていますので。』


47thさんからこのように仰って頂けたことは、本当に感謝しております。素人の世迷言にお付き合いさせてしまって、申し訳ないです。でも、私なんぞが何かを言っても何の意味もないでしょうが(笑)、信頼のある人であれば多くの人はその論を受け入れるのではないかと思います。なので、47thさんが詳しく論じて下さっておられるので、大変有り難いです。


上限金利規制が妥当な判断かどうかについては、実際のところ私にはよく判りません
貸金業の上限金利問題~その12)。個人的には上限金利引下げを支持してきたのですけれども。元々の個人的な嫌悪感というのがあるのかもしれません。多くの人々を悲しませるような商売には、必ずどこかに間違いがあるはずだ、という思い込みがあるからだろうと思っています(笑)。


確かに政策パッケージということで考えるならば、あまり推奨できない可能性もありますね。では、市場ルールに任せておいてきちんとなるかと言えば、今までには実際ならなかった訳で、その為に「規制をどうするか」という所にまできているということも考えるべきではないかと思えます。有効な方法が見つかって、それによって相当程度の効果が期待できるのであれば、「絶対に上限金利を引下げろ」とまでは言いませんけれども、最終的な判断は懇談会の議論に委ねてみようと、とりあえずは思っています。


また、貸金業界が「複雑な生態系」であるからこそ、単一の規制は慎重にするべきだ、というのは、まことにその通りだと思いました。しかし、「複雑な細菌叢」を構成する細菌群の中に、「害毒」を撒き散らす悪い菌種が増えてしまって病気が悪化してしまうなら、たとえ全くの無害か善玉と思われる細菌が一緒に生息していても、「抗生物質」で一気に叩くしかない、という場合もあるのではないかと思えます。「抗生物質」を使えば「いい細菌」も一緒に死んでしまうことが判っていても、あるいは交代現象が起こりえると判っていても、「使わざるを得ない」という場合は存在します。

今の状況がそこまで深刻な状況なのかどうかは、色々と議論のあるところでしょうけれども。その判断は誰がどうやって行うか、ということは難しい面があるかと思います。たとえば「死亡率1%」ということへの評価は、「多い」と判断する人と、逆に「少ない」と判断する人がいるので、どこの水準で線引きを行うのか、簡単には答えが出せず、検討が必要かもしれないですね。


貸金業界にしても、大手の新規貸付は20代、30代で約3分の2を占めますから(特に20代は半分近くです)、この傾向が継続していけばいずれ問題が発生することになるでしょう。少子化によって、若年人口が減少していくためです。今までは新規貸付の拡大によって貸倒損失をカバーしてきましたが、そのビジネスモデルも限界に近づくでしょう。貸倒率が経年的に上昇してきており、他方で新規貸出が頭打ちになれば、貸倒損失の拡大はモロに営業利益減少につながります。更に大手貸金業の信用供与額が段々と減少すれば、今後の「調達金利上昇の可能性+貸倒率上昇傾向」で、苦しむことになるのではないかと思っています。


実は当初から、あまり懇談会の資料などは見てなかったのですが(量的に膨大で、自分で資料を全部見ていくのは大変なので・・・)、一応いくつか見ていきますと、議論の中で、超過需要の話も外国の広告規制の例なども出ていて、案外と論点は広くカバーされているような印象でした。個人の印象ですから、当てにはならないのですけど。特に私の場合には(笑)。

闇金が増加したワケ(追加あり)の一番下に資料が入れてあります)


今後、47thさんの記事で「政策パッケージ」としてのご提案を、コッソリ待ちたいと思っています。凄く期待しています。余計なことを書くと、かえって負担に感じられても申し訳ないのですが。スミマセン。無理のない範囲でよろしいので・・・って、借金のCMみたいになってしまいましたね。