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早速ですか、「労働分配率」

2006年06月06日 21時36分46秒 | 経済関連
財務省の「法人企業統計」ですって。人件費の話は、いろいろとありそうですね。

NIKKEI NET:経済 ニュース

(以下に記事より引用)

好調な業績を背景に企業が人件費を増やしている。財務省が5日発表した1―3月期の法人企業統計をもとに試算すると、企業が生み出した付加価値がどのくらい労働者に回ったかを示す「労働分配率」は下げ止まりが鮮明になった。一方、原油高は企業収益を圧迫し始めており、企業がコスト上昇分をどこまで販売価格に転嫁できるかが今後の設備投資などのカギを握ることも、法人企業統計からうかがえる。1―3月期の人件費は42兆7800億円と前年同期比で2.0%増えた。7・四半期連続の増加で、特に従業員給与が2.8%増えた。生産・販売活動の活発化で企業は人手不足に直面し、雇用を増やしている背景がある。




素直に受け取れば、「人件費は増加」ですか。但し、昨年度ですね。今年度ではないので、まだ判らない面もありますね。

労働分配率の計算方法は、どの統計資料を用いて算出するかということによって、数値がかなり異なるそうです。「法人企業統計」だけじゃなく、「労働力調査」「国民経済計算」などを用いて計算することも可能なのだそうです。あと、人件費といっても、一人当たりではどうなっているか、という問題もあるので、財務省の「法人企業統計」からの計算だと、次の計算式からの算出ではないかと予想されます。


労働分配率=
人件費/(人件費+経常利益+支払利息・割引料+減価償却費)・・・()

この他、付加価値額から見た場合には、


労働分配率=人件費/付加価値額 ・・・()

(付加価値額=人件費+支払利息・割引料+動産・不動産賃借料+租税公課+営業純益)

ということらしいです。

この辺になると、会計というか帳簿の基礎的知識がないとよく判りません。()式と()式での計算結果の違いというのも、どの程度なのか、その差にはどんな意味があるのか、といったことはよく判りません。しかし、付加価値額というのは下の式になると考えられるので、日経の記事は多分()式からの計算なのかな?元の法人企業統計を見てないから、判断できかねますけど。面倒なので。興味がある方は自分で探して、計算してみて下さいね。


人件費というのは案外とクセモノで(笑)、「雇用者一人当たり」とかで見た場合には、賃金アップという結果に直結するとも限らないこともあるので、注意が必要です。特に、役員給与が含まれる為に、高給取りの多い役員がゾロゾロいるような企業が割りと多く回答してきていると、人件費は相対的に高くなってしまいます。

あと、「法人企業統計」はサンプル調査ですし。全数調査ではない為に、大企業などの回答の影響力が大きくなれば(多分ほとんどが回答しているんじゃないかと。「協力してよ」とか頼まれてるはずでしょうね)、条件のよい給料の人たちが多くなりますので、世間一般の人たちの状況とはやや異なることも考えられます。しつこいですが、特に「役員給与」ですよね。きっと普通よりも凄く高い給料だと思うけど、この人たちの割合が実態よりも相対的に多くなる、ってことになってしまうのではないかと思えます。


労働分配率も色々と複雑のようです。
折角ですから、今度、「今週の指標」あたりで取り上げてもらえないかね。いくつかの計算方法を見るとか、95年以降からの推移を見るとか。


労働分配率はデフレの真っ只中の頃には、戦後最高水準くらいに行っていたと思いますが、当時(01~03年頃?)は企業利益が全然ないとかマイナスとかになっていて、そうなると賃金が上がらないのに労働分配率は上がる、ということになってしまうので、指標としては解釈が分かれる場合もありそうですよね。給料が上がらなくても、労働分配率は上がる。当たり前だけど。分母が小さくなればそうなってしまうからね。



近頃、印象に残った言葉

2006年06月06日 19時45分07秒 | 経済関連
『自分たちのやっていることを、「異常だ、異常だ」って、あんまり言わない方がいい』

―――岩田規久男・学習院大教授


先日の読売新聞・「論客」欄にインタビューが掲載されていた。そこでの一言。
日銀(特に総裁)が量的緩和(ゼロ金利)政策のことを指して、いつも「異常な金融政策」と自虐的に強調(笑)することから、ストレートに言えば、「日銀は変だよ」という皮肉でしょう。

記事中では、もう少し微妙に違った表現だったかもしれないが、大体このような感じだったと思う(切り取っておいた新聞が何処かに行ってしまって、正確な表記ができませんでした)。読んでいた時に、思わず笑った。結構ユーモアセンスがあるのかもしれない、岩田教授は。


で、もう一つ。


『これによって著者たち以外の研究者にも、本書の内容が正しかったかどうかを確かめる「反証可能性」が保証された。このような形で歴史研究の透明性を高めようとする編者や著者たちの姿勢もまた、高く評価されるべきであろう。』

―――清家 篤・慶応大教授


一昨日の「本のよみうり堂」欄から。『産業化と商家経営』の書評で見ました。重量級の実証研究本だけに、評価や解釈にも意見の分かれる可能性を考慮したのでしょうか。私の場合には、経済研究ということ以上に、商家を舞台にした人間ドラマや、小説のようなエピソードがないかと気になります。例えば、船が沈没して約束の荷が着かなくて、破産寸前のピンチに陥るとか、大凶作で米相場の大損害を被るとか・・・そういう何かの危機的状況があったのなら、商家はどのようして乗り切ったのか、当主はどのように対応したのか、そういう部分が気になります。


ああ、全部ピンチというか不幸な話題ばかりが気になってる、ってことになりますね。イヤな性格が反映されてるかもね、私の。でも、通常、ドラマなどでも危機があるから話が盛り上がるのであって、これが「危機」じゃなく「幸福の絶頂」とかだと大半が興味を失うのではないでしょうか(笑)。