いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

こんなところにも

2007年12月11日 17時34分12秒 | 社会全般
また「で」だよ。
しつこいな。これはオレに対する挑戦か?(笑)
《一応解説しておきますと:
本当は自分に向かって撃ってはいないのに、「さてはオレを撃ってきたな」理論。当然、これへの反応は「撃ち返してやるぜ!」(笑)。典型的なイナゴ行動》



<薬害C型肝炎>追加提訴2人が「フィブリン糊」で感染(毎日新聞) - Yahooニュース

(以下に引用)

薬害C型肝炎訴訟で11月30日に追加提訴した30人のうち2人が、血液製剤フィブリノゲンを原料とした手術用接着剤「フィブリン糊(のり)」の使用で感染したと訴えていることが分かった。フィブリン糊による感染者が原告になったのは初めて。

 訴えたのは静岡県内の40代男性と東京都内の70代男性で、いずれも心臓手術で使われたフィブリン糊で感染し、慢性肝炎になったという。

 同製剤は大量出血に点滴で注入されるのが一般的だったが、80年代は他の製剤と混ぜて糊状にし、手術の縫合にも用いられていた。薬事法上の承認を受けた本来の用法ではないが、製造元の旧ミドリ十字(現・田辺三菱製薬)が当時、使用を勧める冊子を医療機関に配布していた。

 同社によると、80年以降のフィブリノゲン推定投与者約28万人のうち約7万9000人がフィブリン糊を使用。感染率は約1.5%で、点滴投与よりも危険性は低いとされる。【清水健二】

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ですからね、「フィブリン糊『で』感染した」って、どうやって証明すんの?
毎日新聞記者になるからには大変優秀な人でしょうから、毎日新聞の清水健二記者には立証できるものなのでしょう。

やってみせて。
是非、毎日新聞上に「フィブリン糊で感染しました」って結果を載せてくれ。



ところで、昔って、キットじゃなかったみたいだね。知らんかったよ。

血液凝固系のカスケードで御覧頂いた通り、フィブリノゲンは活性化されたトロンビンの存在下(触媒作用)でフィブリン(モノマー)となるので、フィブリノゲンの単独投与では凝固せんわな。
つまり、ここにトロンビンを加えないと止血効果はあまり発揮されない。
トロンビンはどこから持ってくるか知らんけど、別な血液製剤を買わせる、みたいなことになっていたのかもしれんね。この使用法であると、フィブリノゲンとトロンビンの両方が販売できる。

他には、自己血から調整することも可能だね。術前に採血しておけばできそう。こっちの方が安上がりかも。でも、作るのは面倒だな。

昔って、どの程度糊が使われたかは知らないけど、術者の好みもあったんじゃないでしょうか。



ちょっと話が飛ぶけど、一般の方々の中には「止血剤を使います(ました)」みたいな医者の言葉だけを記憶していて、よく判らんのに「自分にフィブリノゲンが使われた」みたいに思い込んでいるケースは多々あると思いますね。

医者が言う言葉って、相手に大まかにしか伝えようがないので、「血がちょっと出てるので、これからフィブリノゲンという血漿タンパクの一種を使います…云々」とか言いませんものね。
血止めとか、止血剤とか、接着剤とか、言った言葉には、様々あるでしょう。フィブリノゲンやフィブリン糊のこともあったかもしれんけど。

接着剤と聞いて、「アロンアルファのことだ」とか思い浮かべる人たちって、あんまりいないでしょう?でも、よくあったんですよ、これが。外科的な治療では、アロンアルファを使うんですよ。本当に接着剤になるの。創が閉じるから、出血も止まるし。普通は医療用のアロンアルファなんて思い浮かばないから、接着剤と聞けば「ああ、フィブリン糊だ、オレは糊を使われたんだー」みたいに心配することになってしまうかもしれない。

止血剤にしても、単なるボスミン注射かもしれないよ。局所的に使うことはよくある。血管内に投与するのでなければ、殆ど問題ないし。血管内投与では、トラネキサム酸とか、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウムとか、色々あるよ。それこそビタミンKそのものかもしれないし。ヘパリン使ってて、そのリバースにプロタミンとか。

自分には何か良くない薬が使われたんだ、という思い込みは相談などでもよく見かける話ではないのかな、と。止血剤とか接着剤とかの言葉を覚えていて、その代表例が問題となっているフィブリノゲンやフィブリン糊で、それだけしか知らないので他の可能性というのが思い浮かばない為に、心配になるのだろうと思う。



肝炎訴訟に関する雑考~10(ちょっと追加)

2007年12月11日 16時41分22秒 | 社会全般
薬害を訴えている方々の怒りとか、悲しみとか、そういう心情があるのは、よく判ります。「同情なんか欲しくない」とか、「自分が感染してないのに何が判るのか」とか、「死の恐怖を知ってるのか」とか、言われてしまうかもしれませんが。けれど、今の方向のまま闘争を続けるのは、救えない患者さんが多くなるだけだ。なので原告団のやり方には反対しているのですよ。

仮に、感情的に訴えて、政治家の誰かを追い込めたとして、「補償せよ」ということが認められるかもしれない。その結果、ごく一部の人たちや、リストの人だけは救済されるかもしれない。だが、C型肝炎の患者さんは、もっと膨大なのですよ。1人500万円を払え、ということになったとして、100人で5億円、1万人で500億円だ。今の製薬会社と国で分担するとしても、果たしてそこまで払えると思いますか?フィブリノゲン製剤投与を受けた人たち全員を一律で救済するのに、20万人が対象であるとしても1兆円にもなってしまうのですよ。到底、払えないでしょう?そんな要求を突きつけているのだという自覚がなければ、どんな難しい要求でも可能かもしれませんが。
こういう闘争みたいなものが、相手の受け入れ難さを増大させ、かえって逆効果だと言ってるのです。

ここで解決可能な方向性を考えるなら、訴訟となった人たちの一部は要求を認め、対象の方々には製薬会社から払うものとし、係争を終わらせるしかないのではないかと思います。これまでかかった医療費の自己負担分などについても、製薬会社が支払うことにすればいいと思います。それ以外のC型肝炎患者の方々についての医療費は、前に書いたように特定疾患治療研究事業の但書部分の変更で、将来に発生する費用を公的負担とすることにするのが望ましいと思います。

製薬会社はそもそも旧ミドリ十字で、今はその会社すら残っていないのに、今の合併後の会社に無理難題を押し付けても解決が遠のくばかりでしょう。もしも患者救済の費用拠出が少なすぎる、というようなことを責めたいのであれば、全国の患者団体とか障害者団体等に毎年いくらかでも寄附を継続させる、などの対応も取りえるのではないかと思います。会社が継続不可能なくらいに負担を求めれば、貰えるものさえ貰えなくなってしまうだけで、誰の利益にもなりません。

原告団が意地でも補償を取り付けたい、ということになれば、あなた方は救われるかもしれないが、結局自分たちさえ良ければいい、というのと実質的には変わらなくなってしまうのですよ。そういう闘争は終わりにして下さい。気持ちの治まりがつかないかもしれませんが、他の大勢の肝炎患者の為と思って、譲歩できる所は譲歩して下さい。

今の自民、民主の肝炎救済案は、「インターフェロン療法」に対する助成だけであって、既に肝硬変や肝ガンに進展している人たちには関係ないのですよ。インターフェロンが無効とか効果が殆ど期待できないタイプのHCVでも、同じく対象から漏れてしまいます。肝炎は一生の付き合いとなってしまうので、さまざまな場面が訪れるし、議員たちがバカの一つ覚えみたいに言う「インターフェロン」に関わる医療ばかりではないのですよ。そういう時にも保障される方が安心できるのではないですか、と言ってるんですよ。和解の救済案から漏れる心配より、将来時点での安心を取るかどうかです。


原告団の中の若い福田さんという方が何故感染したのかは、よく知らなかったのですが、クリスマシン投与が原因である可能性が濃厚のようですね。20代の方の感染機会は相当少ないでしょうから、感染原因まずクリスマシンと思っていいと思います。けれど、これまでの裁判においても、クリスマシンの投与を受けた方々は敗訴であった、ということらしいですね。今の闘争の方向でいけば、フィブリノゲン製剤関連の方々だけが救済されるけれども、クリスマシン投与の方々はほぼ無理でしょう。だからこそ、医療費が免除される政策案の方が有利であると思えます。

この方の状況は詳しく判りませんが、親が肝炎既往がないのに母子感染することはないでしょうし、ご本人が血友病というわけでもないようです。出生時に出血を止める為にクリスマシンを投与するという意味が判りませんけれども、新生児に直接投与であったのなら、それは投与した医師に責任が大きくあるものと思います。クリスマシンは第9因子製剤であり、これを補充したとしても出血が止まるようになるものとも思えないからですね。確かに認可責任は行政にありますし、製薬会社にも供給した責任はありますけれども、そもそもそんな使用を医師が選択しなければ、感染することはなかったと思えます。


血液凝固系のことは、カスケードの話の時に少し触れました。

実際のカスケードはこちら>凝固・線溶系 - Wikipedia

この図にあったように、まさしく段々の滝のように反応が下流に向かっていきます。凝固因子のどれかが欠けてしまうと、反応が完結せず止血し難くなってしまうのです。クリスマシンは不足している第9因子を補う、という意味があります。フィブリノゲンもこうした凝固因子の一つであり、第1因子です。
で、新生児に何故クリスマシンを投与したのか、ということですが、新生児出血症に対する処置ということらしいです。全くの無効とも言えないかもしれませんが、主に「ビタミンK欠乏」に起因する出血であるということであれば、ただ単にビタミンKを補充すれば事足りるはずですよね。血友病のような疾患でないのであれば、敢えて第9因子だけを入れる意味というのはないように思えるからです。

ところで、前の記事で書いたワーファリンですけれども、これは血を固まり難くする薬で、ビタミンK依存性の凝固因子の産生を抑制する働きがあります。ビタミンK依存性の凝固因子は第2、7、9、10因子です(確かに第9因子は含まれるのですが、これ単独補給では疑問でしょう)。つまりワーファリンは血液凝固カスケードのビタミンKに関与する4つの因子を減らすことで、血液凝固が起こり難くなるように作用している、ということです。
逆に、ワーファリンにとってはビタミンKが大敵なのです。折角ワーファリンで凝固因子を出来難くしているのに、ビタミンKが体内に多くなると凝固因子がジャンジャン作られてしまうので、ワーファリンの効果は落ちることになるのです。なので、「あるある報道」じゃありませんが(笑)、納豆をあまりたくさん食べないように、という注意が典型的ですね。食物の中ではビタミンKが多い食べ物は、納豆が王様みたいなので。

話が逸れましたが、新生児にビタミンKを入れずにクリスマシンを投与したのは、ちょっと疑問だということです。しかもクリスマシンは菅直人議員が厚生大臣の時に、HIV問題の時点でウイルス感染性については調べられていたはずなんですよ。それを放置していたのは、当時の菅大臣だ。これも既に書いたんですが。原告団の中で、今のままの方針で訴訟や和解協議をやっていても、救済されることはまず困難だと思いますよ。それは、国の責任とか、製薬会社の責任とか、そういうものを強く求めれば求めるほど、じゃあ救済対象も厳密に区分けしましょう、って話になってしまうもの。薬の責任、薬の承認の責任、これらを追及して、「(感染可能性のある)薬を投与されたこと」に対して損害を求めるというのが、ハードルが高いからだろうと思うのですよ。だから対象は狭くならざるを得ないのです。


先日書いた記事の喩えを用いれば、「動く歩道と通過したことがある人」全員を一律に救え、という条件を出しているのと同じですから、それは困難ですよ。動く歩道を通っただけで、みんな同じ補償を、という主張そのものがおかしいからです。「危険な薬を投与された、どうしてくれる」という訴えを全員に認めることになってしまいますからね。

だって、ある自動車Aがあって、自動車Aの車軸には一部欠陥が判明したら、「自動車Aに乗ってた人たち全員に同じ保障をしてくれ」ということですから。車軸に欠陥があり、それを原因として事故に遭われた方々に対して、お詫びと補償を、というのなら、まだ判りますよ。けれども、「自動車Aを認可し、売っていたことそのものが問題なのだ、だから、自動車Aを買わされた全員を一律救済せよ」ということなのですから。「自動車Aを買わされた、この私の気持ちをどうしてくれる」ということに対して補償するのは、とても難しいのではないかと思います。

私が提案しているのは、今後発生してくるであろう事故等については、個々の負担をしなくてもいいようにしておきましょう、ということです。欠陥があった自動車Aに乗っていた人でも、まだ事故にはあってなくて、損害が明らかになってない人もおられるのですよ。そういう方々は、知らずに過してきたことで、実質的には損害を蒙っているとも言えない場合もあるのです。今の原告団の主張は、「全ての事故の原因が、自動車Aの車軸の欠陥にあった」ということを、自動車Aの全部について要求しているものなんですよ。

自動車Aを買わされた人=フィブリノゲンを投与された人
車軸の欠陥があった人=C型肝炎に感染した人

車軸に欠陥が存在したとしても、事故原因の全てがこれだというわけではないのです。追突されたり、窓ガラスをバットで割られた人は車軸の欠陥とは無関係ですよね?と言っているのです。そういう事故例も全て「自動車Aの欠陥のせいだ!」ということにしてくれ、という主張と同じなのですよ、原告団の主張というのは。これを受け入れることができる人たちはいると思うのでしょうか?マスメディアとかの中にも、政治決着でやってくれ、ってバカなことを言ってる連中がいるが、総理とかの鶴の一声で「事故は全て車軸の欠陥のせいだった」と認め謝罪せよ、と?
万が一、仕方なしにでもこれを認めてしまうと、これ以後でも「我々は勝利した!国が過ちを認め謝罪したんだ!全部欠陥のせいだったんだ!」とか、プロパガンダにされるのがオチなのではないでしょうか。薬害利権の方々が、次のターゲットを探し回って、「今度はこれが薬害だ!」とかセンセーショナルに運動を展開したり、自分たちの懐を肥えさせる為に活動をするのではないかという危惧がありますね。そんな陰謀組織は存在してないのかもしれませんが(笑)。
「欠陥自動車を買わされたんだ、どうしてくれる!」と感情的に凄めば凄むほど、「じゃあ本当に事故原因が車軸の欠陥かどうか検証しましょう」って話になるだけだ。判らないものまで一律に補償せよ、というのがいかに無謀な意見なのか、考えてみるとよいでしょう。

何度も言うようですが、重要なのは、全体に対して多いとは言えない「車軸の欠陥」に起因する事故の補償を完璧なまでに要求することよりも、事故原因が何かは正確に特定できないけれども「事故に遭われた方」への補償体制を作りましょう、という方が、はるかに多くの患者さんを救えることになるんですよ。クリスマシン投与例の患者さんでも、みんなが対象になるんですから。



追加というか、書くか迷ったんですけれども一応ということで。

ちょっとイヤな話をします。
フィブリノゲンを投与された方々は、本当に可哀想ですよ。それはそうです。けれども、薬を投与されたわけでもないのに、感染させられてしまう人々もいるんですよ。誰だと思いますか?

それは医療従事者ですよ。
最も危険性の高いのが、医療従事者なのですよ。

よくある話で、結核で死亡する看護婦さんとかおられるのはご存知でしょうか?始めから結核の患者さんだ、と判明していることもあるし、全く気付かないで過ぎてしまっていることもありますよね。で、運悪く感染させられ、死亡するわけです。これは誰のせいなのでしょうか?

あと、患者さん自身が何かの感染症であっても、それを隠していることもあるんですよ。本人が全く知らないこともありますけど。肝炎の患者さんが、過去に黄疸や肝炎治療をしたことを告げずにいたとして、医療従事者が肝炎となってしまうことも普通にあるんですよ。
検査で判明するようになってからは色々と判るようになりましたけれども、昔は誰がC型肝炎患者なのかなんて全然判らないままに、血を浴びて目の中に入ったり、知らないうちに血液に触れたり、手などに針や器具を刺して怪我をしたり、いつの間にか感染させられていたのですよ。これは現代でも同じく感染する可能性だけは、あるものなのです。

だからといって、医療従事者は感染源であった患者さんのことを恨んで文句を言いに行ったりはしませんよ。相手に損害賠償を求めることもしませんよ。劇症肝炎の症状が出て初めて感染を知り、どうにか助かった、みたいなこともありますけれども、誰からの補償もないですよ。キャリアになってしまっても、文句を言おうなどとは考えないですよ。

ですから、職業属性別では恐らく最も高いのではないかと推測していますけれども、だからといって、誰かを恨んだりはしません。不幸にして感染してしまったら、止むを得なかった、自分に落ち度があったんだろう、というふうに考えると思いますよ。たとえ死んだとしても、何も言うことなく死んでいったんですよ。

肝炎のある患者さんが担当であっても、危険手当とかもらえないし、割増料金にもなってないですよ。そういう中で日々仕事をしており、不幸にして感染してしまった医師や看護婦さんたちは大勢いる、ということです。


誰もそうしたことを省みてくれはしないと思いますけどね。

文句も言わずじっと耐えている人々はいる、ということです。