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薬害の一律救済は欺瞞に過ぎない

2007年12月26日 12時34分59秒 | 社会全般
世の中のよく考えるということをしない人々の多さには呆れる。
ある程度、論理的に思考することが可能な人間(大学の教官とか法学的知識を有する人とか)でさえ、「薬害患者一律救済」という御旗の誤りというものを認められないのである。それを強要している人々も全く同じである。


例えば、過日質問にお答えを頂いたことがあったのだが、あくまで都合よく書ける部分だけ意見を述べ、「不都合な事実」に対しては無視を決め込むという姿勢は、これまでに何度も目にしてきたので驚きはしない。知的水準のある程度高いと目される人々には、ありがちなのであろうか?(笑)
決して自らの主張の誤りや矛盾点を省みることがなく、指摘されている事項について更に考えて見るとか誤りであったことの意見表明などは決してなされないのである。これは役人たちの「誤りを認めない、改めようとしない」という姿勢とあまりによく似ている(笑)。

ポピュリズム的手法を称揚するかのような意見がまかり通るのは何故なのか

ポピュリズム的手法を称揚するかのような意見がまかり通るのは何故なのか~2


多くの「一律救済支持者」たちは「線引きするな」と言い続けているのだが、感染原因によって「線引き」しているのは明らかであろう。彼らの理屈とは、判りやすく書けばこうなる。

①薬物濫用者が汚染された注射器でC型肝炎に感染し、肝硬変となっている人
→そんなの自己責任で感染してるし、医療制度で保障があるのだから政府が救う必要はない

②フィブリノゲンを投与され術後にC型肝炎感染が判明した無症候性キャリア
→何らの落ち度もなく感染させられたのだから、とても可哀想だ、政府が金出せ、謝罪は当然だ

①の人と、②の人との不幸の度合いを比べるなどということは基本的にできないだろうと思うが、少なくとも外見的範囲で言うならば、①の人は肝硬変になっているのであるから医療費も大変だろうし、病状もはるかに重い。②の人は、日常生活に大きな支障を来たす程の病状とはなっていないことは少なくない。

「病気」という点で見れば、私からすると①の人の方がはるかに可哀想に思うけど。
しかし、「薬害だ」と主張している人々は、そういうことに目を向けたりはせずに、「誰がやったか」という責任追及論の部分だけで「金を払え」ということを正当化しているのだと思うのだが。

本当に病気で困っている人たちを「一律に救済する」というつもりがあるなら、「感染原因にはよらず、医療費を保障してあげる」ことだと思う。

しかし、薬害だ、と追及している人たちは、「誰かのせいで感染したんだ、だから補償せよ」ということを言ってるはずなのに、「誰かのせい」というのが本当に「製薬会社」や「役人」のせいなのかを、決して明らかにせず立証することもないのである。その証明すらないものを「お前のせいだろ、だから金を取れる権利があるのだ」というような、無理矢理ぶん取ることを正当化しているのである。

本当に輸血ではないと言えるのか?言えるのなら、その論を提示せよ、と求めても、誰も提示しないのである。そもそも、それを説明できないからである。全ての感染原因について、否定できるような立証を行うことは、事実上ほぼ不可能なのである。

上の参考記事の2の方に、次のように書いた。

<<感染理由が異なるということで「肝炎患者の線引きをする」というのであれば、何故原告団の線引き拒否を指摘しないのでしょうか?先生が書かれている「原因不明」とか「他の原因」という可能性は、例の肝炎患者リストにおいても同じです。輸血を受けていて、フィブリノゲン投与も受けている場合、先生が輸血による感染可能性を否定できる合理的根拠とは一体何なのでしょうか?先生のご意見に従えば、輸血によって感染したら、これは「他の原因」による感染者ということで「扱いが変わる」のは当然なのではありませんか?医療機関の医療器具の滅菌不良によって集団感染した場合も、これは「他の原因」による感染者なのではありませんか?>>

そして、今日の記事で偶然にも医療器具と推測される集団感染が報じられた。

C型肝炎:茅ケ崎市立病院の院内感染 使い捨て機器の使い回しが原因か /神奈川(毎日新聞) - Yahooニュース

茅ケ崎市立病院で心臓カテーテル検査を受けた男性患者5人が、C型肝炎を発症した院内感染問題。使い捨ての機器を約100回も使い回したことが25日、病院の調べで分かった。病院は、患者向けに相談窓口を設け、正月返上で対応する。
 病院によると、4~10月の半年間に心臓カテーテル検査を276回行ったが、血圧を電気信号に換えて計測する使い捨ての変換器を170回しか交換していなかった。5人はC型肝炎発症者の検査直後に同じ検査を受けていて、使い回しが感染原因の可能性が高い。
 検査は医師2~3人と看護師2人、臨床工学技士1人のチームで行い、変換器の交換は技士が担当する。しかし病院のマニュアルには「使い捨て」と明記されておらず、技士は1回ごとに交換していなかった。
 病院の担当者は25日の記者会見で「カテーテル(合成樹脂製の管)など検査機器のほとんどが使い捨て。医師は当然交換していると思い込んでいた」と説明。仙賀裕院長は「次々と患者が来る中で『慣れ』があったかもしれない」と、1日に検査が7~8回続いた際に、交換しなかった可能性を指摘した。

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こうして現実に「血液製剤」を原因としない水平感染は発生するのである。現在はHCV検査もあるし、医療器具の殆どはディスポに切り替わっているのに、起こってしまうことがあるのである。これが80年代であれば、どうであったのか?本当に、フィブリノゲンだけを感染原因として、みんな肝炎に感染したと言えるのか?医療器具が今ほどディスポでない時代であって、その滅菌不良が原因でなかったと言えるのか?

茅ヶ崎の感染原因と推定されているのは、恐らく「圧トランスデューサー」の部分ではないかと思われる。肺動脈圧とかを測定する為のカテではなかろうか。詳しいことは判らないけれども。これで感染する可能性はかなり少ないだろうと思うのだけれど、それでも感染が発生し得るということなのであろう。


だから、「フィブリノゲンが原因だ」と主張する為には、こうした他の感染原因がある程度否定できなければならず、血液製剤が原因であろうと推測するのが合理的である、という論理を提示しなければならないのである。誰もやってないのであるが。

可哀想なのは、何を原因として感染してしまったかは不明だけれども、肝炎とそれに続発する病気(肝機能障害、肝硬変や肝ガンなど)で困っている人であり、それは血液製剤の投与の有無には関係がない。

是非聞かせて欲しい。
輸血で感染した人たちは、可哀想じゃないのか。
針で感染した人たちは?
親から感染した人たちは?
病気で苦しんでいるのは同じで、何らの違いもないだろ。

欺瞞なのだ。
薬害利権に集る人々の欺瞞に過ぎないのだ。


薬害だ、と強硬に主張し、その補償金を得るのが当然だ、と言ってる人々は、要するに「自分さえ良ければいい、自分だけ得すればいい」という発想と何らの違いがない、ということですよ。
線引きするな、と主張しても、実際に「投与の有無」で線引きし、投与を受けた人たちは「投与されてないけどC型肝炎になった人」に比べて、自分だけは「多額の金を貰え、総理に慰めてもらえる」という特権を手にできる、ということですね。


本当に、誰もこのことに疑問を感じないのか?