いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

アメリカの「かわいそうな象」

2008年10月01日 06時34分20秒 | 経済関連
金融安定化法案が下院で否決された後、世界の株式市場で暴落が起こった。米国においては、たとえ世界経済が破滅しようとも、自由と不介入の方が重要であり、そして大都会を闊歩するエリートビジネスマンに税金を投入してまで救うことには同意できないという米国民の反感があるのかもしれない。特に、反対票の多かった共和党を見るに、「suit」の自業自得、信じられるのは己の「rifle」だけ、という開拓魂が宿っているかのようである。

今、日本では「バナナブーム」である。ダイエット食品として大ブレイクし、品切れ状態らしい。バナナといえば、先日記事で紹介したa banana republicという揶揄をよく考えてみれば、恐らく共和党を暗に非難したものなのだということに気付いた。共和党(員)がRepublicanなのだから。こういうところに日本語と違った英語の面白さがある。


日本には今の金融システムの混乱の原因もなければ、何ら悪いことをしていないにも関わらず、「ドジでのろまな亀」(笑)みたいなものだ、ということを言われてしまうらしい。いや、直接的にはそんなことを言ってないが、unfashionableなことを言って顰蹙を買う日銀だけに留まらず、laggard Japanが思ったより賢くはないと言われてしまうのである。

のろのろ「日本式」金融がまた流行するのか――フィナンシャル・タイムズフィナンシャル・タイムズ - goo ニュース

実際、そういう面は否めないので、返すべき言葉はない。

一つだけ書いておくと、原文では

"I think this was more luck than prudence."

となっているが、これを「賢明だったというよりは、運が良かったのだ」という訳を与えていることに少し疑問に感じた。幸運だった、というのはそうかもしれないが、賢明という意味ではないのではないかな、と。少し前の文では、「prudence」ではなく「wisdom」が与えられているからだ。

But neither does he attribute the relatively healthy position of Japanese banks to wisdom.
(だからといって、日本の金融機関がいま比較的に健全な状態にあるのは、別に日本の銀行がとりわけ賢かったからではない)

「日本のofficial」が実際に何と言ったのかは判らないが、もしもprudenceと言ったのであれば、wisdomではなくて「プルーデンス政策」を意図していたのかもしれない。金融政策としての「プルーデンス」ということかな、と。いずれにせよ、政策や銀行経営などの要因ではなくて、単なるラッキーの産物にすぎないということに違いはないのであるが。


ジョン・ブルに一つ注文を付けるとすると、日本の流行遅れを笑う前にバナナ共和国を笑うべきだろう。大統領選を前にしているせいか、jackassはelephantを非難し、elephantは自国のwhite elephantに怒り狂うだけなのである。
マケイン陣営のイーキン氏は、法案否決はオバマ候補の指導力不足のせいだと断じていたが、民主党よりも共和党に主な責任があるだろう。実際のところは強欲なsuitを救いたくないと考える人たちが多いことと、緊急対策がwhite elephantにしか見えない、或いは救済対象となる金融機関―suitの牙城だ―そのものがwhite elephantでしかない、とRepublicanが考えているからであろう。
緊急経済対策に反対票を投じた共和党議員たちは、未だにan elephant in the room に気付かないでいるのだ。いや、気付かないふりをしているのだ。

フォンティーヌは「のろまな象」を笑うネズミの話を書いたが、今、全世界で笑い者になりそうなのは「elephants in US」であろう。金融システムが崩壊して世界経済が破滅すれば、象のエサだってなくなってしまうので餓死する他ないからである。自らが餓死するかもしれないと判っているのに、それを回避する為の対策に反対する象は、可哀想としか言いようがない。