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消費者金融市場での貸出金利は「リスクを正確に反映する」とは言えない・3

2006年09月06日 02時54分48秒 | 社会全般
前の続きです。

まず初めにお断りしておきますが、「上限金利規制が経済学的に正しいか」というのは、私なんかに判る訳がありませんよ。これまでの記事(過去数ヶ月を遡って頂ければ)でも書いてきたように、経済学理論を掲げる人々はlydiaさんと同じことを言っていましたので。それは十分承知しております。その上で、なお「本当に経済学的な主張が正しいのか」、「根拠に挙げているペーパーは信頼に足るのか」ということを書いてきたに過ぎませんので。


lydiaさんの書いている『結局私が主張したいことは消費者金融市場に問題があるならばその問題に合った処方をすべきということにつきます.それに価格競争が行われている場合には寡占市場であっても超過利潤が存在し得なかったりするので(ベルトラン競争),下手な策は打たない方がマシってことがありえるのですよね.そもそも物価上昇率が上昇すればプライムレートだって10%近くにはなったりするのですが,今行われている議論がそのような状況を考えているといえるでしょうか?』ということは、理解していますよ。経済学徒たちから、色々と教わったりしましたので。


しかしながら、経済学理論を掲げながらも、それが正しい議論でないなら、結局私のような経済学無知が上限金利引下げを主張するのと何が違うと思いますか?根拠とする理屈が正しいのであれば、それはそれでいいと思いますよ。他者に対しても十分説得的ですからね。それを実際示してもらえれば、それで済む話ですよね。


話を元に戻しますが、今まで幾つかの意見を頂いたのですが、当方の質問にはあまり答えていませんよね。論点は上限金利引下げが適切な政策かどうか、という大きな部分ではなく、消費者金融市場の貸出金利が「リスクを正確に反映する」かどうかです。私は自分の知っているものについては、一応いくつか資料を提示していますが、lydiaさんはどれにも根拠を示してはいませんよね。私は研究者でもなければ、経済学に詳しい訳でもありませんし、単なる素人に過ぎないのですから、まずご自身で考えて頂いた方がいいのではないでしょうか。

特に、『私が知りたかったのは「銀行とサラ金で金利の決定方法が異なっているのはなぜなのか」』などは、経済学に詳しいのであれば、自分でお考え頂いた方がいいでしょうね。限界費用が重要であるならば、ご自身で計算して頂き、業者間でコストに違いはないことをご説明されれば、即私の主張は崩されますよね?

業者Mの貸出金利=コストm+リスク評価部分r と、業者Nの貸出金利=コストn+リスク評価部分r' において、m=nが成立していることを示して頂ければ、『市場が十分競争的ならばm=nが成立して,金利がリスクを反映すると考えることに何の問題がありますか?』と仰っていたことが明らかになると思います。


>今後の議論では「消費者は金利の低いところから借りようとする」を前提としませんか?

この意味がわからないのですが、双方の取り決めとかで現実の出来事が変わる訳ではありませんよね?こちらの主張を否定する資料を提示して頂き、借入を行う際「消費者は常に合理的に行動する(低金利を選択する)」ということを示せばそれで済むと思いますが。一応、多重債務者は消費者の代表でも何でもありませんので、全消費者を対象とした調査でなければ確かに全体は見えてこないと思います。しかし、多重債務者は約230万人程度存在しており、「少ない数」とも言いにくいとは思っています。人口比(本当は借入可能な年齢の人口かもしれませんが)で見れば、大したことないですけどね、勿論。

古い資料でも見ていたのですが、このような資料だと数字が出てきていない為イマイチと思い敢えて出さなかったのですけれど、参考までに出しておきます。

消費者金融会社の好業績とその背景


>本当のリスク部分が小さかろうがなんだろうが上乗せ部分がリスクと反比例して動きでもしない限り「リスク高い→金利高い」「金利高い→リスク高い」ということは成立するのですが.


これは、上の書き方で言いますと、貸出金利1=m+1と、貸出金利2=m+5というようなことですね。要するにrの部分が高くなるから、貸出金利も高くなる、ということが言えるだけであって、貸出金利が「リスクを正確に反映している」ことの根拠にはなりにくいでしょうね。r部分に比べてmが無視できるほど十分小さい時には、ほぼ貸出金利=rが近似できるのかもしれませんが。これを言うには、mやnはrに比べて十分小さい、ということを示さねばなりませんよね。



lydiaさんが書いているように、確かにこれ以上議論しても時間の無駄ですね。

・借り手は常に合理的に行動する
・消費者金融市場は十分競争的
少なくとも上記2つが成立していることを示してもらえれば、上限引下げ反対派の経済学的な理由というものにも同意出来る部分があると思いますけれども。