この前からずーっと気になってて、どんなタイトルだったか思い出せなかったのですけど、本を必死で探したら出てきた(笑)。探してる時には中々見つけられず、ふと別な所を見てたりすると案外と出てくるんですよね。
福井総裁はバーゼルに一時国外退避したようですけど(笑)、それも思い出す重要な材料だったんですよね。
『無法投機』は、ポール・アードマン著(森英明=訳)の原題が『THE SET-UP』という本です(平成11年4月1日発行)。新潮文庫なのに、933円もするという高価な文庫本でした。帯には「世の中には、ここまで悪いヤツがいる!」というコピーが踊っています(笑)。
ストーリーは、簡単に言いますと、前FRB議長チャールズ・ブラックがBIS総裁会議出席の為、バーゼルを訪れた(今の福井総裁と全く同じですね)ところ逮捕されるというものです。容疑は「インサイダー取引」です(笑)。不正蓄財が明らかになり、しかも、スイスの隠し口座に大金が発見されるのですね。不正を働く方法というのが、色々と書かれているわけです。ブラックはまさしく「はめられた」のです。悪いヤツは、BIS総裁だったりするんですけどね。ネタバレですけど、物語の途中で犯人はすぐに判明するから、いいんですよ。
本の中身は、特別に「優れた」作品とも言えないかもしれませんが、金融事情などが少し判って面白い。福井総裁のような疑惑が現実に持ち上がるなんて、アードマン自身も思いもよらなかったことでしょう。この作者の経歴には驚かされます。文庫の著者紹介と訳者あとがきによれば、次のような経歴であったそうです。
カナダ生まれでアメリカの大学卒業後、バーゼル大学でドクター取得、その後スイスのサリク銀行で働く。サリク銀行は業績が良かった為、ユナイテッド・カリフォルニア銀行(UCB)が買収することとなり、37歳でスイスUCBの初代頭取に就く。ところが、そこでの失敗が大きかったようだ。ウォール街と銀相場で巨額損失を蒙り、おまけに商品取引主任クメリが行ったココア投機によって5000万ドルの損失を出したという。スイスの銀行の出した損失では最大級ということで、銀行は破産し、その責任を問われて投獄されることになった(具体的な嫌疑で裁判が開かれた、ということはなかったらしい)。で、獄中で書いた本(『十億ドルの賭け』)が米国の探偵作家クラブ最優秀新人賞受賞作となり、作家デビューを果たした。
このような数奇な運命を辿っており、人生何が起こるか判らないものなのですね(笑)。一国の中央銀行総裁のインサイダー取引は、「ネタ」としては結構古い、ということなんでしょうね。
ところで、福井総裁の48時間以内の「辞任」観測という、どこから出たのかわからんような「ネタ」に反応して、結構円安となったみたい。もう、何でもありですか?(笑)このような状況は、「福井総裁ネタ」そのものが市場に予断を与える最大要因になってしまっていて、これで「中立的な金融政策云々」とか言うのも、オカシイよね、って気がする。経済情勢判断がどうだとか、国際的環境がどうだとか、そういうモロモロの要因の市場への影響度よりも、「福井総裁が”辞めない”と、また言った」「いや、”辞めるべきだ論”の方が有識者・メディア・世論では優勢だ」「もしかしたら、電撃辞任があるかもしれん」といった、ワケのわからん不確実性(?)を増大させ、混乱に陥れていることは間違いないでしょうね。このような「福井総裁ネタ」というのは、本来「日本経済の動向」ということとは無関係なはずであるにも関わらず、「福井総裁の存在」自体が、福井総裁の得意な説明風に言えば「ボラティリティを高める要因」そのものになってしまっているんですよね。
ほとぼりが冷めるまで、しばらくは市場が混乱したり、乱高下するのは避けられず、福井総裁の考えとしては『市場の連中は「一体どうなってるの?」と不安ながらも真っ暗闇を突き進めばよし』ってな訳で、残念ながらハズレた人は速攻「逝ってよし」ということでしょうね(笑)。総裁の給料一部返上とか、利益やら元本やらを寄附、どころの話ではないんですよね・・・・きっと。
コメントで頂いた情報については、別な記事で検討したいと思います。
福井総裁はバーゼルに一時国外退避したようですけど(笑)、それも思い出す重要な材料だったんですよね。
『無法投機』は、ポール・アードマン著(森英明=訳)の原題が『THE SET-UP』という本です(平成11年4月1日発行)。新潮文庫なのに、933円もするという高価な文庫本でした。帯には「世の中には、ここまで悪いヤツがいる!」というコピーが踊っています(笑)。
ストーリーは、簡単に言いますと、前FRB議長チャールズ・ブラックがBIS総裁会議出席の為、バーゼルを訪れた(今の福井総裁と全く同じですね)ところ逮捕されるというものです。容疑は「インサイダー取引」です(笑)。不正蓄財が明らかになり、しかも、スイスの隠し口座に大金が発見されるのですね。不正を働く方法というのが、色々と書かれているわけです。ブラックはまさしく「はめられた」のです。悪いヤツは、BIS総裁だったりするんですけどね。ネタバレですけど、物語の途中で犯人はすぐに判明するから、いいんですよ。
本の中身は、特別に「優れた」作品とも言えないかもしれませんが、金融事情などが少し判って面白い。福井総裁のような疑惑が現実に持ち上がるなんて、アードマン自身も思いもよらなかったことでしょう。この作者の経歴には驚かされます。文庫の著者紹介と訳者あとがきによれば、次のような経歴であったそうです。
カナダ生まれでアメリカの大学卒業後、バーゼル大学でドクター取得、その後スイスのサリク銀行で働く。サリク銀行は業績が良かった為、ユナイテッド・カリフォルニア銀行(UCB)が買収することとなり、37歳でスイスUCBの初代頭取に就く。ところが、そこでの失敗が大きかったようだ。ウォール街と銀相場で巨額損失を蒙り、おまけに商品取引主任クメリが行ったココア投機によって5000万ドルの損失を出したという。スイスの銀行の出した損失では最大級ということで、銀行は破産し、その責任を問われて投獄されることになった(具体的な嫌疑で裁判が開かれた、ということはなかったらしい)。で、獄中で書いた本(『十億ドルの賭け』)が米国の探偵作家クラブ最優秀新人賞受賞作となり、作家デビューを果たした。
このような数奇な運命を辿っており、人生何が起こるか判らないものなのですね(笑)。一国の中央銀行総裁のインサイダー取引は、「ネタ」としては結構古い、ということなんでしょうね。
ところで、福井総裁の48時間以内の「辞任」観測という、どこから出たのかわからんような「ネタ」に反応して、結構円安となったみたい。もう、何でもありですか?(笑)このような状況は、「福井総裁ネタ」そのものが市場に予断を与える最大要因になってしまっていて、これで「中立的な金融政策云々」とか言うのも、オカシイよね、って気がする。経済情勢判断がどうだとか、国際的環境がどうだとか、そういうモロモロの要因の市場への影響度よりも、「福井総裁が”辞めない”と、また言った」「いや、”辞めるべきだ論”の方が有識者・メディア・世論では優勢だ」「もしかしたら、電撃辞任があるかもしれん」といった、ワケのわからん不確実性(?)を増大させ、混乱に陥れていることは間違いないでしょうね。このような「福井総裁ネタ」というのは、本来「日本経済の動向」ということとは無関係なはずであるにも関わらず、「福井総裁の存在」自体が、福井総裁の得意な説明風に言えば「ボラティリティを高める要因」そのものになってしまっているんですよね。
ほとぼりが冷めるまで、しばらくは市場が混乱したり、乱高下するのは避けられず、福井総裁の考えとしては『市場の連中は「一体どうなってるの?」と不安ながらも真っ暗闇を突き進めばよし』ってな訳で、残念ながらハズレた人は速攻「逝ってよし」ということでしょうね(笑)。総裁の給料一部返上とか、利益やら元本やらを寄附、どころの話ではないんですよね・・・・きっと。
コメントで頂いた情報については、別な記事で検討したいと思います。